Latest / 岡大徳のポッドキャスト / 在宅自己注射の対象に2剤追加案 ハイキュービアとトレムフィアを解説
Transcript
- 0:00SPEAKER_00: リスナーのあなたも毎日のスケジュール帳を見て、ああ、
- 0:03SPEAKER_00: もっと時間が欲しいなって思うことありますよね。えー、
- 0:07SPEAKER_01: まあ現代人はみんな忙しい
- 0:09SPEAKER_01: ですからね。
- 0:09SPEAKER_00: ですよね。でも、
- 0:11SPEAKER_00: もしそのスケジュールが、
- 0:13SPEAKER_00: 命をつなぐための通院で埋め尽くされていたらって
- 0:17SPEAKER_00: 想像してみてください。
- 0:19SPEAKER_01: そうなるともう時間の重みっていうのが
- 0:21SPEAKER_01: 全く変わってきますよね。
- 0:23SPEAKER_01: 慢性疾患を抱える方にとって通院は
- 0:25SPEAKER_01: 本当に生活の大きな部分を占めますから。
- 0:28SPEAKER_00: そうなんですよ。
- 0:29SPEAKER_00: そこで今日一緒に深掘りしていく資料なんですが、
- 0:33SPEAKER_00: 令和8年、
- 0:33SPEAKER_00: 2026年5月の中医協総会のレポートなんです。はい、
- 0:38SPEAKER_01: 医療制度の重要な会議ですね。これ、
- 0:40SPEAKER_00: ただのお堅い医療制度の話じゃないんですよ。
- 0:43SPEAKER_00: 今回のミッションはですね、
- 0:45SPEAKER_00: 新たに承認された2つの薬が
- 0:47SPEAKER_00: 慢性疾患を持つ患者さんの日常をどう劇的に
- 0:51SPEAKER_00: 解放するのか、
- 0:52SPEAKER_00: ここを紐解いていくことなんです。
- 0:54SPEAKER_00: いわば病院に縛られずに生きるためのパスポートみたいな
- 0:58SPEAKER_00: 話でしてパ
- 0:59SPEAKER_01: スポートなるほど
- 1:00SPEAKER_01: ただ大前提として日本の医療制度においてあの患者さんが
- 1:04SPEAKER_01: 自宅で自分で注射を打つっていうのを認めるハードルは
- 1:07SPEAKER_01: 非常に高く設定されているんです
- 1:10SPEAKER_01: 非常に高いというと8例えば投与間隔が
- 1:14SPEAKER_01: おおむね4週間以内であることとか
- 1:16SPEAKER_01: あとは関連学会からの強い要望書が
- 1:19SPEAKER_01: 出ていることなどかなり厳格な基準があるんです
- 1:21SPEAKER_01: よねへ
- 1:22SPEAKER_00: ー。
- 1:23SPEAKER_00: なんか限られた人しか入れない、
- 1:25SPEAKER_00: 超厳しいビップクラブの入場審査みたいですね。あー、
- 1:28SPEAKER_01: その表現面白いですね。
- 1:29SPEAKER_01: まさにそんな感じです。でも、
- 1:31SPEAKER_00: 自宅で打てた方が患者さんは
- 1:33SPEAKER_00: 絶対に楽になるじゃないですか。
- 1:35SPEAKER_00: なぜ国はそこまで慎重にルールを定めてるんですか?
- 1:38SPEAKER_01: まあ、最大の理由はやっぱり安全性なんですよ。
- 1:41SPEAKER_00: 安全性ですか?
