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うた時計  著者:新美 南吉 読み手:西村 文江 時間:16分34秒

うた時計

著者:新美 南吉 読み手:西村 文江 時間:16分34秒

二月のある日、野中のさびしい道を、十二、三の少年と、皮のかばんをかかえた三十四、五の男の人とが、同じ方へ歩いていった。

風がすこしもないあたたかい日で、もう霜がとけて道はぬれていた。

かれ草にかげをおとして遊んでいるからすが、ふたりのすがたにおどろいて、土手をむこうにこえるとき、黒い背中が、きらりと日の光を反射するのであった。

「坊、ひとりでどこへいくんだ」

男の人が少年に話しかけた。

少年はポケットにつっこんでいた手を、そのまま二、三ど、前後にゆすり、人なつこいえみをうかべた。

「町だよ」

これはへんにはずかしがったり、いやに人をおそれたりしない、すなおな子どもだなと、男の人は思ったようだった。

そこでふたりは、話しはじめた・・・

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