Latest / 岡大徳のポッドキャスト / 在宅自己注射に2剤追加へ|中医協総会(第648回)の要点を解説
Transcript
- 0:00SPEAKER_01: あの、ちょっと想像してみてほしいんですけど、
- 0:03SPEAKER_01: 生涯にわたって、
- 0:05SPEAKER_01: 2週間に1回、
- 0:07SPEAKER_01: 1時間から
- 0:08SPEAKER_01: 4時間も天敵の管につながれ続ける生活をですね。
- 0:12SPEAKER_00: うーん、
- 0:12SPEAKER_00: それは本当に大変な負担ですよね。
- 0:14SPEAKER_01: ですよね。でも、
- 0:16SPEAKER_01: もしある日のルール変更で、
- 0:19SPEAKER_01: その途方もない時間が
- 0:20SPEAKER_01: あなたの元に帰ってくるとしたらどうでしょう。ああ、
- 0:23SPEAKER_00: それが今回私たちが
- 0:24SPEAKER_00: 深掘りする令和8年3月11日の注意競争会で提示された
- 0:30SPEAKER_00: 資料の革新部分ですね。はい、
- 0:32SPEAKER_01: そうなんです。
- 0:33SPEAKER_01: 在宅自己取捨への二材追加案っていう、
- 0:36SPEAKER_01: 一見お堅い議題なんですけど。ええ、
- 0:39SPEAKER_00: でもこれ実は
- 0:39SPEAKER_00: 患者さんの人生の時間を取り戻すためのすごく画期的な
- 0:43SPEAKER_00: 仕組みなんですよね。
- 0:44SPEAKER_01: いや本当にでこの複雑な資料を読んでいて思ったんです
- 0:48SPEAKER_01: けど
- 0:48SPEAKER_01: 今回のルールってなんか海外旅行のシステムに
- 0:52SPEAKER_01: すごく似てるなって
- 0:53SPEAKER_01: 海
- 0:53SPEAKER_00: 外旅行ですかなるほど
- 0:56SPEAKER_01: はいあの保健医が
- 0:59SPEAKER_01: 東予でちる注射薬のリストに入るのはいわば国に入国する
- 1:04SPEAKER_01: ためのパスポートみたいなもので
- 1:06SPEAKER_01: でもそれだけじゃ一人で自由に行動できなくて
- 1:09SPEAKER_01: 在宅自己住者指導管理料の対象になって初めて
- 1:13SPEAKER_01: なので、
- 1:13SPEAKER_01: 現地を単独で歩き回れるビザを獲得できるみたいな。あ、
- 1:17SPEAKER_00: その視点はかなり本質をついてますね。
- 1:20SPEAKER_00: パスポート、
- 1:20SPEAKER_00: つまり保健医の枠がないと、
- 1:22SPEAKER_00: そろそろ自宅っていう場所に薬剤を持ち込めないわけ
- 1:25SPEAKER_00: ですから。
- 1:26SPEAKER_01: そうなんですよ。
- 1:27SPEAKER_01: 今回追加される2つの薬って、
- 1:30SPEAKER_01: 片方はパスポートのみで、
- 1:31SPEAKER_01: もう片方はパスポートとビザの両方を持ってる。
- 1:34SPEAKER_01: これ一体どういうことなんだろうって。
- 1:36SPEAKER_00: 面白いですよね。
- 1:37SPEAKER_00: じゃあ順番で見ていきましょうか。
- 1:39SPEAKER_00: 最初の薬は
- 1:40SPEAKER_00: 酸性スフィンゴミエリナーゼ血損症向けの
- 1:44SPEAKER_00: オリプダーゼアルファですね。
- 1:46SPEAKER_01: ゼンフォザイム20mgですね。
- 1:48SPEAKER_01: これパスポートのみで自己処置は不可ってなってます
- 1:51SPEAKER_00: けど。はい、
- 1:51SPEAKER_00: そうですね。
- 1:52SPEAKER_01: ちょっと待ってください。
- 1:53SPEAKER_01: 自分で打てないんだったら、
- 1:55SPEAKER_01: 結局お医者さんとか看護師さんに自宅屋来てもらう必要が
- 1:59SPEAKER_01: あって、
- 1:59SPEAKER_01: わざわざ在宅の枠組みに入れる意味って薄くないですか?
