Latest / 岡大徳のポッドキャスト / 再生医療等製品2品目が保険適用へ|中医協総会(第652回)の要点
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- 0:00SPEAKER_00: えっとあなたは
- 0:01SPEAKER_00: 普段お薬の値段ってどうやって決まっていると想像します
- 0:05SPEAKER_01: かまあ普通は
- 0:07SPEAKER_01: 成分のコストとか工場の大量生産の効率とか
- 0:11SPEAKER_01: 思い浮かべますよねあ
- 0:12SPEAKER_00: そうなんですよ
- 0:13SPEAKER_00: でも今回私たちが
- 0:15SPEAKER_00: 深掘りする2026年7月の注意教総会の資料を
- 0:19SPEAKER_00: 読んでいたらなんかまるでsf小説みたいな未来の治療法が
- 0:23SPEAKER_00: 登場していて驚きました
- 0:24SPEAKER_01: いやーあの資料は確かに驚きます
- 0:26SPEAKER_01: よね。
- 0:28SPEAKER_01: 7月15日から
- 0:29SPEAKER_01: 新しく保険適用される再生医療等製品の2品目なんです
- 0:33SPEAKER_01: が、
- 0:33SPEAKER_01: これは従来の市販薬とは根本的に次元が違います。
- 0:37SPEAKER_00: そうなんです。
- 0:38SPEAKER_00: この薬価、
- 0:39SPEAKER_00: つまり国が決める値段の付け方が
- 0:41SPEAKER_00: 大量生産の薬じゃなくて、
- 0:44SPEAKER_00: 材料費から一つずつ細かく積み上げていく、
- 0:47SPEAKER_00: なんだか注文住宅みたいなんですよね。はい、
- 0:50SPEAKER_01: おっしゃる通りです。
- 0:51SPEAKER_01: 原価計算方式と呼ばれるものですね。今日は
- 0:54SPEAKER_00: あなたと一緒にこの生きたテクノロジーの仕組みと、
- 0:57SPEAKER_00: 一筋縄ではいかない価格決定の裏側を
- 1:00SPEAKER_00: 解き明かしていきたいと思います。
- 1:02SPEAKER_00: まず一つ目のアロステムシートですね。
- 1:06SPEAKER_01: これは表皮水泡症という、
- 1:08SPEAKER_01: ちょっとした刺激で皮膚に水泡や
- 1:10SPEAKER_01: ただれができてしまう遺伝性の病気の治療に使われます。
- 1:13SPEAKER_00: お値段がなんと1枚で約18万2000円なんですよ。
- 1:18SPEAKER_00: かなりびっくりする金額ですよね。まあ、
- 1:20SPEAKER_01: なかなかの金額に聞こえるかもしれませんね。
- 1:23SPEAKER_01: でもその中身を知れば見方が変わるかもしれないです。
- 1:26SPEAKER_00: ほう、と言いますと?
- 1:27SPEAKER_01: これ、健康な成人の皮下脂肪から
- 1:30SPEAKER_01: 採取した幹細胞を培養して作られたシートなんです。え、
- 1:33SPEAKER_00: 脂肪から皮膚の薬を作ったんですか?
- 1:35SPEAKER_00: ちょっとびっくりです。
- 1:37SPEAKER_00: そうなんですよ。国内試験だと、あの、
- 1:39SPEAKER_00: 難治性の海洋に貼ったら、
- 1:41SPEAKER_00: 面積が平均で約54%も優位に縮小したというデータが
- 1:45SPEAKER_00: あります。
- 1:46SPEAKER_01: 54%もですか。
- 1:48SPEAKER_01: えっと、
- 1:49SPEAKER_01: 幹細胞が成長因子を出し続けて治りを促すってことは、
- 1:54SPEAKER_01: これ単なる傷口を塞ぐテープじゃないですよね。はい。
- 1:57SPEAKER_00: 単なる物理的なカバーではなくて、
- 1:59SPEAKER_00: 細胞レベルで再生エンジンを直接アシストする
- 2:02SPEAKER_00: メカニズムなんです。
- 2:03SPEAKER_01: なるほど。
- 2:04SPEAKER_01: なんでか、
- 2:05SPEAKER_01: 皮膚の上で働く生きた修復工場というか、
- 2:08SPEAKER_01: 生きた3Dプリンターみたいですね。
- 2:10SPEAKER_00: いい例えですね。
- 2:11SPEAKER_00: 自分の体だけでは足りない修復能力を外部から
- 2:15SPEAKER_00: 生きたまま補うという、
- 2:16SPEAKER_00: すごく画期的なアプローチなんです。
- 2:18SPEAKER_01: いやー、
- 2:19SPEAKER_01: 皮膚の外側の治療で1枚18万円の生きた工場が
- 2:23SPEAKER_01: 出てくるなら、
- 2:24SPEAKER_01: 体の内側でガンと戦うもう一つの製品は
- 2:27SPEAKER_01: どうなっちゃうんだろうって思いながら資料を
- 2:28SPEAKER_01: めくったんです。
- 2:29SPEAKER_00: えーと、
- 2:30SPEAKER_00: エドシチラドリン膀胱内注入液ですね。
- 2:33SPEAKER_01: はい。これ、
- 2:34SPEAKER_01: 薬価を見て目を疑いましたよ。
- 2:36SPEAKER_01: 一瓶約232万円って書いてあって。
- 2:39SPEAKER_00: 驚きますよね。
- 2:40SPEAKER_00: これはBCG療法後に残ったり再発したり
- 2:44SPEAKER_00: した膀胱がんに対するこの疾患領域で初めての
- 2:47SPEAKER_00: 遺伝子治療薬なんです。
- 2:48SPEAKER_01: へー、
- 2:49SPEAKER_01: 初の遺伝子治療薬なんですね。
- 2:50SPEAKER_00: そうです。
- 2:51SPEAKER_00: 国内試験での完全走行率は70.
