Latest / 岡大徳のポッドキャスト / 在宅自己注射にバイオ後続品2剤の追加案|中医協第650回を解説
Transcript
- 0:00SPEAKER_01: もしあなたが慢性疾患を抱えていて、
- 0:03SPEAKER_01: やっと自宅で自分で注射を打てる、
- 0:05SPEAKER_01: そういう便利な新薬が出たって聞いたら、
- 0:07SPEAKER_01: すぐに使えるって思いますよね。
- 0:10SPEAKER_00: 普通はそう期待するんじゃないかなと思います。
- 0:13SPEAKER_01: ですよね。
- 0:14SPEAKER_01: でも実は医療の世界では、
- 0:16SPEAKER_01: オリジナル薬が家で打てても、
- 0:18SPEAKER_01: そのコピー薬は自動的にはOKにならないっていう、
- 0:22SPEAKER_01: ちょっと不思議な壁が存在するんです。はい、
- 0:24SPEAKER_00: ここで非常に興味深いのは、
- 0:26SPEAKER_00: 単なる新薬の承認という事務的な話じゃなくてですね、
- 0:30SPEAKER_00: 患者さんの生活の質とその安全性をどう天秤に
- 0:34SPEAKER_00: かけるかっていう、
- 0:34SPEAKER_00: 医療制度の最前線が見えてくる点なんですよ。
- 0:37SPEAKER_01: なるほど。
- 0:38SPEAKER_01: ということで今回の深掘りのテーマは
- 0:41SPEAKER_01: 注意教で示された在宅自己注射へのバイオ後続品2剤の
- 0:46SPEAKER_01: 追加案についてです。
- 0:47SPEAKER_01: 忙しいあなたが
- 0:48SPEAKER_01: その慢性疾患の治療負担を減らす最新の医療動向を手早く
- 0:53SPEAKER_01: かつ深く理解するための時間です。では
- 0:57SPEAKER_01: 早速この複雑なルールの裏側を紐解いていきましょう。
- 1:00SPEAKER_01: まず驚くのが新しい薬が
- 1:03SPEAKER_01: 自己注射の対象になるための前提条件ですよね。はい、
- 1:06SPEAKER_01: そこがすごく重要でして。
- 1:08SPEAKER_01: オリジナルである先行品がすでに自宅で売てるから
- 1:11SPEAKER_01: といって、
- 1:12SPEAKER_01: 後から出た薬が
- 1:14SPEAKER_01: 自動的に認められるわけじゃないっていう。
- 1:16SPEAKER_00: そうなんですよ。
- 1:17SPEAKER_00: 中医協の運用基準では先行品がすでに対象であっても、
- 1:21SPEAKER_00: 当分の間は
- 1:22SPEAKER_00: 個別品目に審議するって厳密に定められているんです。
- 1:26SPEAKER_01: 個別になんですね。
- 1:27SPEAKER_01: それはどうしてそこまで慎重になるんでしょうか。
- 1:31SPEAKER_00: これはバイオ後続品っていう薬の特殊性が
- 1:34SPEAKER_00: 関係しています。
- 1:36SPEAKER_00: 一般的なジェネリック医薬品みたいな化学合成の薬と
- 1:39SPEAKER_00: 違って、
- 1:40SPEAKER_00: バイオ医薬品は生き物の細胞を使って作られるんですね。
- 1:44SPEAKER_01: あ、
- 1:45SPEAKER_01: なるほど。
- 1:45SPEAKER_01: 生き物がベース
- 1:46SPEAKER_01: だから、
- 1:47SPEAKER_01: 工場で全く同じものを量産するみたいに100%同じコピーを
- 1:51SPEAKER_01: 作ることは不可能だっていうことですか?
