Latest / 岡大徳のポッドキャスト / 中医協総会第653回|9月収載の新機能医療機器4製品をやさしく解説
Transcript
- 0:00SPEAKER_00: あのー、
- 0:00SPEAKER_00: リスナーのあなたも、
- 0:02SPEAKER_00: 病院で最新の医療機器を見たときにですね、
- 0:05SPEAKER_00: これって一体誰が
- 0:06SPEAKER_00: どうやって値段をつけているんだろうって疑問に思った
- 0:09SPEAKER_00: ことありませんか?
- 0:10SPEAKER_01: あー、ありますよね。
- 0:12SPEAKER_00: なんか、
- 0:12SPEAKER_00: メニューに値札が
- 0:13SPEAKER_00: ない高級レストランに入っちゃったような、あの、
- 0:15SPEAKER_00: そわそわする感覚というか。
- 0:17SPEAKER_01: 確かに。
- 0:17SPEAKER_01: 私たちの命を救ってくれるテクノロジーですけど、
- 0:20SPEAKER_01: その価格が
- 0:21SPEAKER_01: どう決まるのかって完全にブラックボックスですよね。
- 0:24SPEAKER_00: そうなんですよ。
- 0:26SPEAKER_00: なので今回の深掘りではですね、
- 0:28SPEAKER_00: まさにその裏側を読み解いていきます。
- 0:30SPEAKER_00: ターゲットは
- 0:31SPEAKER_00: 2026年9月に新たに保険適用された4つの最先端デバイスの
- 0:37SPEAKER_00: 資料です。
- 0:38SPEAKER_01: いわゆる区分C1と呼ばれるカテゴリーですね。
- 0:41SPEAKER_00: 区分C1ですか。
- 0:43SPEAKER_01: これ既存の製品に全く新しい機能が追加されたり、
- 0:47SPEAKER_01: そもそも世の中に類似費が
- 0:48SPEAKER_01: 存在しない新技術につけられる枠組みなんです。
- 0:51SPEAKER_00: なるほど。
- 0:52SPEAKER_00: でも面白いのは、
- 0:54SPEAKER_00: 医療機器って一度デビューしたら
- 0:56SPEAKER_00: それで終わり、
- 0:57SPEAKER_00: 価格もそのままってわけじゃないんですよね。
- 0:59SPEAKER_00: そうなんです。そこが面白いところでして。
- 1:02SPEAKER_00: 今回価格が
- 1:02SPEAKER_00: 上がったサピエンスリーウルトラレジリアっていう
- 1:05SPEAKER_00: 人工生体弁と、
- 1:07SPEAKER_00: コバルトMRIシリーズっていう植え込み型除細動機が
- 1:10SPEAKER_00: ありましたよね。はい、
- 1:11SPEAKER_00: その2つですね。
- 1:12SPEAKER_00: これっていわばデビューした後に実は
- 1:15SPEAKER_00: 私こんなにすごいんです
- 1:16SPEAKER_00: って実データを突きつけて自己ベストを更新した
- 1:19SPEAKER_00: アスリートが
- 1:20SPEAKER_00: 年報アップを勝ち取るようなそんな仕組みですよね。
- 1:23SPEAKER_01: まさにその通りです。
- 1:24SPEAKER_01: 専門用語でチャレンジ申請と呼ぶんですけど。
- 1:27SPEAKER_00: チャレンジ申請?
- 1:28SPEAKER_00: はい。
- 1:29SPEAKER_00: 市販後にデータを集めてその有用性を証明できれば価格に
- 1:33SPEAKER_00: プラスの評価、
- 1:33SPEAKER_00: つまり有用性加算がつく仕組みなんです。
- 1:36SPEAKER_01: 実力主義なんですね。ねえ。
- 1:38SPEAKER_00: 例えばコバルトの場合だと、
- 1:40SPEAKER_00: 単に心臓に電気ショックを与えるだけじゃなくて、
- 1:43SPEAKER_00: IATPという新しい機能が評価されました。
- 1:46SPEAKER_01: IATP、それはどういう機能なんですか?
- 1:50SPEAKER_00: あの、過去の治療結果をデバイス自体が学習して、
- 1:53SPEAKER_00: 次の治療の強さとかタイミングを自動調整するんです。
- 1:56SPEAKER_01: え、デバイスが自分で学習して最適化するんですか?
- 2:00SPEAKER_01: そうなんです。なんかスマート家電の命に関わる
- 2:03SPEAKER_00: バージョンみたいですね。本当にそんな感じです。
- 2:05SPEAKER_00: その結果、
- 2:06SPEAKER_00: 危険な進出頻迫を止める成功率が、
- 2:09SPEAKER_00: なんと86.
