Latest / 岡大徳のポッドキャスト / DPC高額薬剤判定|新薬など7品目が出来高算定へ【中医協第652回】
Transcript
- 0:00SPEAKER_00: 1回の治療で931万円。
- 0:04SPEAKER_00: リスナーのあなたなら、
- 0:05SPEAKER_00: もし自分が病院の経営者だとしたら、
- 0:08SPEAKER_00: この超高額な新薬をためらわずに患者さんへ提供できます
- 0:12SPEAKER_00: か?
- 0:12SPEAKER_01: いや、それはかなり厳しい決断になりますよね。
- 0:15SPEAKER_00: ですよね。今回は
- 0:17SPEAKER_00: 令和8年7月8日の中医教総会資料を紐解いていくんです
- 0:21SPEAKER_00: が、
- 0:22SPEAKER_00: この日本の医療費制度の裏側で病院の経営とか私たちの
- 0:27SPEAKER_00: 命を救っているDPC、
- 0:29SPEAKER_00: 工学薬剤判定のからくりに迫りたいと思います。はい。
- 0:33SPEAKER_01: このDPC制度ってリスナーの皆さんも
- 0:35SPEAKER_01: よくご存知かと思うんですが、
- 0:37SPEAKER_01: いわゆる医療費の定額制ですよね。え、
- 0:40SPEAKER_00: あえて定額制のパッケージツアーみたいなものだと
- 0:43SPEAKER_00: 想像してみてください。
- 0:44SPEAKER_00: そこに突如数百万の追加オプションを頼む人が
- 0:47SPEAKER_00: 現れたらどうなるか。
- 0:48SPEAKER_01: ツアー会社、
- 0:49SPEAKER_01: つまり病院の経営はもうひとたまりもないですよ。
- 0:52SPEAKER_01: 確実に大赤字になっちゃいます。
- 0:54SPEAKER_00: だからこそ、
- 0:55SPEAKER_00: その定額制の枠組みを維持しつつ、
- 0:58SPEAKER_00: 病院が破綻しないためのセーフティーネットが
- 1:00SPEAKER_00: 用意されているんですよね。
- 1:02SPEAKER_00: えっと、確か基準になるのが…
- 1:04SPEAKER_01: はい、ここで登場するのが
- 1:06SPEAKER_01: 84%タイル値の壁というものなんです。
- 1:10SPEAKER_00: 84%タイル。
- 1:12SPEAKER_00: これって過去の同じような症例の薬剤費を下から
- 1:16SPEAKER_00: ずらーっと並べていって、
- 1:17SPEAKER_00: 下から84%に位置する金額のことですよね。
- 1:20SPEAKER_01: そうですそうです。
- 1:21SPEAKER_01: つまり新薬の標準的な使用額が
- 1:24SPEAKER_01: この壁を超えちゃった場合。
- 1:26SPEAKER_00: 上位16%という想定外のコストになるから
- 1:29SPEAKER_00: パッケージツアーの定格料金から外してしまうと。ええ、
- 1:32SPEAKER_01: 別料金として使った分だけ請求できる
- 1:35SPEAKER_01: 仕組みになっています。
- 1:36SPEAKER_00: これなら病院は
- 1:37SPEAKER_00: 赤字を恐れずに最先端の薬を導入できるわけです。
- 1:41SPEAKER_01: なるほど。
- 1:42SPEAKER_01: 包括評価っていう大原則が
- 1:44SPEAKER_01: 革新的な新薬導入の
- 1:46SPEAKER_01: 壁にならないようになっているんですね。
- 1:48SPEAKER_00: 次の改定までの特例として、
- 1:51SPEAKER_00: 出来高算定への切り替えを認めるっていう非常に
- 1:54SPEAKER_00: よくできた防波堤と言え
- 1:55SPEAKER_01: ますね。
- 1:56SPEAKER_01: その防波堤の仕組みはすごくよくわかるんですが、
- 1:59SPEAKER_01: 実際にその壁を突き抜ける新薬って現場にどれほどの
- 2:03SPEAKER_01: 衝撃を与えているんですか?