- 1:53SPEAKER_00: その通りです。
- 1:54SPEAKER_00: だからジェネリック、
- 1:56SPEAKER_00: つまり同じではなくてシミラー、
- 1:58SPEAKER_00: 似ているって呼ばれるんです。
- 2:00SPEAKER_01: ははは、
- 2:01SPEAKER_01: だからバイオシミラーなんですね。ええ。
- 2:04SPEAKER_00: その性質があるからこそ、
- 2:05SPEAKER_00: 品目ごとに個別審議されるっていう厳格な壁が
- 2:08SPEAKER_00: 設けられているんです。
- 2:10SPEAKER_00: 同等性が証明された薬でも、
- 2:12SPEAKER_00: 現場の医師たちからなる関連学会から個別の要望書が
- 2:16SPEAKER_00: 出ているかとか、
- 2:17SPEAKER_00: 安全性は本当に担保されているかとか、
- 2:20SPEAKER_00: 一つ一つ確認のステップを踏むわけです。
- 2:23SPEAKER_01: つまり、
- 2:24SPEAKER_01: 兄である先行品がビップルームにいるからといって、
- 2:27SPEAKER_01: 弟が顔パスで入れるわけではないと。
- 2:29SPEAKER_01: まさにそういうことです。100%同じ双子じゃなくて、
- 2:33SPEAKER_01: 限りなく似ている兄弟
- 2:35SPEAKER_01: だからこそ、
- 2:36SPEAKER_01: 身分証明書だけじゃなくて、
- 2:37SPEAKER_01: 専門家から
- 2:38SPEAKER_01: の推薦状まで細かくチェックされるわけですね。
- 2:41SPEAKER_00: すごくわかりやすい例えですね。
- 2:43SPEAKER_00: そして今回、
- 2:44SPEAKER_00: その厳しい審議をクリアして追加が提案されたのが、
- 2:47SPEAKER_00: オマリズマブとゴリムマブっていう2つの
- 2:50SPEAKER_00: バイオ拘束品なんです。
- 2:52SPEAKER_01: おー、
- 2:52SPEAKER_01: ついにクリアしたんですね。
- 2:53SPEAKER_00: はい。でも、ここで
- 2:55SPEAKER_00: また注意が必要でして、
- 2:57SPEAKER_00: 知見で先行品と同等と評価されても、
- 3:01SPEAKER_00: 使い方が完全に同じになるわけではないんですよ。
- 3:04SPEAKER_01: ここからがこの精度のちょっとトリッキーな部分です
- 3:07SPEAKER_01: よね。
- 3:08SPEAKER_01: 例えば、
- 3:09SPEAKER_01: オマリズマブは、
- 3:10SPEAKER_01: 基幹子全息とか慢性ジンマシンには自己注射できるのに、
- 3:15SPEAKER_01: ルールの告示上だと、
- 3:17SPEAKER_01: 季節性アレルギー性鼻炎は自己注射の対象外になるんです
- 3:21SPEAKER_01: よね。
- 3:22SPEAKER_01: そうなんです。効能としては認められているのに、
- 3:25SPEAKER_01: 家で打つのはダメって、なんか矛盾してませんか?
- 3:28SPEAKER_00: 一見そう見えますよね。
- 3:30SPEAKER_00: でもこれには明確な理由があって、
- 3:32SPEAKER_00: 季節性アレルギー整備炎に対する使用は、
- 3:35SPEAKER_00: 症状が出る時期が限定的で、
- 3:37SPEAKER_00: しかも重症度も変わりやすいんです。
- 3:39SPEAKER_01: 花粉の時期とか日によっても全然違いますもんね。
- 3:43SPEAKER_00: だからこそ、
- 3:44SPEAKER_00: 医師の厳密な管理下で直接状態を見ながら投与する
- 3:48SPEAKER_00: ことが、
- 3:48SPEAKER_00: より推奨されるケースがあるからなんです。
- 3:50SPEAKER_01: なるほど安全第一ってことですね
- 3:53SPEAKER_01: じゃあもう一つのゴリムマブの方は
- 3:56SPEAKER_01: どうなんですかこ
- 3:57SPEAKER_00: ちらもですね先行品が
- 3:58SPEAKER_00: 持っている海洋性大腸炎の効能が
- 4:01SPEAKER_00: なくて関節リウマチのみが対象になっていますそれは
- 4:04SPEAKER_01: きっとあのその特定の病気に対する先行品の特許が
- 4:08SPEAKER_01: まだ切れていなかったりとか
