Latest / 岡大徳のポッドキャスト / 中医協第651回|吸収性食道ステントと新検査2件の保険適用を解説
Transcript
- 0:00SPEAKER_00: ちょっと想像してみてほしいんですけど、
- 0:02SPEAKER_00: 全く新しい医療機器を発明してですね、
- 0:06SPEAKER_00: 患者さんが無処置で過ごせる期間をこれまでの20日から
- 0:09SPEAKER_00: 一気に約100日へと5倍に伸ばすことに成功したとします
- 0:13SPEAKER_00: よね。
- 0:15SPEAKER_01: それはもう歴史的な大発明ですね。
- 0:17SPEAKER_00: ですよね。
- 0:18SPEAKER_00: 当然政府はあなたが
- 0:19SPEAKER_00: 希望する価格で買い取ってくれるって
- 0:21SPEAKER_00: 思うじゃないですか。
- 0:22SPEAKER_00: 普通はそう期待しますよ。
- 0:24SPEAKER_00: なのに、
- 0:25SPEAKER_00: 実は価格を3分の2にねぎられた上に、
- 0:28SPEAKER_00: 1人原則2個までっていうものすごく厳しい使用制限を
- 0:32SPEAKER_00: かけられてしまったとしたら。
- 0:33SPEAKER_01: なかなかシビアな現実ですね、
- 0:35SPEAKER_01: それは。
- 0:36SPEAKER_00: というわけで、
- 0:37SPEAKER_00: 今日の徹底解説へようこそ。
- 0:40SPEAKER_00: あなたが短時間で医療政策の最前線を把握できるよう、
- 0:43SPEAKER_00: 今回はですね、
- 0:44SPEAKER_00: 令和8年6月の注意教資料を読み解いていきます。はい。
- 0:49SPEAKER_00: 今回のミッションは、
- 0:50SPEAKER_00: 新たに保険適用される3つの最新医療技術のその裏側を
- 0:54SPEAKER_00: 探ることです。
- 0:56SPEAKER_00: 実はこれらすべてに共通してですね、
- 0:58SPEAKER_00: 企業希望価格を大きく下回る価格設定と、
- 1:01SPEAKER_00: 極めて厳しい使用制限が課せられているんですよね。
- 1:04SPEAKER_01: そうなんですよね。
- 1:06SPEAKER_01: 今回の資料を貫くテーマはまさにそこで、
- 1:08SPEAKER_01: 医療の劇的な進化とコストとか安全性の
- 1:13SPEAKER_01: せめぎ合いっていうところですね。
- 1:14SPEAKER_00: なるほど。で、
- 1:16SPEAKER_00: さっきのそのねぎられた大発明っていうのが、
- 1:19SPEAKER_00: 難治性寮生食堂共作に対する吸収性ステントですよね。
- 1:23SPEAKER_00: その通りです。企業希望価格が38.
- 1:27SPEAKER_00: 3万円だったのが、
- 1:29SPEAKER_00: 26万1000円に減額されています。
- 1:32SPEAKER_00: これ画期的なのになぜこんなに厳しい手綱が
- 1:34SPEAKER_00: 引かれてるんですか。
- 1:35SPEAKER_01: それはですね、
- 1:36SPEAKER_01: ズバリ安全性にあるんですよ。
- 1:38SPEAKER_01: 安全性ですか。はい。
- 1:40SPEAKER_01: 生存期間を伸ばすっていう点では絶大な効果があるんです
- 1:43SPEAKER_01: けど、
- 1:44SPEAKER_01: 知見の30例中23例で再び凶作が起きてしまったりとか。
- 1:49SPEAKER_01: そんなにですか?
- 1:50SPEAKER_01: そうなんです。
- 1:51SPEAKER_01: それに粘膜化形成って言って、
- 1:53SPEAKER_01: ステントの周りの組織が
- 1:54SPEAKER_01: 過剰に増殖してしまうケースも21例見られました。
- 1:58SPEAKER_00: それはちょっと怖いですね。
- 2:01SPEAKER_00: 万能ナイフじゃなくて、
- 2:02SPEAKER_00: 特定の錠前だけを開ける特殊器みたいなものなんですね。
- 2:05SPEAKER_01: まさにそんな感じです。
- 2:07SPEAKER_01: さらに放射線治療を受けている患者さんには
- 2:09SPEAKER_01: 絶対に使ってはいけないっていう厳格な禁忌ルールも
- 2:12SPEAKER_01: あるんです。
- 2:13SPEAKER_00: なるほど。
- 2:14SPEAKER_00: 単に予算を削りたいだけじゃなくて、
- 2:16SPEAKER_00: 安全のための首輪
- 2:17SPEAKER_00: でもあるわけですね。
- 2:19SPEAKER_01: 医学的必要性とリスクのバランスを取った結果ですね。
- 2:22SPEAKER_00: じゃあですね、
- 2:23SPEAKER_00: もし完璧に安全で精度100%の技術だった
- 2:27SPEAKER_00: らどうなるんでしょうか。
- 2:28SPEAKER_01: 次のAPOE遺伝型検査のことですね。
- 2:31SPEAKER_00: そうです。
- 2:31SPEAKER_00: これアルツハイマー病の新薬を投与する前に、
- 2:35SPEAKER_00: アーリエーという脳が腫れたり出血したり
- 2:37SPEAKER_00: する重篤な副作用リスクを事前に見抜く検査ですよね。
- 2:40SPEAKER_00: はい。
- 2:41SPEAKER_00: 非常に重要な検査です。
- 2:42SPEAKER_00: 資料によると対象法との一致率が100%ってありますけど、
- 2:47SPEAKER_00: それほど絶対に必要な検査なら、
- 2:49SPEAKER_00: なぜ企業予測売上げの半分以下の5.
