Latest / 岡大徳のポッドキャスト / テロメライシン注の最適使用推進GL|食道癌治療の施設要件と算定の注意点
Transcript
- 0:00SPEAKER_01: がんに感染してがん細胞だけを内側から
- 0:03SPEAKER_01: 食い破るウイルス。
- 0:05SPEAKER_01: これなんだかSF映画の話みたいに聞こえますけど。
- 0:08SPEAKER_00: 本当にそう聞こえますよね。
- 0:10SPEAKER_00: でも実はもう日本の医療現場に登場しているんです。
- 0:13SPEAKER_01: そうなんですよね。
- 0:14SPEAKER_01: 今日これをお聞きのあなたもがん治療の常識が
- 0:17SPEAKER_01: 覆る瞬間に立ち会うことになります。
- 0:20SPEAKER_01: 今回徹底解剖していくのは
- 0:22SPEAKER_01: 食道がんの新しい治療薬テロメライシンチューです。
- 0:26SPEAKER_01: 提供された最新の最適使用推進ガイドラインと
- 0:29SPEAKER_01: 保険ルールの資料をもとに、
- 0:31SPEAKER_01: この驚きの科学と、
- 0:33SPEAKER_01: それに伴う異常なまでに厳格なルールの背景を
- 0:36SPEAKER_01: 深掘りしていきます。
- 0:38SPEAKER_00: がん治療において、
- 0:39SPEAKER_00: ウイルスそのものを薬として使うというのは、
- 0:42SPEAKER_00: 本当に大きな転換点ですよね。
- 0:44SPEAKER_01: 資料によると、
- 0:45SPEAKER_01: Hタート、
- 0:46SPEAKER_01: つまりがん細胞に特有の環境下でのみ増殖するように
- 0:49SPEAKER_01: 遺伝子改変されたアデノウイルスなんですよね。
- 0:52SPEAKER_01: まさにその通りです。これって単にガンを狙撃するというより、
- 0:56SPEAKER_01: ガン細胞特有のシステムを検知したときだけ自己増殖の
- 1:00SPEAKER_01: 行動を実行するハッカーとかトロイの木馬みたいな
- 1:02SPEAKER_01: イメージですか?
- 1:03SPEAKER_00: その例えすごくわかりやすいですね。
- 1:06SPEAKER_00: 実際のチリムでは上部消化管内視鏡、
- 1:08SPEAKER_00: つまり胃カメラのようなもので
- 1:10SPEAKER_00: 腫瘍に直接ウイルスを打ち込むんです。直接ですか?
- 1:13SPEAKER_00: はい。正常な細胞では何もしないんですけど、
- 1:16SPEAKER_00: ガン細胞の中に入るとどんどん増殖して最終的に細胞を
- 1:20SPEAKER_00: 内側から破裂させるんですよ。
- 1:22SPEAKER_01: 内側からすごいメカニズムですね
- 1:25SPEAKER_01: 放射線治療と併用した国内の試験では
- 1:28SPEAKER_01: あの24週までの局所完全走行割合が41.
- 1:34SPEAKER_01: 7%という結果が出ました
- 1:36SPEAKER_00: 4割以上の患者さんでがんが
- 1:39SPEAKER_00: 完全に消えたってちょっとこれすごい数字に聞こえますね
- 1:43SPEAKER_01: そうですよね
- 1:44SPEAKER_01: ただここは
- 1:45SPEAKER_01: 冷静に見るべきデータもあって
- 1:47SPEAKER_00: そうなんですか?
- 1:48SPEAKER_01: ええ。実は放射線治療単独のグループと比べて、
- 1:52SPEAKER_01: 数学的にはっきりとした明確な差が出たわけでは
- 1:55SPEAKER_01: ないんです。
- 1:56SPEAKER_00: なるほど。
- 1:57SPEAKER_00: 統計的な優位さまではいかなかったんですね。
- 1:59SPEAKER_01: そうなんです。それ
- 2:01SPEAKER_01: でも標準的な治療が難しい患者さんにとっては、
- 2:04SPEAKER_01: 全く新しいメカニズムの選択肢になることが
- 2:06SPEAKER_01: 期待されています。ただ、
- 2:08SPEAKER_01: 非常に重要なポイントがあって、
- 2:10SPEAKER_01: このウイルスの直接投与は
- 2:13SPEAKER_01: 上限3回までに厳しく制限されているんです。え、
- 2:17SPEAKER_00: 待ってください。
- 2:17SPEAKER_00: たった3回ですか?
