Latest / 岡大徳のポッドキャスト / テロメライシンを医薬品の例で対応する案|中医協が示した保険適用の考え方
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- 0:00SPEAKER_01: あの普通ウイルスって聞くとなんかこう熱を出して
- 0:04SPEAKER_01: 寝込むような病気をもたらす悪者っていうイメージが
- 0:08SPEAKER_01: ありますよね
- 0:08SPEAKER_01: でも今日あなたと一緒に深掘りしていくのは
- 0:11SPEAKER_01: その全く逆なんですそうですね
- 0:14SPEAKER_01: はいがん細胞だけを狙い撃ちにするいわばあの暗殺者と
- 0:19SPEAKER_01: して働くようにプログラミングされたウイルスの
- 0:21SPEAKER_01: 話なんですよ
- 0:22SPEAKER_00: すごくsfチックに聞こえますが
- 0:24SPEAKER_00: 現実の話なんですよねさ
- 0:26SPEAKER_01: らに面白いのが、
- 0:29SPEAKER_01: このまるでSFみたいな生きた最新治療法に、
- 0:32SPEAKER_01: 日本の行政が
- 0:33SPEAKER_01: どうやってその値段のラベルを張ろうと
- 0:36SPEAKER_01: 悪戦苦闘しているかというドラマなんです。
- 0:39SPEAKER_00: まさに最先端の科学と何十年も前に作られたお堅い精度が
- 0:43SPEAKER_00: ぶつかり合う、
- 0:44SPEAKER_00: すごくスリリングな現場ですよね。
- 0:47SPEAKER_01: まずはこの暗殺者の正体なんですけど、
- 0:50SPEAKER_01: テロメライシンという名前の
- 0:52SPEAKER_01: 遺伝子組み替えウイルスなんですね。
- 0:55SPEAKER_01: 資料を見てて思ったら、
- 0:57SPEAKER_01: これって細胞の寿命を決めるテロメアと何か関係が
- 1:01SPEAKER_01: あるんですか?
- 1:02SPEAKER_00: 素晴らしい着眼点ですね。
- 1:04SPEAKER_01: がん細胞って自らテロメアを修復して不老不死になるから
- 1:08SPEAKER_01: 立ちが悪いってよく聞くじゃないですか。
- 1:10SPEAKER_00: まさにそこがこの技術の核なんですよ。
- 1:13SPEAKER_00: がん細胞って不老不死になるためにHタートという酵素の
- 1:18SPEAKER_00: スイッチを常にオンにしている状態なんです。
- 1:20SPEAKER_00: Hタートですか?
- 1:21SPEAKER_00: はい。で、
- 1:23SPEAKER_00: テロメライシンは、
- 1:24SPEAKER_00: そのHタートのスイッチが
- 1:25SPEAKER_00: オンになっている環境でだけ増殖するように、
- 1:28SPEAKER_00: 遺伝子がハッキングされているんです。
- 1:31SPEAKER_01: ということは、
- 1:31SPEAKER_01: もし正常な細胞の中に入ってしまっても、
- 1:34SPEAKER_01: そのフローフシのスイッチはオフのまま
- 1:37SPEAKER_01: だから。
- 1:37SPEAKER_00: 何も起きないんです。
- 1:39SPEAKER_00: 正常な細胞では、
- 1:40SPEAKER_00: ただ通り過ぎていくだけなんですよ。
- 1:42SPEAKER_01: わあ、
- 1:42SPEAKER_01: 賢いですね。ええ。でも、
- 1:45SPEAKER_00: そのHタートが大量にあるがん細胞の中に入り込むと、
- 1:49SPEAKER_00: それを合図にして、
- 1:50SPEAKER_00: もう爆発的に増殖を始めるんです。
- 1:52SPEAKER_01: 爆発的に?
- 1:54SPEAKER_00: そうです。
- 1:55SPEAKER_00: ウイルスがどんどん増えていって、
- 1:57SPEAKER_00: 最終的にはがん細胞を内側から
- 1:59SPEAKER_00: パンと破裂させて溶かしてしまうという、
- 2:02SPEAKER_00: そういうメカニズムなんです。
- 2:03SPEAKER_00: それすごいですね。実際に臨床試験
- 2:05SPEAKER_00: でも他の治療法、
- 2:07SPEAKER_00: 例えば根治切除とか化学放射線療法が
- 2:11SPEAKER_00: 適用とならない食道がんの患者さんに内視鏡で
- 2:14SPEAKER_00: 直接注射したところ、
- 2:16SPEAKER_00: 素晴らしいデータが出ています。
- 2:18SPEAKER_00: だいたい2週間間隔で計3回投与するんですが、
- 2:21SPEAKER_00: 投与後18ヶ月の段階で半数の人でがんが
- 2:25SPEAKER_00: 局地的に完全に消滅したというデータが出ているんです。
- 2:28SPEAKER_01: えー、
- 2:29SPEAKER_01: 半分もですか。
- 2:30SPEAKER_01: 単なる次元爆弾じゃなくて、
- 2:32SPEAKER_01: がん細胞特有の空気を検知した時にだけ扉を開けて、
- 2:36SPEAKER_01: 中で暴れ出す、
- 2:38SPEAKER_01: なんかトロイの木馬みたいですね。
- 2:40SPEAKER_01: まさにそんな感じです。正常な細胞を傷つけないから、
- 2:44SPEAKER_01: 放射線治療とも併用できるってすごく納得しました。
- 2:47SPEAKER_00: ええ、
- 2:47SPEAKER_00: 画期的ですよね。
- 2:49SPEAKER_01: でもここからが最大の謎なんですが、
- 2:52SPEAKER_01: この自ら増殖して敵を溶かす生きたトロイの木馬って、
- 2:57SPEAKER_01: 明らかに私たちが普段飲んでる風邪薬とか胃薬とは
- 3:01SPEAKER_01: 全く別物じゃないですか?
