Latest / 岡大徳のポッドキャスト / エドスチラドリンを「医薬品の例」で扱う案|中医協第650回の要点
Transcript
- 0:00SPEAKER_01: もしあのタイムマシンを発明したとしてですよ
- 0:02SPEAKER_01: いざ使おうとしたら役所の窓口でえーとこれは
- 0:06SPEAKER_01: 自動車として登録します
- 0:08SPEAKER_01: かそれとも飛行機ですかなんて聞かれる皆さんそんな
- 0:11SPEAKER_01: 場面をちょっと想像してみてください
- 0:13SPEAKER_00: あーそれは
- 0:14SPEAKER_00: なんというかすごくもどかしい状況ですよねそうなんです
- 0:18SPEAKER_01: よ
- 0:18SPEAKER_01: でも実は
- 0:19SPEAKER_01: 今日本の医療の最前線でまさにこれと同じようなことが
- 0:23SPEAKER_01: 起きてるんです今回の探求では
- 0:25SPEAKER_01: SF映画みたいな最新の遺伝子治療が
- 0:28SPEAKER_01: 日本のまあお役所仕事というか固い制度に
- 0:32SPEAKER_01: どう組み込まれるのかを解明していきます
- 0:34SPEAKER_00: はい今日の情報源は
- 0:36SPEAKER_00: 日本の医療価格などを決める
- 0:38SPEAKER_00: 中医協中央社会保険医療協議会の第650回総会の
- 0:43SPEAKER_00: 資料ですね
- 0:44SPEAKER_01: 一見すると無味乾燥な議事録なんですけど
- 0:47SPEAKER_01: 皆さんも一緒に読み解いていくと最先端の科学と現実の
- 0:51SPEAKER_01: ルールの摩擦が見えてきてすごく面白いんです
- 0:54SPEAKER_00: よねそうですね。
- 0:55SPEAKER_00: 特に今回の議題になっているアドスチラドリンという
- 0:58SPEAKER_00: 新しい治療薬、
- 1:00SPEAKER_00: これを追っていくとその摩擦が
- 1:02SPEAKER_00: くっきりと浮かび上がってきます。
- 1:04SPEAKER_01: じゃあ早速そのアドスチラドリンについて
- 1:06SPEAKER_01: 深掘りしていきましょう。
- 1:07SPEAKER_01: これ資料によると膀胱がんの治療薬なんですよね。
- 1:11SPEAKER_01: 標準的なBCG療法が
- 1:13SPEAKER_01: 効かなくなった高リスク患者向けってありますけど。
- 1:16SPEAKER_00: はい、
- 1:17SPEAKER_00: その通りです。
- 1:18SPEAKER_00: これまでの標準治療が効かないとなると、通常は
- 1:22SPEAKER_00: 膀胱の全摘出という患者さんにとって非常に重い決断を
- 1:26SPEAKER_00: 迫られる段階なんです。
- 1:27SPEAKER_01: 全摘出ですか。
- 1:29SPEAKER_01: それはきついですね。ええ。
- 1:31SPEAKER_00: そこで登場するのがこの新薬です。これは
- 1:35SPEAKER_00: アデノウイルスというウイルスを運び屋として
- 1:39SPEAKER_00: 使ってですね。
- 1:40SPEAKER_01: ウイルスを運び屋に?
- 1:42SPEAKER_00: そうなんです。
- 1:43SPEAKER_00: 抗腫瘍タンパク質を作る遺伝子を膀胱の細胞に
- 1:47SPEAKER_00: 直接届けるという仕組みになっています。
- 1:50SPEAKER_01: ちょっと待ってください。
- 1:51SPEAKER_01: それって
- 1:51SPEAKER_01: つまりウイルスの運び屋を使って患者自身の細胞を
- 1:56SPEAKER_01: ハッキングしちゃうってことですか?
- 1:58SPEAKER_00: ハッキングですか。
- 2:00SPEAKER_00: なるほど。
- 2:01SPEAKER_01: なんか自分の細胞のプログラムを書き換えて、
- 2:04SPEAKER_01: ガンと戦うための専用工場にしてしまうような、
- 2:07SPEAKER_01: そんなイメージを持ったんですけど。ああ、
- 2:10SPEAKER_00: それは非常に的を得た例えですね。
- 2:13SPEAKER_00: 外から薬を投与するんじゃなくて、
- 2:15SPEAKER_00: 体内で自前の薬を継続的に作らせるわけ
- 2:18SPEAKER_00: ですから。
- 2:19SPEAKER_01: いやー、
- 2:20SPEAKER_01: すごい時代になりましたね。
- 2:22SPEAKER_01: 本当に。
- 2:23SPEAKER_00: しかも驚くべきは、
- 2:24SPEAKER_00: がんが完全に消える完全走行率のデータなんですよ。
- 2:28SPEAKER_00: どれくらいなんですか?
- 2:30SPEAKER_00: 従来の基準だと、
- 2:31SPEAKER_00: この段階の患者さんへの期待値ってわずか2%だった
- 2:35SPEAKER_01: んです。たったの2%ですか?
- 2:37SPEAKER_00: はい。それが今回の国内試験では、
- 2:41SPEAKER_00: なんと75%という結果を叩き出したんです。
- 2:45SPEAKER_01: 2%が75%?
