
あえて教えないノベーション(1996回)
宇宙探査機「はやぶさ2」を支える特殊なねじを製造した町工場、キットセイコーの社長 田邉弘栄(こうえい)さんの言葉に、現場の重要性と人を育てることの本質について、深く考えさせられました。
曰く、
「職人として一人前になるには、会社で多くの経験を積んでもらう必要があり、普通は10年、20年と掛かります。そこで、できる限り無駄なく、ベテランの技量を若手に承継するために考え出したのが、「マイスター制度」でした。
定年を迎えた職人が退職すれば、その人の数十年分の蓄積が失われます。また、嘱託に待遇を落とせば本人のやる気はもちろん、教わる若手に尊敬の念が生まれません。
それがどうしても嫌だった私は、主に当社で定年した職人を、すべて本人の希望通りの時間で働く〝マイスター〟(名人)として迎えたのです。定年後も安心して働ける会社にし、現役の職人に長くいてもらう目的もありました。」
「あえてマイスターが出社しない日を設け、若手の自立を促した結果、活発に教えを請い、また教えてあげるという長期的な承継の形ができました」
「これを踏まえ、当社は他社のような機械化はあえてせず、工程の約3分の2を職人の手が通るようにしています。このため微妙な加工が要る、他社の嫌がる仕事を受注でき、職人技、人が活きてくるのです。」
ここから私は思いました。
1.現場の人の価値
2.失われゆく価値の高騰
3.あえて教えない…
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