
【青空朗読】グースベリーの熟れる頃 著者:宮本 百合子 読み手:中村 昭代 時間:22分41秒
グースベリーの熟れる頃
著者:宮本 百合子 読み手:中村 昭代 時間:22分41秒
小村をかこんだ山々の高い峯は夕日のさす毎に絵で見る様な美くしい色になりすぐその下の池は白い藻の花が夏のはじめから秋の来るまで咲きつづける東北には珍らしいほどかるい、色の美くしい景色の小さい村に仙二は住んで居た。
十八で日に焼けた頬はうす黒いけれ共自然のまんまに育った純な心持をのこりなく表して居る、両方の眼は澄んで大きな瞳をかこんだ白眼は都会に育った人の様な青味を帯びては居なかった。
何の苦労と云う事も知らずに育った仙二は折々は都会のにぎやかな生活をするのでその土地の方言は必してつかわなかった。
下帯一枚ではだしで道を歩く女達が太い声で、ごく聞きにくい土着の言葉を遠慮もなくどなり散らすのを聞くと知らず知らず仙二は頭が熱くなって来る様にさえ思った・・・
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