- 2:52SPEAKER_00: 3億円に抑え込まれてるんですか?
- 2:54SPEAKER_00: それはですね。
- 2:55SPEAKER_00: しかも既存のNUDT15っていう全く別の検査の点数を
- 2:59SPEAKER_01: 使い回す形にされてますよね。
- 3:01SPEAKER_01: それは日本の保険制度の基本メカニズムが
- 3:03SPEAKER_00: 関係してるんです。新しい検査が登場したときは、
- 3:07SPEAKER_00: 類似した既存の検査価格に合わせることで、
- 3:10SPEAKER_00: 医療費の過剰な膨張を防ぐっていうルールがあるんです
- 3:13SPEAKER_01: よ。へー、
- 3:14SPEAKER_01: そうなんですね。
- 3:15SPEAKER_00: しかも、
- 3:16SPEAKER_00: この検査、
- 3:17SPEAKER_00: ガイドラインに基づいて、
- 3:19SPEAKER_00: 患者1人につき一生に1回限りっていう極めて厳格な
- 3:23SPEAKER_00: 算定ルールが課されています。
- 3:24SPEAKER_01: ちょっと待ってください。1回限りですか?
- 3:27SPEAKER_01: はい、1回限りです。
- 3:28SPEAKER_01: もし検査の人が検体を落としてダメにしちゃったりとか、
- 3:32SPEAKER_01: 病院が数年後に記録を紛失したりしたらどうするんです
- 3:35SPEAKER_01: か?やり直しは絶対に認められないってことですか?
- 3:38SPEAKER_00: 保険の請求上はそうなってしまいますね。
- 3:42SPEAKER_00: というのも遺伝子の情報っていうのは
- 3:44SPEAKER_00: 一生変わらないじゃないですか。
- 3:46SPEAKER_00: だから医学的にやり直す意味がないからなんです。
- 3:48SPEAKER_01: なるほど。
- 3:49SPEAKER_01: 例えるなら、
- 3:50SPEAKER_01: アルツハイマー病の新薬っていう超高速の最新型新幹線を
- 3:55SPEAKER_01: 走らせる前にですね、
- 3:56SPEAKER_01: 患者さんの遺伝子っていう線路が
- 3:58SPEAKER_01: その猛スピードに耐えきれるかどうかを専用スキャナーで
- 4:01SPEAKER_01: 確認するようなものですね。
- 4:03SPEAKER_01: すごくわかりやすい例えですね。
- 4:05SPEAKER_01: 線路の強度は変わらないからスキャンは1回で十分だと。
- 4:08SPEAKER_01: で、
- 4:08SPEAKER_01: 検査を怠ればアリアっていう大事故につながるって
- 4:11SPEAKER_01: ことですね。
- 4:12SPEAKER_00: その通りです。
- 4:13SPEAKER_00: だからこそ、
- 4:14SPEAKER_00: 厚生労働省のガイドラインが
- 4:16SPEAKER_00: 定める厳格な対象患者と施設でのみ薬の投与可否を
- 4:20SPEAKER_00: 判断する目的に限定して承認されているんですよ。
- 4:22SPEAKER_01: うーん、
- 4:23SPEAKER_01: 無駄を省いて本当に必要な場面に絞り込むわけですね。
- 4:27SPEAKER_01: その考え方は3つ目の技術のベンタナにも共通してます
- 4:30SPEAKER_01: よね。ええ、
- 4:31SPEAKER_01: 事前の細胞診でLSIL、
- 4:34SPEAKER_01: つまり軽度の異常が
- 4:36SPEAKER_01: 見つかった子宮頸部病変の診断を補助する検査ですね。
- 4:40SPEAKER_00: これ従来のHPV検査と比べて得意度と陽性的中率が
- 4:45SPEAKER_00: 優位に高いってありますけど、
- 4:48SPEAKER_00: 要するに本当に危ない病気かどうかを正確に言い
- 4:51SPEAKER_00: 当てる能力がズバ抜けてるってことですよね。
- 4:54SPEAKER_01: そうなんです。
- 4:55SPEAKER_01: 精度がすごく高いので、
- 4:56SPEAKER_01: 偽陽性に怯えてコルポスコピーっていう負担の