- 2:48SPEAKER_01: ちょっと信じられない数字ですね。
- 2:50SPEAKER_01: それって単なる改善じゃなくて、
- 2:53SPEAKER_01: もう絶望的だった状況から暴行を残せる確率が
- 2:56SPEAKER_01: 劇的に跳ね上がったってことじゃないですか。ええ。
- 2:59SPEAKER_00: まさにゲームのルールが根本から
- 3:01SPEAKER_00: 変わるような画期的な技術です。
- 3:03SPEAKER_01: でもここからが今日の最大のポイントです
- 3:06SPEAKER_01: よねこれほど画期的な患者さんの細胞をこういうように
- 3:10SPEAKER_01: 変えちゃうような技術が
- 3:11SPEAKER_01: なぜ政府の会議室で自動車か飛行機かみたいな
- 3:15SPEAKER_01: 議論になってるんですか
- 3:16SPEAKER_00: それがですね
- 3:17SPEAKER_00: 今の日本の制度上こういう再生医療等製品って従来の
- 3:24SPEAKER_00: 医薬品とも医療機器とも違う全く新しい
- 3:27SPEAKER_00: カテゴリーになっちゃうんですよ
- 3:29SPEAKER_01: 枠に収まらないんですね
- 3:30SPEAKER_01: はい。ただ、
- 3:32SPEAKER_00: 皆さんが保険を使って治療を受けるためには、
- 3:35SPEAKER_00: いくらにするかという薬価を既存のルールの枠内で
- 3:39SPEAKER_00: 決めないといけないんです。まあ、
- 3:40SPEAKER_01: それはわかりますけど、
- 3:42SPEAKER_01: でも分類ってそこまで重要なんですか?
- 3:45SPEAKER_01: 薬だろうが、
- 3:45SPEAKER_01: 医療機器だろうが、
- 3:47SPEAKER_01: 最終的に患者に届いて値段が
- 3:49SPEAKER_01: 決まればいいじゃないかって思っちゃうんですが。
- 3:51SPEAKER_00: いやいや、これが
- 3:52SPEAKER_00: 皆さんの財布や日本の医療の未来に直結する
- 3:55SPEAKER_00: 大問題なんですよ。え、どういうことですか?
- 3:58SPEAKER_00: 例えば医薬品の枠組みになれば既存の似た薬の価格を
- 4:03SPEAKER_00: ベースに計算されます
- 4:04SPEAKER_00: 一方医療機器扱いになると特殊な注入器具の開発費とか
- 4:09SPEAKER_00: 製造コストが考慮されやすくなるんです
- 4:12SPEAKER_01: なるほど分類次第で値段の計算方法が全然違うんですね
- 4:16SPEAKER_00: そうなんです
- 4:17SPEAKER_00: もし間違った枠に押し込められて開発コストを
- 4:20SPEAKER_00: 回収できないような安値になれば製薬会社は日本市場から
- 4:24SPEAKER_00: 撤退してしまうかもしれませんっ
- 4:26SPEAKER_01: てことは
- 4:27SPEAKER_01: 今日これをお聞きの皆さんが
- 4:29SPEAKER_01: 将来この治療を受けられなくなるかもしれないって
- 4:31SPEAKER_01: ことですかそれは困りますね
- 4:33SPEAKER_00: さらに言えばこのアドシチラドリンは
- 4:36SPEAKER_00: 遺伝子を組み替えたウイルスを使うので
- 4:38SPEAKER_00: カルタヘナ法という環境保護の厳しい法律の
- 4:42SPEAKER_00: 対象になるんです
- 4:42SPEAKER_00: カ
- 4:43SPEAKER_00: ルタヘナ法ですかはい単なる錠剤を扱うのとは
- 4:47SPEAKER_00: 違って病院側は
- 4:48SPEAKER_00: バイオハザードに近い厳重な管理体制を敷かないと
- 4:51SPEAKER_00: いけません
- 4:52SPEAKER_01: 病院からすれば
- 4:53SPEAKER_01: ただの薬じゃなくて特殊な生物を扱うようなコストと
- 4:57SPEAKER_01: 手間がかかるわけですね
- 4:58SPEAKER_01: だから今回注意教は
- 5:00SPEAKER_01: この製品をどう扱うかものすごく悩んだと
- 5:02SPEAKER_00: そうです
- 5:03SPEAKER_00: 結果的に今回は
- 5:05SPEAKER_00: 平成26年のルールに基づいて体内に注入して細胞に
- 5:09SPEAKER_00: 作用する特性から医薬品の例として扱うことになりました
- 5:14SPEAKER_01: なるほど。
- 5:14SPEAKER_01: なんとか既存の枠に当てはめたんですね。
- 5:17SPEAKER_01: 普段私たちが何気なく受けている医療の裏側には、
- 5:20SPEAKER_01: 科学者たちの努力だけじゃなくて、
- 5:22SPEAKER_01: 新しい科学と古いルールをすり合わせる、
- 5:25SPEAKER_01: こういう地道なプロセスがあるんだなって実感しました。
- 5:28SPEAKER_00: ええ。
- 5:29SPEAKER_00: 画期的な技術も社会に実装するための配管が
- 5:32SPEAKER_00: なければ誰の手にも届きませんからね。
- 5:34SPEAKER_01: 本当にそうですね。
- 5:36SPEAKER_01: でもふと考えてしまうんです。
- 5:38SPEAKER_01: 今後皆さんの細胞や遺伝子を書き換えるような技術が
- 5:41SPEAKER_01: ごく当たり前のものになったとき、
- 5:43SPEAKER_01: 果たして私たちの社会はこれは薬ですか、
- 5:46SPEAKER_01: 医療機器ですかっていう古い二元論のままで
- 5:49SPEAKER_01: いいんでしょうか。
- 5:50SPEAKER_00: そう遠くない未来に間違いなく限界が来るでしょうね。
- 5:54SPEAKER_01: ですよね。も
- 5:55SPEAKER_01: しかしたら全く新しい第三の評価制度を根本から
- 5:59SPEAKER_01: 作り出す時期がもう来ているのかもしれません。
- 6:03SPEAKER_01: 皆さんはどう思われますか。
- 6:05SPEAKER_01: ぜひ一緒に考えてみてください。