- 1:42SPEAKER_01: はい。自宅で注射を打つためには、
- 1:45SPEAKER_01: 導入前に入院するとか、
- 1:48SPEAKER_01: あるいは週に2、
- 1:49SPEAKER_01: 3回以上の外来で十分な教育機関を設けることが
- 1:53SPEAKER_01: 必須条件になっているんです。
- 1:55SPEAKER_00: 週2、
- 1:55SPEAKER_00: 3回の外来教育って結構ハードですね。
- 1:59SPEAKER_01: そうなんですよね。
- 2:00SPEAKER_01: でも患者さん自身が安全を担保できる状態を作らないと、
- 2:04SPEAKER_01: 医療機関の外へは出せないという国側の論理が
- 2:08SPEAKER_01: あるわけです。
- 2:10SPEAKER_00: なるほど。でも、
- 2:12SPEAKER_00: そんな高い壁がある中で、
- 2:14SPEAKER_00: 今回新しく在宅自己注射リストに追加された2つの薬、
- 2:18SPEAKER_00: これどうやってその壁を越えたんでしょうか。
- 2:22SPEAKER_00: 特に1つ目のハイキュービアっていう薬、
- 2:26SPEAKER_00: 資料を読んでその仕組みに驚いたんですよ。
- 2:29SPEAKER_00: これ免疫系の異常で筋力が
- 2:31SPEAKER_00: 低下してしまうような疾患に使われるんですよね。
- 2:33SPEAKER_01: おっしゃる通りです。無
- 2:35SPEAKER_01: または低ガンマグロブリン結晶です
- 2:37SPEAKER_01: とかCIDPなどに使われます。
- 2:40SPEAKER_01: この薬が画期的なのは、
- 2:42SPEAKER_01: その2つの成分を順番に非過注射するっていう
- 2:46SPEAKER_01: アプローチをとっている点なんですよ。そ、
- 2:48SPEAKER_00: そこなんです。
- 2:49SPEAKER_00: まず先にヒアルロン酸を分解する成分を打って、
- 2:52SPEAKER_00: その後に免疫グロブリンを打つんですよね。はい、
- 2:55SPEAKER_00: そうです。これって例えるなら、
- 2:57SPEAKER_00: まるで雪かき車が
- 2:59SPEAKER_00: 先に分厚い雪をどかして道を切り開いてから、
- 3:02SPEAKER_00: 本体の車がスムーズに進んでいく、
- 3:04SPEAKER_00: みたいな仕組みですよね。
- 3:06SPEAKER_01: 雪かき車、
- 3:07SPEAKER_01: いいですね。
- 3:08SPEAKER_01: すごくわかりやすい例えです。
- 3:10SPEAKER_01: 医学的に言うと、
- 3:11SPEAKER_01: ヒアルロン酸が皮下組織のバリアになっているんですよ。
- 3:15SPEAKER_00: バリア?
- 3:15SPEAKER_01: ええ。そのバリアを一時的に溶かすことで、
- 3:18SPEAKER_01: 通常なら一度に大量に入らないはずの薬液を一気に
- 3:22SPEAKER_01: 流し込めるんです。
- 3:23SPEAKER_01: これが非常に画期的なアプローチなんですね。
- 3:26SPEAKER_00: へー。
- 3:27SPEAKER_00: じゃあ、自宅
- 3:28SPEAKER_00: でもしっかり薬を奥まで浸透させられるってことですね?
- 3:32SPEAKER_01: はい。
- 3:32SPEAKER_01: 専用の注入ポンプなどの機器を使う必要はあるんですが、
- 3:36SPEAKER_01: やっぱり生涯続く治療において、
- 3:38SPEAKER_01: 通院回数を減らせるメリットって測り知れないんです。
- 3:41SPEAKER_01: 確かに。
- 3:42SPEAKER_01: 特に筋力が低下している患者さんにとっては、
- 3:45SPEAKER_01: 移動の負担とか、
- 3:47SPEAKER_01: 通院時の感染リスクを物理的に下げるという本質的な
- 3:51SPEAKER_01: 大きな意義があります。
- 3:52SPEAKER_00: なるほど。
- 3:53SPEAKER_00: ハイキュービアが
- 3:55SPEAKER_00: 家での確実な治療を可能にする薬だとしたら、
- 3:58SPEAKER_00: もう一つの追加薬であるトレムフィアですか?
