
【青空朗読】橋 著者:岡本 かの子 読み手:成 文佳 時間:8分38秒
橋
著者:岡本 かの子 読み手:成 文佳 時間:8分38秒
こどものときから妙に橋というものが好きだった。こちらの岸からあちらの岸へ人工の仕掛けで渡って行ける。そういった人間の原始的功利の考えがこどもの好奇心の頭を擡げさせやすいのかとも考える。しかしそれならなんの履物ででもあれ、その上を渡りさえすれば気が済む筈である。だが私の場合は違っていた。どの橋でも真新らしい日和下駄の前を橋板に突き当てて、こんと音をさせ、その拍子に後歯を橋板に落してからりと鳴らす必要があった。
こん からり
足を踏み違えて橋詰から橋詰までこの音のリズムを続け通させるときは、ほんとにお腹の底から橋を渡った気がして、そこでぴょんぴょん跳ねて悦んだ・・・
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