- 3:03SPEAKER_01: 全く違いますね。
- 3:04SPEAKER_01: 政府はこれをどうやって分類しようとしてるんですか?
- 3:07SPEAKER_01: 医療機器ですか?それとも薬なんですか?
- 3:10SPEAKER_00: そこが今の制度の大きなジレンマなんですよ。
- 3:14SPEAKER_00: 令和8年6月24日の中域を総会で議論されたんですが、
- 3:18SPEAKER_00: 現在こういった再生医療等製品と呼ばれる新しい枠組みに
- 3:24SPEAKER_00: 対しては、
- 3:24SPEAKER_00: まだ独自の保険のルールが存在しないんです。
- 3:27SPEAKER_00: だから既存のルールに無理やり当てはめるしかなくて。
- 3:31SPEAKER_01: なるほど、
- 3:31SPEAKER_01: 新しすぎて枠がないんですね。
- 3:33SPEAKER_00: そうなんです。
- 3:34SPEAKER_00: それで結果的に今回は医薬品の例として扱うという案が
- 3:38SPEAKER_00: 示されました。
- 3:39SPEAKER_01: 医薬品ですか。
- 3:41SPEAKER_01: でもそれって単なるお役所の分類上のラベルの話です
- 3:44SPEAKER_01: よね。
- 3:45SPEAKER_01: 薬として扱われるか、
- 3:47SPEAKER_01: 機器として扱われるかで、
- 3:48SPEAKER_01: 聞いている私たちにとって何か大きな違いが
- 3:51SPEAKER_01: あるんでしょうか。
- 3:51SPEAKER_00: これが全く違うんですよ。
- 3:54SPEAKER_00: どちらに分類されるかで、
- 3:55SPEAKER_00: 召喚価格、
- 3:56SPEAKER_00: つまり保険でいくら支払われるかという価格を決める
- 3:59SPEAKER_00: 審査のプロセスが根本から変わってしまうんです。
- 4:02SPEAKER_01: 値段の付き方が変わるんですね。はい。
- 4:05SPEAKER_00: 今回は決められた要領を一定間隔で投与する点とか、
- 4:09SPEAKER_00: 体内で効果を発揮するプロセスが
- 4:12SPEAKER_00: 医薬品の薬理作用に近いと判断されたわけです。
- 4:15SPEAKER_01: なるほど。
- 4:16SPEAKER_01: 未来の技術をなんとか過去の引き出しに押し込んだって
- 4:19SPEAKER_01: 感じですね。あ、あと、
- 4:21SPEAKER_01: 承認の3つの厳しい条件の中にカルタヘナ法を遵守する
- 4:25SPEAKER_01: ことってあって驚いたんですけど。あ、
- 4:27SPEAKER_01: よくお気づきですね。
- 4:28SPEAKER_01: これって自然環境とか生物多様性を守るための法律です
- 4:32SPEAKER_01: よね。
- 4:32SPEAKER_01: 病院のベッドの上の治療なのになんで環境保護法が
- 4:36SPEAKER_01: 出てくるんですか
- 4:36SPEAKER_00: そこが
- 4:37SPEAKER_00: この治療のすごく特殊なところなんです
- 4:39SPEAKER_00: ただの化学物質じゃなくて自ら増殖する
- 4:42SPEAKER_00: 遺伝子組み替え生物を扱うことになるので
- 4:45SPEAKER_01: ああそっかウイルス
- 4:47SPEAKER_00: だからそうです意図せずに環境中に広まったり
- 4:50SPEAKER_00: しないように厳しい基準をクリアして管理しないと
- 4:53SPEAKER_00: いけないんですよ
- 4:54SPEAKER_01: 病院で治療を受けるのに外の生態系の影響まで
- 4:58SPEAKER_01: 考えなきゃいけない時代になったんですね
- 5:00SPEAKER_01: なんか最先端の科学のスピードに法律とか制度が
- 5:04SPEAKER_01: 必死に追いつこうと息を切らしている様子が
- 5:06SPEAKER_01: 目に浮かびます。
- 5:07SPEAKER_00: 本当に。
- 5:09SPEAKER_00: 生きた細胞を機械みたいにプログラミングする技術は
- 5:12SPEAKER_00: これからもっと加速しますからね。
- 5:14SPEAKER_00: 私たちが当たり前だと思っている薬の概念は
- 5:17SPEAKER_00: 今まさにアップデートを迫られているんだと思います。
- 5:20SPEAKER_01: そうですね。
- 5:21SPEAKER_01: 聞いてるあなたも次に何気なく頭痛薬とかビタミン剤の
- 5:25SPEAKER_01: 小さな錠剤を飲むときちょっと想像してみてください。
- 5:28SPEAKER_01: はい。もしこの定罪が
- 5:30SPEAKER_01: 自ら考えて体の中を動き回る生きたロボットだった
- 5:33SPEAKER_01: としたら、それは果たして薬って呼べるんでしょうか?
- 5:37SPEAKER_01: 難しい問いですよね。
- 5:38SPEAKER_01: 私たちの薬か危機かという単純な二言論のルールは、
- 5:43SPEAKER_01: 次にやってくる未来の波をいつまで受け止めきれるのか、
- 5:46SPEAKER_01: ぜひ考えてみてください。