- 2:54SPEAKER_00: 5%という非常に高い有効性を示しています。いや、
- 2:58SPEAKER_01: 75%は確かにすごいですよ。
- 3:00SPEAKER_01: 増殖しないウイルスの中に遺伝子を仕込んで、
- 3:04SPEAKER_01: 膀胱の細胞にインターフェロンという物質を
- 3:06SPEAKER_01: 作らせてがんを死滅させるんですよね。
- 3:08SPEAKER_00: まさにその通りです。
- 3:09SPEAKER_01: つまり、
- 3:10SPEAKER_01: がん細胞を内部から破壊するトロイの木馬作戦ですね。
- 3:14SPEAKER_00: でも、
- 3:14SPEAKER_00: いくらなん
- 3:15SPEAKER_00: でも一瓶232万円って、
- 3:18SPEAKER_00: 政府はどうやってその値段で妥当だと判断してるんです
- 3:21SPEAKER_00: か?
- 3:22SPEAKER_01: 実は、そこが今回一番のジレンマなんですよ。
- 3:26SPEAKER_01: ジレンマですか?どういうことでしょう?
- 3:28SPEAKER_01: はい。この2つの製品、
- 3:30SPEAKER_01: どちらも希少性などが評価されて、
- 3:32SPEAKER_01: 価格への補正加算が認められているんです。
- 3:34SPEAKER_01: 特にエドスチラドリンは
- 3:37SPEAKER_01: 約30年ぶりの新規採用基準ということで、
- 3:40SPEAKER_01: 有用性加算もつきました。あ、
- 3:42SPEAKER_00: ちょっと待ってください。
- 3:43SPEAKER_00: 資料の細かいところを読んでいくと、画期的
- 3:46SPEAKER_00: だから加算がついたはずなのに、
- 3:48SPEAKER_00: 加算係数ゼロって書いてありますよ。
- 3:51SPEAKER_00: そこなんですよね。
- 3:52SPEAKER_00: ゼロをかけたら結局上乗せはゼロじゃないですか。
- 3:56SPEAKER_00: どうしてこんな矛盾が起きるんですか。
- 3:58SPEAKER_01: 評価はされているんですが、
- 4:01SPEAKER_01: ルールが壁になっているんです。
- 4:03SPEAKER_01: この減価計算方式ではメーカーが
- 4:06SPEAKER_01: 減価の詳細をどれだけ開示しているかで係数が決まります
- 4:09SPEAKER_00: なるほど開示の度合いですかはい
- 4:12SPEAKER_01: 今回は企業側から
- 4:14SPEAKER_01: の開示度が低かったためルールにのっとって係数が
- 4:18SPEAKER_01: ゼロになってしまったんです
- 4:19SPEAKER_00: そういうことですか企業側からするとこれは
- 4:23SPEAKER_00: 生きた細胞や遺伝子を扱う極秘の製造プロセス
- 4:27SPEAKER_00: だからいくら国相手
- 4:28SPEAKER_00: でも減価のレシピは
- 4:29SPEAKER_00: 全部見せられないよってことですかね
- 4:32SPEAKER_01: その通りです。
- 4:33SPEAKER_01: でもそれを見せないと価格のボーナスは
- 4:36SPEAKER_01: もらえないという大きなジレンマですね。
- 4:39SPEAKER_00: それは企業側も厳しいですね。
- 4:42SPEAKER_01: さらにエドスチラドリンは販売予測が
- 4:45SPEAKER_01: ピーク時で203億円に上るため、
- 4:48SPEAKER_01: 費用対効果評価、
- 4:50SPEAKER_01: つまりH1区分の対象にもなっています。あ、
- 4:53SPEAKER_00: H1区分。
- 4:54SPEAKER_00: それって後になってから
- 4:56SPEAKER_00: この232万円の薬に本当にそれだけの価値が
- 5:00SPEAKER_00: あったかって国が検証する仕組みですよね。ええ、
- 5:04SPEAKER_00: そうなんです。私たちみたいな保険料を払う側からすれば、
- 5:07SPEAKER_00: いくら革新的
- 5:08SPEAKER_00: でも医療費がパンクしないためのブレーキとして納得は
- 5:11SPEAKER_00: できますけど、
- 5:13SPEAKER_00: 企業側との綱引きがすごいですね。
- 5:15SPEAKER_01: 本当にそうですね。
- 5:17SPEAKER_01: 医療の進化を促すアクセルと社会保障を維持する
- 5:21SPEAKER_01: ブレーキの役割を果たしています。
- 5:23SPEAKER_01: バランスが難しそうですね。この生きた細胞や遺伝子の薬は
- 5:28SPEAKER_01: 既存の化学物質の薬を前提としたルールに大きな見直しを
- 5:32SPEAKER_01: 迫っているんですよ。
- 5:33SPEAKER_00: 私たちが知っている薬の概念はもう根本から
- 5:37SPEAKER_00: 変わりつつあるんですね。はい。
- 5:39SPEAKER_01: まさにその転換期にあります。
- 5:41SPEAKER_01: そこで最後にあなたに考えていただきたいんです。
- 5:45SPEAKER_01: もし今後、
- 5:46SPEAKER_01: この生きたテクノロジーが特別なものではなく、
- 5:48SPEAKER_01: ごく当たり前の標準治療になっていくとしたら、
- 5:51SPEAKER_00: 私
- 5:52SPEAKER_01: たちの社会は
- 5:53SPEAKER_01: 健康保険というシステム自体をどう再設計すべき
- 5:57SPEAKER_01: なのでしょうか。
- 5:58SPEAKER_01: ぜひご自身でも少し考えてみてくださいね。