- 2:05SPEAKER_00: それがですね、
- 2:06SPEAKER_00: 今回の資料で出来高算定の提案対象になった7品目を
- 2:10SPEAKER_00: 見るとよくわかります。いや、
- 2:13SPEAKER_00: 本当にここからが面白いというかすごいところで、
- 2:16SPEAKER_00: 先ほども触れた膀胱が
- 2:17SPEAKER_00: ん治療薬のエドシチラドリン膀胱内注入液、
- 2:20SPEAKER_00: これですね。はい、
- 2:21SPEAKER_00: エドシチラドリンですね。
- 2:23SPEAKER_00: これがなんと1回約931万円なんですよ。
- 2:27SPEAKER_00: 対象になる84%アイル値の90倍以上っていう。
- 2:31SPEAKER_01: もう金額の桁が全然違いますよね。
- 2:34SPEAKER_01: パッケージツアーに突然プライベートジェット代が
- 2:37SPEAKER_01: 乗っかるような感覚ですよ。
- 2:38SPEAKER_00: まったくですね。
- 2:40SPEAKER_00: ただ現場にとっての真の脅威ってこの金額の
- 2:43SPEAKER_00: 高さだけじゃないんですよね。
- 2:45SPEAKER_01: おっしゃる通りです。
- 2:46SPEAKER_01: 実は運用の複雑さの方が恐ろしいんですよ。
- 2:49SPEAKER_01: 例えばアレセンサカプセルという薬があるんですが。
- 2:52SPEAKER_01: アレセンサカプセル、はい。これ、脳腫瘍から不人化疾患まで、
- 2:56SPEAKER_01: なんと39もの診断群分類に
- 2:59SPEAKER_01: またがって使われるんです。え、
- 3:01SPEAKER_00: 39ですか。
- 3:02SPEAKER_00: それはすごい数ですね。
- 3:04SPEAKER_01: さらに、
- 3:05SPEAKER_01: ジャスケードのように出来高算定の対象になりつつ、
- 3:08SPEAKER_01: 既存の細かい分類の分岐条件にも同時に組み込まれる
- 3:12SPEAKER_01: ケースもあるんです。
- 3:13SPEAKER_00: うわぁ、
- 3:13SPEAKER_00: それは恐ろしいですね。
- 3:15SPEAKER_00: あのあなたがもし病院の維持部門でレセプト
- 3:19SPEAKER_00: つまり診療報酬の請求書を作っている担当者だと
- 3:22SPEAKER_00: したらですよ
- 3:23SPEAKER_01: 本当にプレッシャーです
- 3:25SPEAKER_00: よねこの複雑な条件分岐を一つ
- 3:29SPEAKER_00: でも見落として誤って通常のdpc定額のまま
- 3:33SPEAKER_00: 処理してしまったら
- 3:34SPEAKER_01: はい数百万とか下手したら
- 3:36SPEAKER_01: 数千万円という本来得られるはずの報酬が
- 3:39SPEAKER_01: 完全に吹き飛んでしまいます
- 3:41SPEAKER_00: そのなんだろう単に高額な薬が出たから
- 3:44SPEAKER_00: 別箱で計算しようっていう単純な話じゃないんですね
- 3:47SPEAKER_01: そうなんですカルテを読み解いて39の分類から
- 3:52SPEAKER_01: 正しいものを選択してさらに例外ルールのフラグを正確に
- 3:56SPEAKER_01: 立てる
- 3:56SPEAKER_00: この地道で複雑なコーディング作業をミスなく
- 3:59SPEAKER_00: こなさないと病院の経営そのものが
- 4:02SPEAKER_00: 傾きかねないってことです
- 4:03SPEAKER_01: よね現場のプレッシャーちょっと尋常ではないはずです
- 4:07SPEAKER_00: そうやって実態を見ていくと、
- 4:09SPEAKER_00: この高額薬剤判定って単なる病院の事務手続きでは
- 4:13SPEAKER_00: ないですね。
- 4:14SPEAKER_00: 私たちが最先端の治療を安心して受けられる裏側には、
- 4:17SPEAKER_00: こういう…
- 4:18SPEAKER_01: 制度を緻密に設計する側と、
- 4:20SPEAKER_01: それを絶対に間違えられないプレッシャーの中で運用する
- 4:24SPEAKER_01: 現場スタッフの奮闘があるわけですね。
- 4:26SPEAKER_01: 本当にそうですね。ただ、
- 4:29SPEAKER_01: 今回この資料を読んでいてふと恐ろしくなったことが
- 4:32SPEAKER_00: あるんです。何ですか?
- 4:33SPEAKER_01: 医療技術がどんどん進歩して、
- 4:36SPEAKER_01: 今回のような900万円超えとか、
- 4:38SPEAKER_01: あるいはそれ以上の超高額新薬が
- 4:41SPEAKER_01: 日常的に登場する未来になったら。ああ、
- 4:44SPEAKER_01: なるほど。
- 4:46SPEAKER_01: このパッケージツアーの赤字を一時的に埋める
- 4:48SPEAKER_01: 出来高算定への逃げ道っていうシステムは、
- 4:52SPEAKER_01: 果たしていつまで持ちこたえられるんでしょうか。
- 4:54SPEAKER_00: 確かに。
- 4:55SPEAKER_00: 例外が多すぎたら、
- 4:57SPEAKER_00: もう定額制っていうツアーの枠組み自体が根本から
- 5:00SPEAKER_00: 限界を迎える日が来るのかもしれませんね。
- 5:03SPEAKER_01: まさにそこが
- 5:04SPEAKER_01: 今後の医療制度の大きな課題になると思います。
- 5:07SPEAKER_00: リスナーのあなたなら、
- 5:09SPEAKER_00: この究極の選択を迫られる未来の医療制度を
- 5:12SPEAKER_00: どうデザインしますか。
- 5:14SPEAKER_00: 次回の病院受診の際、
- 5:16SPEAKER_00: 少しだけその裏側を想像してみてください。