
令和8年度診療報酬改定の基本方針を解説|4つの視点と重点課題
令和7年12月8日、第122回社会保障審議会医療部会において、令和8年度診療報酬改定の基本方針(案)が示されました。今回の改定は、持続的な物価高騰と賃金上昇が続く経済環境のもと、医療機関の経営安定と医療従事者の処遇改善が喫緊の課題となっています。本稿では、この基本方針の全体像と4つの改定視点について解説します。
今回の基本方針の要点は次の4点です。第一に、物価・賃金・人手不足への対応が「重点課題」に位置づけられました。第二に、2040年頃を見据えた医療機関の機能分化・連携と地域包括ケアシステムの推進が掲げられています。第三に、医療DXやイノベーションによる安心・安全で質の高い医療の実現が示されました。第四に、効率化・適正化を通じた医療保険制度の持続可能性向上が求められています。
改定に当たっての基本認識
今回の基本方針では、改定の前提となる4つの基本認識が示されています。これらの認識は、日本の医療制度が直面する構造的課題を反映しています。
第一の認識は、物価・賃金上昇と人材確保の課題です。日本経済は30年続いたコストカット型経済から脱却し、新たなステージに移行しつつあります。しかし医療分野は公定価格によるサービス提供が大宗を占めるため、経済情勢の変化に機動的な対応が難しい状況にあります。この結果、医療機関では全産業の賃上げ水準から乖離が生じ、人材確保が困難になっています。…
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