- 2:02SPEAKER_00: まあ一見そう思えますよね。
- 2:05SPEAKER_00: でも先ほどお話しした2週間に1回最大4時間の
- 2:10SPEAKER_00: 点滴っていうのを思い出してほしいんです。
- 2:12SPEAKER_01: ああそうか。
- 2:13SPEAKER_01: 歩行障害とかがある患者さんにとっては。
- 2:16SPEAKER_00: そうなんです。
- 2:17SPEAKER_00: 通院そのものが想像を絶する負担なんですよ。
- 2:20SPEAKER_00: ご家族も含めてですね。
- 2:22SPEAKER_00: なるほど。それにインフルエンザなんかの流行期に病院へ向かう
- 2:26SPEAKER_00: 感染リスク。
- 2:27SPEAKER_00: これを完全に削ぎ落とせるだけ
- 2:29SPEAKER_00: でも生活の質は劇的に変わるんです。
- 2:31SPEAKER_01: 確かに通院リスクと移動の負担が
- 2:34SPEAKER_01: なくなる巨大なメリットがあるんですね
- 2:36SPEAKER_01: じゃあなんでビザまでは降りなかったんでしょうかそれは
- 2:39SPEAKER_00: もうメカニズムの問題ですね
- 2:41SPEAKER_00: このお薬酵素補助療法なんですけど
- 2:44SPEAKER_00: 血液脳幹毛を通過しないっていう特性が
- 2:48SPEAKER_00: あって脳や神経じゃなくて全身の臓器に対って
- 2:51SPEAKER_00: 作用するんです
- 2:52SPEAKER_00: その分投与時に強いアレルギー反応なんかの
- 2:55SPEAKER_00: 副作用リスクを伴うので
- 2:57SPEAKER_01: なるほどじゃあ安全性が
- 2:59SPEAKER_01: 最優先ってことですか
- 3:00SPEAKER_00: 事前に医療機関でこの患者さんの
- 3:03SPEAKER_00: 体なら投与中の反応を安全にコントロールできるっていう
- 3:08SPEAKER_00: 確証を厳密に得る必要があるんです
- 3:10SPEAKER_01: 100%安全が
- 3:11SPEAKER_01: 担保されて初めて医療者同席の下で在宅投与が
- 3:15SPEAKER_01: 許されると
- 3:16SPEAKER_01: そういう背景ですねメカニズムを聞くとすごく納得です
- 3:19SPEAKER_01: だとしたらもう一つのお薬の方は
- 3:22SPEAKER_01: どうなんでしょう先天性血栓性血小板減少性死犯病模型の
- 3:27SPEAKER_01: アパダムターゼアルファ等ですね。
- 3:29SPEAKER_00: アジマジンチュウヨウ1500ですね。
- 3:32SPEAKER_00: 微小血管の血栓形成を防ぐお薬ですが。はい。
- 3:35SPEAKER_01: こちらは自己注射も完全OKになってますけど、
- 3:38SPEAKER_01: どうやってビザまで獲得できたんですか?
- 3:40SPEAKER_00: これ、鍵になったのは既存実績の応用なんですよ。
- 3:44SPEAKER_01: 既存実績ですか?
- 3:45SPEAKER_00: はい。このお薬を溶かすための溶解器っていうのが、
- 3:50SPEAKER_00: すでに在宅自己注射で長く安全に使われている別のお薬、
- 3:54SPEAKER_00: ファイバジンチュー用1000と全く同じシステムを
- 3:57SPEAKER_00: 採用しているんです。
- 3:58SPEAKER_01: あーなるほど。
- 3:59SPEAKER_01: プラットフォームが同じってことですね。
- 4:01SPEAKER_00: その通りです。
- 4:02SPEAKER_00: 新しい薬
- 4:03SPEAKER_00: でも使い慣れた安全な器具のプラットフォームに
- 4:06SPEAKER_00: 乗せられるからこそ、
- 4:07SPEAKER_00: 自己注射のハードルを超えられたわけです。だから
- 4:10SPEAKER_01: 資料に注入器用注射張り加算も対象って書いて
- 4:14SPEAKER_01: あったんですね。
- 4:14SPEAKER_00: ええ。
- 4:15SPEAKER_00: 自分で打てるなら、当然
- 4:17SPEAKER_00: それに使う専用の針なんかも保険でカバーされないと、
- 4:21SPEAKER_00: 実生活では機能しない
- 4:22SPEAKER_00: ですからね。
- 4:23SPEAKER_01: いやー、
- 4:24SPEAKER_01: よくできてますね。
- 4:25SPEAKER_00: それにもう一つ、
- 4:27SPEAKER_00: 令和7年4月に学会から
- 4:29SPEAKER_00: 出された切実な要望書っていう背景もあるんですよ。
- 4:33SPEAKER_01: あ、学会からの要望ですか?
