Latest / 岡大徳のポッドキャスト / 半月板再生の「セイビスカス注」は医療機器の例で扱う案|中医協654回
Transcript
- 0:00SPEAKER_01: あのちょっと想像してみてほしいんですけど
- 0:02SPEAKER_01: 液体の注射を膝に打ってボロボロになった軟骨を
- 0:06SPEAKER_01: 再生させる魔法みたいな治療法が
- 0:08SPEAKER_01: あるとしてなのにお役所は
- 0:10SPEAKER_01: その液体を薬じゃなくて医療機器として分類しようと
- 0:14SPEAKER_01: しているんですこれなんかSFAがの話みたいに聞こえます
- 0:17SPEAKER_01: よね
- 0:17SPEAKER_01: でもこれ現
- 0:19SPEAKER_00: 実なんですよそうですね今回私たちが
- 0:22SPEAKER_00: 深掘りする資料は注意教
- 0:24SPEAKER_00: つまり中央社会保険医療協議会の議事録なんですが
- 0:28SPEAKER_01: 医療保険のルールを決める会議ですよね。はい。
- 0:31SPEAKER_00: テーマは
- 0:32SPEAKER_00: 半月版再生の最新治療であるセイビスカスチューです。
- 0:36SPEAKER_00: 一見するとお堅い行政文書なんですけど、
- 0:39SPEAKER_00: 中身は実にエキサイティングなんですよ。いや、
- 0:41SPEAKER_01: 本当ワクワクしますよね。
- 0:43SPEAKER_01: この最先端の再生医療が
- 0:44SPEAKER_01: あなたの今後の選択肢をどう変えるのか、
- 0:47SPEAKER_01: 徹底的に読み解いていきましょう。ええ。
- 0:49SPEAKER_00: 最先端のテクノロジーが
- 0:51SPEAKER_00: 現実の医療システムとどうぶつかって、
- 0:54SPEAKER_00: 新しい枠組みを作っていくのかが
- 0:56SPEAKER_00: 生々しく記録されていますからね。
- 0:58SPEAKER_01: まずはこのセイビスカスチュー。
- 1:00SPEAKER_01: 一体何者なのかってところからです。はい、
- 1:02SPEAKER_00: そこが一番気になりますよね。これ、
- 1:05SPEAKER_01: 患者さん自身の膝にあるカツ膜、
- 1:08SPEAKER_01: 関節を包んで保護している内側の柔らかい膜ですね。
- 1:11SPEAKER_00: ええ、
- 1:11SPEAKER_00: そうです。
- 1:12SPEAKER_01: そこから肝細胞を取ってきて、
- 1:14SPEAKER_01: 培養して液状にするんです。で、
- 1:17SPEAKER_01: 縫い合わせた半月盤の傷口に直接塗って直すという
- 1:20SPEAKER_01: 仕組みなんですよね。
- 1:21SPEAKER_01: その通りです。要するに自分の体の一部を取り出して超強力な
- 1:27SPEAKER_01: 自家製修理キットみたいに育て上げてから
- 1:30SPEAKER_01: 膝に戻すような感覚ですよね。
- 1:33SPEAKER_00: それは面白い表現ですね。
- 1:35SPEAKER_00: さらにここで興味深いのは
- 1:37SPEAKER_00: なぜ効くのかというメカニズムなんですよ。
- 1:40SPEAKER_00: ただ傷口に蓋をするだけ
- 1:41SPEAKER_01: じゃないって
- 1:42SPEAKER_00: ことですか?
- 1:42SPEAKER_00: そうなんです。
- 1:44SPEAKER_00: 培養した細胞が物理的な蓋をするだけではなくて、
- 1:47SPEAKER_00: 塗られた幹細胞自体が
- 1:48SPEAKER_00: 軟骨細胞に変化して組織を治すんです。
- 1:52SPEAKER_00: なるほど。
- 1:53SPEAKER_00: それに加えて、
- 1:54SPEAKER_00: ダメージを受けた部分に周囲の活膜組織を
- 1:57SPEAKER_00: 引き寄せるんですよね。
- 1:58SPEAKER_01: へー、
- 1:59SPEAKER_01: 周りの組織も巻き込むんだ。ええ。
- 2:02SPEAKER_00: そうすることで、
- 2:03SPEAKER_00: もともと体内に備わっている幹細胞が
- 2:05SPEAKER_00: どんどん集まってくるんです。
- 2:07SPEAKER_00: 単なる修理キットというより、
- 2:09SPEAKER_00: 自分自身の自然治癒力を全開にするための着火剤のような
- 2:13SPEAKER_00: 役割を果たします。
- 2:14SPEAKER_01: あなたの細胞が応援部隊を呼び寄せるわけですね。
- 2:18SPEAKER_01: でもここでちょっと腑に落ちないポイントがあるんです
- 2:20SPEAKER_01: よ。何
- 2:21SPEAKER_00: でしょうか?