- 2:10SPEAKER_00: 2%にまで達したんですよ。
- 2:12SPEAKER_01: 86.2%、
- 2:14SPEAKER_01: それはすごい。
- 2:15SPEAKER_01: データの蓄積が
- 2:16SPEAKER_01: ダイレクトに5%の価格上乗せにつながったわけですね。
- 2:20SPEAKER_00: はい。で、
- 2:21SPEAKER_00: サピエン3の方もデータでその実力を証明しまして。
- 2:25SPEAKER_01: あの、
- 2:25SPEAKER_01: 大動脈弁強作症に使う人工生態弁ですね。
- 2:28SPEAKER_00: ねえ。
- 2:29SPEAKER_00: こちらは、
- 2:30SPEAKER_00: 術後8年という長いスパンで見た時のデータなんですが。
- 2:32SPEAKER_00: 8年ですか。はい。
- 2:34SPEAKER_00: 重度な弁の劣化をですね、
- 2:36SPEAKER_00: 従来の9.
- 2:37SPEAKER_00: 5%からなんと0.
- 2:39SPEAKER_00: 7%にまで劇的に抑え込んだというデータを
- 2:42SPEAKER_00: 提示したんです。
- 2:43SPEAKER_01: ちょっと待ってください。9.5%が0.
- 2:45SPEAKER_01: 7%になったんですか。
- 2:47SPEAKER_00: そうなんです。
- 2:48SPEAKER_00: ほぼ10分の1以下ですよね。
- 2:50SPEAKER_01: それは患者さんのその後の人生の長さに直結しますよね。
- 2:54SPEAKER_01: でもサピエン3って約494万円もするじゃないですか。
- 2:58SPEAKER_01: はい。
- 2:58SPEAKER_00: かなり高額な部類に入りますね。
- 3:00SPEAKER_01: 国もデータが良いならいくら
- 3:02SPEAKER_01: でも払いますよって青天井で認めてるわけじゃないです
- 3:05SPEAKER_00: よねもちろんですそこはすごくシビアでして
- 3:07SPEAKER_00: だからこそこの494万円という価格は
- 3:12SPEAKER_00: 2028年5月31日までという厳しい期限付きなんですよ
- 3:17SPEAKER_00: 期限があるんですか
- 3:18SPEAKER_00: それにサビエンスリーはピーク時の予測販売金額が
- 3:23SPEAKER_00: 806億円という巨額に上るんですね806億。はい。
- 3:28SPEAKER_00: これだけ市場にインパクトを与える製品は、
- 3:31SPEAKER_00: 費用対効果評価の対象になります。
- 3:34SPEAKER_01: つまり、
- 3:35SPEAKER_01: 本当にその価格に見合う効果が出ているのか、
- 3:37SPEAKER_01: 後から厳しく再計算されるってことですか?
- 3:40SPEAKER_00: その通りです。
- 3:41SPEAKER_00: 場合によっては価格が
- 3:43SPEAKER_00: 引き下げられる可能性すらあります。
- 3:45SPEAKER_01: なるほど。
- 3:46SPEAKER_01: すごければ手放しで褒められるわけじゃなくて、
- 3:48SPEAKER_01: 常に監視されてるんですね。ええ。
- 3:51SPEAKER_00: 経済的な持続可能性も重要
- 3:53SPEAKER_00: ですから。
- 3:54SPEAKER_01: じゃあ既存のデバイスの進化じゃなくて全く新しい技術は
- 3:58SPEAKER_01: どう根付けされるんですか?
- 4:00SPEAKER_01: 今回デュアルビューとオスピカTMAという新製品も
- 4:03SPEAKER_01: ありましたよね。はい。
- 4:04SPEAKER_00: まずデュアルビューですが、
- 4:06SPEAKER_00: これは欠陥の中を見るためのカテーテルでして、
- 4:09SPEAKER_00: これまで別々に使っていた光による高精細な画像を作る
- 4:14SPEAKER_00: OCTと超音波による深部までの画像を作るアイブスの
- 4:18SPEAKER_00: センサーをですね、
- 4:20SPEAKER_00: なんと1本のワイヤーに統合しちゃったんです。
- 4:23SPEAKER_01: 光と音のいいとこ取りを一本で同時にやるって
- 4:26SPEAKER_01: ことですか?
