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【青空朗読】第五氷河期 著者:海野 十三 読み手:二宮 正博 時間:54分6秒

第五氷河期

著者:海野 十三 読み手:二宮 正博 時間:54分6秒

氷河狂の老博士

「氷河狂」といえば、誰も知らない者はない北見徹太郎博士は、ついに警視庁へ出頭を命ぜられた。

老博士は、銀髪銀髯の中から、血色のいい頬を耀かせ、調室の壊れかかった椅子に傲然と反り身になり、ひとり鼻をくんくん鳴らしていた。

「うむ、実にけしからん。わしをわざわざ呼んでおきながら、いつまで待たせるのか。わしを一分間、むだに過ごさせるということはやがて一千人の人間、いや一万人の人間を凍結させることになるのだ。ばかな話じゃ」

そういって老博士は、またもや、鼻をくんくん鳴らした。

午後の陽ざしが、ただ一つ西側にあいた窓から入ってきて、破れたリノリウムの上に、鉄格子の影をおとしている。冬とはいえ、今年はいやに暖い日がつづく・・・

【青空朗読】とは

青空朗読はインターネット上の図書館「青空文庫」の作品を朗読するプロのアナウンサーによる社会貢献活動としてスタートしました。近年は、朗読を学ぶ一般の方々からも作品を提供していただいています。2016年5月に一般社団法人となりました。

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