- 2:22SPEAKER_01: 名前に注、
- 2:23SPEAKER_01: つまり注射とついている液体なのに、
- 2:26SPEAKER_01: 議事録を読むと医療機器の例として扱う案が出ています
- 2:29SPEAKER_01: よね。はい、
- 2:30SPEAKER_00: 出ていますね。
- 2:31SPEAKER_01: いやいや、
- 2:32SPEAKER_01: ちょっと待ってくださいよ。
- 2:33SPEAKER_01: トープを見ても液体なのに、
- 2:34SPEAKER_01: 機器、デバイスって呼ぶのは違和感ありませんか?
- 2:37SPEAKER_01: リスナーのあなたも注射液を医療機器とは
- 2:40SPEAKER_01: 普通呼ばないと思うんですよ。
- 2:42SPEAKER_00: 直感的にはかなり違和感があるはずです。ただ、
- 2:45SPEAKER_00: ルールの裏側を見るとしっかり納得できる理由が
- 2:48SPEAKER_00: あるんですよ。と言いますと?
- 2:50SPEAKER_00: 新しい再生医療が出てきた際、
- 2:53SPEAKER_00: 既存のルールでは
- 2:54SPEAKER_00: 薬か医療機器のどちらかに当てはめる必要がありました。
- 2:58SPEAKER_01: ああ、
- 2:58SPEAKER_01: そういう枠組みがあるんですね。ええ。で、
- 3:01SPEAKER_01: このセイビスカス中は薬局
- 3:03SPEAKER_01: でもらう薬みたいにポンと打って終わりというものでは
- 3:05SPEAKER_01: ないんです。
- 3:07SPEAKER_00: 違うんですか?
- 3:08SPEAKER_01: まず患者さんの血液と滑膜を採取して細胞を培養する。
- 3:12SPEAKER_01: その後、
- 3:13SPEAKER_01: 関節鏡というカメラを使った外科手術で半月盤を
- 3:17SPEAKER_01: 保護して、
- 3:18SPEAKER_01: そこに凍らせておいた細胞を溶かして
- 3:21SPEAKER_01: 直接塗り込むんです。
- 3:22SPEAKER_01: つまりこの一連の高度な外科手術と完全に
- 3:26SPEAKER_01: セットになっているんですよね。ああ、
- 3:28SPEAKER_00: なるほど。
- 3:29SPEAKER_00: 液体そのものを評価しているんじゃなくて、
- 3:31SPEAKER_00: 細胞の採取から手術、
- 3:33SPEAKER_00: 塗布に至るまでの一連のシステム全体を一つの技術として
- 3:36SPEAKER_00: 見ているから危機なんですね。
- 3:38SPEAKER_01: まさにその通りです。
- 3:39SPEAKER_00: 例えば、
- 3:40SPEAKER_00: 3Dプリンターのインクだけを見て文房具だって
- 3:42SPEAKER_00: 言うんじゃなくて、
- 3:43SPEAKER_00: プリンター本体と印刷プロセス全体を含めて
- 3:46SPEAKER_00: 精密機械だって呼ぶようなものですね。ええ、
- 3:49SPEAKER_01: 完璧な例えです。
- 3:50SPEAKER_01: 細胞による組織修復という構造的な作用があって、
- 3:53SPEAKER_01: 主義と一体化しているからこそ機器の枠組みが
- 3:56SPEAKER_01: 適していると判断されたわけです。でも、
- 3:58SPEAKER_00: そこまで大掛かりな手術システムとして扱うなら、
- 4:01SPEAKER_00: 当然患者側にかかる負担も大きいわけですよね。
- 4:04SPEAKER_01: そうですね、
- 4:04SPEAKER_01: 負担はあります。
- 4:05SPEAKER_00: だとしたら
- 4:06SPEAKER_00: それに見合うだけの圧倒的な効果が
- 4:08SPEAKER_00: ないと割に合いません。
- 4:09SPEAKER_00: 実際のデータはどうなんでしょうか?