- 4:35SPEAKER_00: はい。頻繁な通院が患者さんの就学とか就労、
- 4:39SPEAKER_00: 育児といった社会生活を著しく奪っているっていう現状が
- 4:43SPEAKER_00: あって。
- 4:44SPEAKER_01: うーん、
- 4:45SPEAKER_01: それは切実ですね。
- 4:46SPEAKER_00: なので、
- 4:47SPEAKER_00: 通院を最小限にとどめることで、
- 4:49SPEAKER_00: 日常を守るっていう強い意志が込められてるんです。
- 4:52SPEAKER_01: 医療政策って、
- 4:54SPEAKER_01: なんていうか単なる事務手続きじゃなくて、
- 4:57SPEAKER_01: 患者さんの日常をデザインし直すための
- 4:59SPEAKER_01: ツールなんですね。
- 5:00SPEAKER_00: 本当にそうだと思いますよ。
- 5:02SPEAKER_01: とはいえ、これ、
- 5:03SPEAKER_01: 医療機関側も明日からすぐに、はい、
- 5:06SPEAKER_01: 家でどうぞとはいかないですよね。ええ、
- 5:08SPEAKER_00: 実務上の注意点はすごく重要ですね。
- 5:11SPEAKER_00: 導入前には入院とか週2、
- 5:14SPEAKER_00: 3回の外来などで、
- 5:16SPEAKER_00: 患者さんへの十分な教育期間を確保する必要があります。
- 5:19SPEAKER_01: 練習が必要ってことですよね。はい。
- 5:22SPEAKER_00: 特に使用済み注射器の安全な廃棄処理の指導なんかは
- 5:26SPEAKER_00: 必須ですね。
- 5:27SPEAKER_01: ゴミの捨て方とかですね。
- 5:28SPEAKER_00: そうです。
- 5:29SPEAKER_00: あと当然ですが、
- 5:31SPEAKER_00: 施設内の運用を変えるのは、
- 5:33SPEAKER_00: 正式な告示や通知が出てからにしていただく必要が
- 5:35SPEAKER_00: あります。
- 5:36SPEAKER_01: そういう準備とルール遵守が
- 5:38SPEAKER_01: あってこその自由なわけですね。
- 5:40SPEAKER_00: まさにその通りです。
- 5:42SPEAKER_01: 今回この深掘りをお聞きのあなたも、
- 5:44SPEAKER_01: 難解なルールの裏にある人々の時間を取り戻すっていう
- 5:47SPEAKER_01: 緻密なドラマを感じていただけたんじゃないでしょうか。
- 5:50SPEAKER_00: 制度って常に人の生活を中心に進化していくべき
- 5:53SPEAKER_00: ですからね。ええ。
- 5:55SPEAKER_01: そこで最後にリスナーのあなた自身に少し考えてみて
- 5:58SPEAKER_01: ほしいんです。はい。
- 5:59SPEAKER_01: もし将来、
- 6:00SPEAKER_01: あらゆる複雑な点滴とか注射が
- 6:02SPEAKER_01: 自宅で安全に完結するようになったとしたら、
- 6:06SPEAKER_01: 私たちが病気を治す場所として当たり
- 6:08SPEAKER_01: 前だと思っているこの病院という物理的な空間は
- 6:11SPEAKER_01: 今後どういう役割へと進化していくべきなんでしょうか。