- 5:00SPEAKER_01: 大きい精密検査を無駄に受ける患者さんを大きく
- 5:03SPEAKER_01: 減らせるんですよ。
- 5:04SPEAKER_00: コルポスコピーって子宮頸部を拡大にして直接組織を切り
- 5:08SPEAKER_00: 取るやつですよね。はい、
- 5:09SPEAKER_00: そうです。そういう痛みを伴う検査をスキップできるなんて、
- 5:13SPEAKER_00: 患者さんにとってはめちゃくちゃ療法じゃないですか。
- 5:15SPEAKER_01: ええ、
- 5:15SPEAKER_01: 本当に素晴らしい技術です。
- 5:18SPEAKER_00: だったら、
- 5:18SPEAKER_00: 全てのクリニックですぐに導入すべきだと思うんです
- 5:21SPEAKER_00: けど、
- 5:22SPEAKER_00: なぜ産婦人科経験5年以上の医師が
- 5:24SPEAKER_00: いる施設にしか許されてないんですか。
- 5:26SPEAKER_01: それはですね、
- 5:27SPEAKER_01: この検査が陽性
- 5:29SPEAKER_01: だから即手術っていう単純なものじゃないからなんです。
- 5:32SPEAKER_01: あ、
- 5:32SPEAKER_00: 違うんですか。ええ。
- 5:34SPEAKER_01: 結果が出た後、
- 5:35SPEAKER_01: 最終的に組織を切り取る、
- 5:37SPEAKER_01: 政権に進むべきかどうかの見極めには、
- 5:40SPEAKER_01: 極めて高度な専門知識と経験が求められるんですよ。
- 5:43SPEAKER_01: なるほど。どれほど優れたツールでも、
- 5:46SPEAKER_01: 使い手の技術が
- 5:47SPEAKER_01: 伴わなければ進化を発揮できないどころか、
- 5:50SPEAKER_01: 判断を誤るリスクすらありますからね。
- 5:53SPEAKER_00: つまり、
- 5:54SPEAKER_00: 最先端医療っていうのは、今や誰
- 5:56SPEAKER_00: でも使える魔法の杖じゃなくて、
- 5:58SPEAKER_00: 限られた職人だけが
- 6:00SPEAKER_00: 使える精密な特殊工具になってるんですね。
- 6:02SPEAKER_00: まさにその通りです。今日取り上げた3つの技術、
- 6:06SPEAKER_00: すべてが場面と対象、
- 6:09SPEAKER_00: そして使い手を極限まで絞るっていう条件付きの
- 6:12SPEAKER_00: 承認でした。
- 6:13SPEAKER_01: これが最新医療のジレンマですね。
- 6:16SPEAKER_01: 技術が高度になればなるほど、
- 6:18SPEAKER_01: 予期せぬ副作用や医療費高騰のリスクも跳ね上がります
- 6:21SPEAKER_01: から、
- 6:22SPEAKER_01: 適応条件の壁っていうのは
- 6:23SPEAKER_01: 今後どんどん高くなっていくでしょうね。
- 6:26SPEAKER_00: これを聞いているあなたも、
- 6:28SPEAKER_00: いつかこの壁に直面するかもしれません。
- 6:30SPEAKER_00: そうですね。
- 6:31SPEAKER_00: 最先端の治療法が目の前にあるのに、
- 6:33SPEAKER_00: 厳格な施設要件とか回数制限という条件にピタリとは
- 6:38SPEAKER_00: まらないと受けられない時代です。
- 6:40SPEAKER_00: もし今後さらに画期的な治療法が登場しても、
- 6:44SPEAKER_00: アクセスできるのが
- 6:45SPEAKER_00: 厳格な条件を満たせる一部の人に限られ続けるとしたら、
- 6:49SPEAKER_00: 私たちは今後の医療の公平性をどう再定義していくべき
- 6:53SPEAKER_00: なのでしょうか。
- 6:54SPEAKER_01: 非常に重い、
- 6:56SPEAKER_01: でも避けては通れないテーマですね。
- 6:58SPEAKER_00: そうですね。ぜひ、
- 6:59SPEAKER_00: 今日の徹底解説をきっかけに、
- 7:01SPEAKER_00: あなたも少し考えてみてください。