- 2:19SPEAKER_00: 普通の薬みたいに効くまで打ち続ける
- 2:21SPEAKER_00: わけにはいかないんですか?
- 2:22SPEAKER_01: いかないんです。
- 2:23SPEAKER_01: なぜかというと、
- 2:24SPEAKER_01: これは生きたウイルス
- 2:26SPEAKER_01: だからなんですね。ああ、
- 2:27SPEAKER_00: そっか。
- 2:28SPEAKER_00: 人間の体の免疫システムが反応するから。
- 2:31SPEAKER_01: その通りです。
- 2:32SPEAKER_01: 何度か投与するうちに、
- 2:33SPEAKER_01: 体内にウイルスに対する抗体ができてしまって、
- 2:37SPEAKER_01: 薬としての効果が失われてしまうんですよ。
- 2:39SPEAKER_00: なるほど。
- 2:40SPEAKER_00: ウイルス
- 2:41SPEAKER_00: だからこそ体が排除しようとするわけですね。
- 2:44SPEAKER_00: でも生きた改変ウイルスを使う壁って体の中だけの
- 2:48SPEAKER_00: 話じゃないですよね。はい、
- 2:50SPEAKER_01: 環境面での壁も非常に高いです。
- 2:52SPEAKER_00: 資料にあったカルタヘナ法への対応ですよね。
- 2:55SPEAKER_00: これって要するに遺伝子組み換え生物が
- 2:58SPEAKER_00: 自然界に広がるのを防ぐための法律じゃないですか。
- 3:01SPEAKER_01: そうです。
- 3:02SPEAKER_01: これある意味で患者さん自身が周囲から
- 3:05SPEAKER_01: 隔離されるっていうことですか。
- 3:08SPEAKER_00: 実質的に
- 3:08SPEAKER_00: それに近い運用になりますね。
- 3:10SPEAKER_00: 病院は普通の薬とは
- 3:12SPEAKER_00: 全く別に専用の冷凍庫とか他のエリアから
- 3:16SPEAKER_00: 隔離された調整室
- 3:17SPEAKER_00: それから治療室を用意しなければなりません
- 3:20SPEAKER_01: 専用の部屋までさ
- 3:22SPEAKER_00: らに投与を受けた患者さんは体から
- 3:24SPEAKER_00: ウイルスが排出されるリスクが
- 3:26SPEAKER_00: なくなるまで他の病院に行くことを原則控えるように
- 3:29SPEAKER_00: 指導されます
- 3:30SPEAKER_01: ちょっと待ってくださいそれって街の小さな
- 3:33SPEAKER_01: クリニックには設備投資的に厳しすぎません
- 3:36SPEAKER_00: かそうなんですよかなりハードルが高いです
- 3:39SPEAKER_01: 患者さんにしても、
- 3:41SPEAKER_01: もし投与直後に歯が痛くなったり、
- 3:43SPEAKER_01: 風邪をひいたりしても、
- 3:44SPEAKER_01: 他の病院に行けないってことですよね。
- 3:46SPEAKER_01: 生活への影響が大きすぎませんか?
- 3:48SPEAKER_00: おっしゃる通りです。
- 3:50SPEAKER_00: 便や吐き出したものからウイルスが排出される、
- 3:52SPEAKER_00: いわゆるシェディングと呼ばれる期間中は、
- 3:55SPEAKER_00: 環境への拡散を防ぐために厳格な行動制限が
- 3:58SPEAKER_00: 求められます。
- 3:58SPEAKER_00: なるほど。だからこそ、
- 4:00SPEAKER_00: 扱う医師にも消化器官の薬物療法における長年の厳しい
- 4:05SPEAKER_00: 経験と、
- 4:05SPEAKER_00: 特別な適正使用講習の受講が
- 4:08SPEAKER_00: 必須条件になっているんです。誰
- 4:10SPEAKER_00: でもどこ
- 4:11SPEAKER_00: でも受けられる治療じゃないんですよ。
- 4:13SPEAKER_01: 治療を受ける側も提供する側ももの
- 4:15SPEAKER_01: すごいハードルですね。
- 4:17SPEAKER_01: でもなぜ国は
- 4:18SPEAKER_01: このタイミングでここまで徹底したルール化を急いで
- 4:21SPEAKER_01: いるんでしょうか。
- 4:22SPEAKER_00: 視点を広げて日本の医療経済、
- 4:25SPEAKER_00: つまり保険財政全体を見てみるとわかりやすいです。
- 4:28SPEAKER_01: 保険財政ですか?
