
ありときのこ 著者:宮沢 賢治 読み手:若竹 明日香 時間:6分3秒
ありときのこ
著者:宮沢 賢治 読み手:若竹 明日香 時間:6分3秒
苔いちめんに、霧がぽしゃぽしゃ降って、蟻の歩哨は鉄の帽子のひさしの下から、するどいひとみであたりをにらみ、青く大きな羊歯の森の前をあちこち行ったり来たりしています。
向こうからぷるぷるぷるぷる一ぴきの蟻の兵隊が走って来ます。
「停まれ、誰かッ」
「第百二十八聯隊の伝令!」
「どこへ行くか」
「第五十聯隊 聯隊本部」
歩哨はスナイドル式の銃剣を、向こうの胸に斜めにつきつけたまま、その眼の光りようや顎のかたち、それから上着の袖の模様や靴のぐあい、いちいち詳しく調べます・・・
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