- 4:10SPEAKER_01: あるいは後続品としての知見データがまだ不十分だったり
- 4:14SPEAKER_01: するからなんでしょうかはい、
- 4:16SPEAKER_00: そういう背景がありますね。ただ、
- 4:18SPEAKER_00: 対象となった間接リウマジの知見データを見ると、
- 4:21SPEAKER_00: ゴリムバブ後続品を投与したグループの副作用発言割合は
- 4:25SPEAKER_00: 12.4%と、
- 4:28SPEAKER_00: 先行品の市販後調査の範囲内に
- 4:30SPEAKER_00: しっかり収まっているんです。
- 4:32SPEAKER_01: つまり、
- 4:33SPEAKER_01: データで安全性が完璧に証明されていて、
- 4:36SPEAKER_01: かつ特許などの条件もクリアした特定の適用証に
- 4:39SPEAKER_01: だけ許可を出しているわけですね。え、
- 4:42SPEAKER_01: まさにそういうことです。
- 4:44SPEAKER_01: 薬の選択肢があなたにとって増えるのは
- 4:46SPEAKER_01: 嬉しいことなんですけど、
- 4:47SPEAKER_01: 手放しで何
- 4:48SPEAKER_01: でも自由になるわけじゃないんですね。はい。
- 4:51SPEAKER_00: 利便性が上がっても、
- 4:53SPEAKER_00: 医療機関が守るべき4つの鉄則っていうのは
- 4:55SPEAKER_00: 一切変わらないんです。
- 4:57SPEAKER_01: 4つの鉄則ですか?
- 5:00SPEAKER_00: ええ。十分な経験を持つ医師が指導すること。
- 5:03SPEAKER_00: 導入前に十分な教育機関を設けること。
- 5:07SPEAKER_00: それから、
- 5:08SPEAKER_00: かかりつけ医としっかり連携すること。
- 5:10SPEAKER_01: なるほど。
- 5:10SPEAKER_01: なるほど。
- 5:11SPEAKER_00: そして、
- 5:11SPEAKER_00: 医療廃棄物を適切に処理すること。
- 5:14SPEAKER_00: これらは既存のルールのまま少しも緩和されていません。
- 5:18SPEAKER_01: 家で注射できるからといって、
- 5:20SPEAKER_01: 医師の手を離れるわけではないんですね。
- 5:23SPEAKER_01: 生き物の細胞を使った複雑な薬
- 5:25SPEAKER_01: だからこそ、
- 5:26SPEAKER_01: 家っていう密室で使うための安全ネットは
- 5:29SPEAKER_01: 絶対に外さないぞっていう、
- 5:31SPEAKER_01: 医療現場の強い意志を感じます。
- 5:33SPEAKER_00: 本当にそうですね。
- 5:35SPEAKER_00: 関連学会が
- 5:36SPEAKER_00: これらの薬の追加を強く要望した最大の理由は、
- 5:39SPEAKER_00: 就労や就学をしている世代の患者さんが
- 5:42SPEAKER_00: 頻繁な通院のために休んだりする身体的とか経済的な
- 5:46SPEAKER_00: 負担を減らすためでしたから。
- 5:48SPEAKER_01: 一見するとすごく官僚的で融通が
- 5:51SPEAKER_01: 効かないように見える医療ルールの壁ですけど、
- 5:54SPEAKER_01: 実は生きた細胞から作られる薬の予測不能さから
- 5:58SPEAKER_01: あなたを守るための究極のオーダーメイドな
- 6:01SPEAKER_01: 安全対策だったんですね。
- 6:03SPEAKER_00: 患者さんの生活を守るための慎重な一歩と言えますねでは
- 6:08SPEAKER_01: 最後にリスナーのあなたに新たな問いを
- 6:10SPEAKER_01: 投げかけたいと思います
- 6:12SPEAKER_01: 働きながら治療を続ける現代のライフスタイルが
- 6:15SPEAKER_01: 今後の日本の医療制度やルールを
- 6:17SPEAKER_01: さらにどう変えていくのかもしかするとゆくゆくは
- 6:21SPEAKER_01: 自宅そのものが
- 6:23SPEAKER_01: あなたにとっての最大の治療室になり病院という場所の
- 6:26SPEAKER_01: 定義すら変わってしまうかもしれません。
- 6:29SPEAKER_01: 新しい生き方が
- 6:30SPEAKER_01: 医療の常識をどうアップデートしていくのか、
- 6:33SPEAKER_01: そんな未来についてぜひ考えてみてください。