- 4:29SPEAKER_00: ね。革新的で非常に高額な最先端医療は、
- 4:33SPEAKER_00: 真に必要な患者さんに確実に届ける必要がありますよね。
- 4:37SPEAKER_00: まあそうですよね。でも、
- 4:39SPEAKER_00: ルールを緩めて不適切に使われてしまえば、
- 4:42SPEAKER_00: 医療費が膨れ上がって制度そのものが
- 4:44SPEAKER_00: パンクしてしまいます。
- 4:46SPEAKER_01: つまり、
- 4:46SPEAKER_01: 病院側が
- 4:47SPEAKER_01: 保険を請求するときのルールで直接縛りを
- 4:51SPEAKER_01: かけるわけですか?
- 4:52SPEAKER_00: その通りです。
- 4:53SPEAKER_00: 令和8年8月13日から適用されるルールではレセプト
- 4:57SPEAKER_00: つまり診療報酬の明細書に厳しい記載義務が課されました
- 5:02SPEAKER_00: ど
- 5:02SPEAKER_00: んな内容ですか施設要件を満たしているか医師の要件を
- 5:07SPEAKER_00: クリアしているか
- 5:07SPEAKER_00: そして投与回数は3回以内かこれを明記することが
- 5:12SPEAKER_00: 完全に義務化されたんです
- 5:14SPEAKER_01: 逆に言うとその条件を一つ
- 5:16SPEAKER_01: でも満たさなければ保険は適用されないってことですね
- 5:19SPEAKER_00: ええ、
- 5:20SPEAKER_00: そういうことです。これ、
- 5:22SPEAKER_01: 今聞いているあなたがもし医療関係者でなくても、
- 5:25SPEAKER_01: 非常に重要なケーススタディーですよね。
- 5:27SPEAKER_01: 間違いなくそうですね。
- 5:29SPEAKER_01: 最先端の科学技術が社会に実装されるとき、
- 5:33SPEAKER_01: 私たちも経済や安全を守るインフラとどう折り合いを
- 5:37SPEAKER_01: つけていくのか、
- 5:38SPEAKER_01: その最前線の攻防が
- 5:40SPEAKER_01: このレセプトのルールに現れているんですね。
- 5:42SPEAKER_00: 科学の進歩だけで医療は完結しませんからね。
- 5:46SPEAKER_00: それを支えて暴走を防ぐ社会的な管理システムが
- 5:49SPEAKER_00: あって初めて新しい治療は機能するんだと思います。
- 5:53SPEAKER_01: 本当にそうですね。
- 5:55SPEAKER_01: 最後にあなたに一つ考えてみてほしいことがあります。
- 5:58SPEAKER_01: 今後このような厳格な隔離とか管理を要する
- 6:02SPEAKER_01: 遺伝子ウイルス治療が当たり前になったとき、
- 6:05SPEAKER_01: 私たちの地域の病院インフラは
- 6:07SPEAKER_01: 果たしてその変化に耐えきれるよう進化できるので
- 6:10SPEAKER_01: しょうか。
- 6:11SPEAKER_00: 思い遠いですね。
- 6:13SPEAKER_01: SF映画のような未来の治療は
- 6:15SPEAKER_01: もう現実のものになっています。でも、
- 6:19SPEAKER_01: それを受け入れる私たちの社会の準備はできているので
- 6:22SPEAKER_01: しょうか?
- 6:23SPEAKER_01: ぜひ考えてみてください。