- 4:27SPEAKER_00: そうなんです。
- 4:28SPEAKER_00: 画期的ですよね。
- 4:29SPEAKER_01: それなら手術の時間も短くなるし、
- 4:31SPEAKER_01: 患者さんの負担もかなり減りますよね。ええ。
- 4:34SPEAKER_00: ただ価格は
- 4:35SPEAKER_00: 既存の製品と同額の13万2000円に設定されました。あ、
- 4:39SPEAKER_01: そこは末置きなんですね。はい。
- 4:42SPEAKER_00: 一方で全く新しいジャンルを開拓したのが
- 4:44SPEAKER_00: オスピカTMAです。
- 4:46SPEAKER_01: それはどんなデバイスなんですか?
- 4:48SPEAKER_01: 心臓の手術後に起きる心房細胞を止めるワイヤーなんです
- 4:52SPEAKER_01: が、
- 4:52SPEAKER_01: これ世の中に類似品がないんですよ。
- 4:54SPEAKER_00: 類似品がないってことは、
- 4:56SPEAKER_00: 基準にする価格がないわけですよね。
- 4:59SPEAKER_00: どうやって計算するんですか?
- 5:00SPEAKER_01: そこで、減価計算方式というものが使われます。
- 5:03SPEAKER_00: 減価計算方式?
- 5:05SPEAKER_01: はい。製造にかかる材料費とか人件費、
- 5:08SPEAKER_01: 流通コストなんかをゼロから積み上げていくんです。
- 5:11SPEAKER_00: なるほど。それでいくらになったんですか?
- 5:14SPEAKER_01: 約79,600円という価格が弾き出されました。え?
- 5:18SPEAKER_00: なんか画期的な新技術なのに意外とお手頃ですね。
- 5:21SPEAKER_00: そう感じるかもしれませんね。でもちょっと腑に落ちないのが、
- 5:25SPEAKER_00: こんなに安くて便利ならもっとバンバン使えば
- 5:28SPEAKER_00: いいのにって思うんですが、
- 5:31SPEAKER_00: 対象が18歳以上だったり特定の手術に限るとか、
- 5:35SPEAKER_00: 1回の手術につき2個までってものすごくガチガチに
- 5:38SPEAKER_00: ルールで縛られてますよね。これはなぜですか?
- 5:40SPEAKER_01: まあ単価が安いからといって、
- 5:43SPEAKER_01: 現場のお医者さんが
- 5:44SPEAKER_01: 念のためと全員に使い始めたらどうなるか
- 5:46SPEAKER_01: 想像してみてください。ああ、
- 5:48SPEAKER_00: 塵も積もれば
- 5:49SPEAKER_00: でものすごい額になっちゃう。
- 5:51SPEAKER_01: そうなんです。
- 5:52SPEAKER_01: 国の医療費はあっという間にパンクしてしまいますよね。
- 5:55SPEAKER_01: 確かに。
- 5:56SPEAKER_01: だからこそ、
- 5:57SPEAKER_01: 関連学会の指針に沿って、
- 5:59SPEAKER_01: 術後にリスクが
- 6:00SPEAKER_01: 本当に高い患者さんだけにターゲットを厳密に
- 6:03SPEAKER_01: 絞り込んでいるんです。
- 6:04SPEAKER_00: つまり、
- 6:04SPEAKER_00: 医療の進化と医療費の抑制は
- 6:06SPEAKER_00: 常にギリギリの綱引きをしている状態なんですね。
- 6:09SPEAKER_01: まさにその通りです。
- 6:11SPEAKER_00: 画期的なデバイスが生まれても、
- 6:13SPEAKER_00: 期限付きの価格だったり、
- 6:15SPEAKER_00: ガチガチの算定ルールがあったり、
- 6:17SPEAKER_00: 売れすぎたら再評価されたり。
- 6:19SPEAKER_01: テクノロジーの進歩は素晴らしいことですが、
- 6:22SPEAKER_01: それを社会全体でどう支え続けるかという非常に冷徹な
- 6:26SPEAKER_01: システムが裏で動いているということなんです。
- 6:29SPEAKER_00: なるほどな。
- 6:31SPEAKER_00: リスナーのあなたもぜひ想像してみてください。自分が
- 6:35SPEAKER_00: もし手術台に上がるとき当然最高で最新の技術を
- 6:39SPEAKER_00: 使いたいって願うはずですよね
- 6:40SPEAKER_01: 誰だってそう思います
- 6:42SPEAKER_00: でもその一方で誰もが
- 6:45SPEAKER_00: 最新技術を無制限に使えばシステム自体が
- 6:48SPEAKER_00: 崩壊してしまうこの命を救うイノベーションと経済的な
- 6:53SPEAKER_00: 持続可能性というシビアな天秤あなたならどうバランスを
- 6:56SPEAKER_00: 取るべきだと思いますか