- 4:11SPEAKER_01: そこが一番の注目ポイントです。
- 4:14SPEAKER_01: 承認前の最終段階である第3層試験、
- 4:17SPEAKER_01: つまり人に対する臨床試験のデータなんですが。
- 4:20SPEAKER_00: はい、どうでした?
- 4:21SPEAKER_01: 膝の機能を示すスコアが平均53.
- 4:25SPEAKER_01: 5点も改善しました。53.
- 4:27SPEAKER_00: 5点って結構すごい数字に聞こえますけど。ええ、
- 4:31SPEAKER_00: 事前に設定された目標値が22点だったので、
- 4:34SPEAKER_00: これを大きく上回っています。
- 4:37SPEAKER_00: 対象群なしの19例という小規模なデータですが。
- 4:40SPEAKER_01: 北標の倍以上じゃないですか。
- 4:42SPEAKER_00: そうなんです。
- 4:44SPEAKER_00: さらに製品と因果関係のある重篤な副作用などの危険な
- 4:48SPEAKER_00: 有害事象は一見も報告されていません。
- 4:51SPEAKER_01: 安全性も高いと。
- 4:52SPEAKER_01: でもそれって
- 4:53SPEAKER_01: つまり私たちの実生活にどういう意味をもたら
- 4:56SPEAKER_01: すんでしょうか。
- 4:57SPEAKER_00: これをより大きな視点で捉えると、
- 4:59SPEAKER_00: 画期的なのは、
- 5:00SPEAKER_00: これまで自然治癒は
- 5:02SPEAKER_00: 無理だとされてきた半月膜の中央部分での結果なんです。
- 5:06SPEAKER_01: あー、
- 5:06SPEAKER_01: 血流がないエリアですよね。
- 5:08SPEAKER_00: ええ、そこ
- 5:08SPEAKER_00: でも完全な融合が確認された点が大きいですね。
- 5:12SPEAKER_01: それはすごい。
- 5:13SPEAKER_00: もちろん、
- 5:14SPEAKER_00: 全症例の調査や専門医による厳格な管理体制の整備と
- 5:17SPEAKER_00: いった厳しい条件は伴うんですけどね。
- 5:20SPEAKER_00: なるほど。それ
- 5:21SPEAKER_00: でもこれまで有効な治療法が
- 5:23SPEAKER_00: なくて深刻な膝の痛みを抱えていた方にとって画期的な
- 5:26SPEAKER_00: 一歩になることは間違いありません。
- 5:28SPEAKER_01: セイビスカス中は単なる薬では
- 5:30SPEAKER_01: なく患者さん自身の細胞を使った再生医療のシステム全体
- 5:34SPEAKER_01: なんですね。
- 5:35SPEAKER_01: それを医療機器として捉える。はい、
- 5:38SPEAKER_00: そういうことです。
- 5:39SPEAKER_00: テクノロジーの進化が
- 5:40SPEAKER_00: 言葉の定義をアップデートしていく良い例ですね。
- 5:44SPEAKER_01: このお役所の硬い記事録には
- 5:46SPEAKER_01: 私たちの膝をすくうかもしれない最先端の物語が
- 5:49SPEAKER_01: 詰まっていました
- 5:50SPEAKER_01: さて今これを聞いているあなたに最後に一つ考えてみて
- 5:54SPEAKER_01: ほしいことがあります
- 5:55SPEAKER_01: 何でしょう今後あなた専用にカスタマイズされた生きた
- 6:01SPEAKER_01: 細胞を使う治療が医療の主流になった時私たちが当たり
- 6:05SPEAKER_01: 前だと思っている薬と手術の境界線は
- 6:08SPEAKER_01: 一体どうなってしまうので
- 6:10SPEAKER_01: しょうか今回の深掘りを踏まえてぜひご自身自身
- 6:13SPEAKER_01: でも想像を膨らませてみてください。