- 4:02SPEAKER_01: はい、トレムフィア。
- 4:03SPEAKER_01: 一般名グセルクマブですね。
- 4:05SPEAKER_00: こちらは社会生活と治療の両立に特化している点が
- 4:08SPEAKER_00: すごく興味深いなと思いました。
- 4:11SPEAKER_00: 若い患者さんが
- 4:12SPEAKER_00: 多い海洋性大腸炎とかクローン病に使われるそうですが、
- 4:16SPEAKER_00: 仕事や学校で忙しい若い人はどうなるんでしょうか?
- 4:19SPEAKER_01: そうですね。
- 4:20SPEAKER_01: 海洋性大腸炎などの指定難病は、
- 4:23SPEAKER_01: ちょうど就学とか就労の一番忙しい時期に重なることが
- 4:27SPEAKER_01: 多いんです。
- 4:28SPEAKER_00: 大変な時期ですよね。
- 4:30SPEAKER_01: そこで、
- 4:31SPEAKER_01: このトレムフィアは
- 4:32SPEAKER_01: 腸などの炎症に関わるIL-23という物質の働きを
- 4:36SPEAKER_01: ピンポイントで抑え込むんです。
- 4:39SPEAKER_00: そのIL-23を抑えるっていうのは、
- 4:41SPEAKER_00: 具体的にどういう仕組みで炎症を止めるんですか?
- 4:44SPEAKER_01: このIL-23っていうのは、
- 4:46SPEAKER_01: いわば免疫の暴走を引き起こす司令塔のような
- 4:50SPEAKER_01: 物質なんですよ。
- 4:51SPEAKER_00: 司令塔?
- 4:52SPEAKER_01: ええ。
- 4:52SPEAKER_01: トレムフィアはこの司令塔の働きを直接止めることで、
- 4:56SPEAKER_01: 腸の過剰な炎症を元から断ち切る仕組みを持っています。
- 4:59SPEAKER_00: なるほど。
- 5:00SPEAKER_00: 司令塔そのものを止めるから、
- 5:02SPEAKER_00: 交換がしっかり長持ちてるわけですね。
- 5:04SPEAKER_01: その通りです。
- 5:05SPEAKER_01: だからこそ、
- 5:06SPEAKER_01: 胃磁器に入れば8週間隔。
- 5:08SPEAKER_01: 患者さんによっては
- 5:09SPEAKER_01: 4週間隔の自己注射で済むようになるんですよ。
- 5:12SPEAKER_00: 8週間に1回なら、
- 5:13SPEAKER_00: 仕事の長期出張も学校のテスト期間も
- 5:16SPEAKER_00: クリアできそうですね。はい。
- 5:18SPEAKER_01: 就労や就学と治療の両立がぐっと現実的になります。
- 5:22SPEAKER_00: いやー、
- 5:22SPEAKER_00: 今これを聞いているあなたも、
- 5:24SPEAKER_00: もし自分や大切な人が指定難病を抱えたとき、
- 5:28SPEAKER_00: こうした制度のアップデートが
- 5:29SPEAKER_00: どれほど大きな意味を持つか、
- 5:31SPEAKER_00: ぜひ想像してみてください。
- 5:33SPEAKER_00: これは治療に人生を支配されるのか、
- 5:36SPEAKER_00: それとも自分の生活のペースに治療を適応させるのかを
- 5:40SPEAKER_00: 決める、
- 5:41SPEAKER_00: まさに希望の光ですよね。
- 5:42SPEAKER_01: そうですね。
- 5:43SPEAKER_01: 医療技術の進歩と精度の柔軟化が両輪となって、
- 5:47SPEAKER_01: 着実に患者さんの選択肢を広げているのは
- 5:49SPEAKER_01: 間違いないです。
- 5:50SPEAKER_00: 医療技術の進歩で通院負担が大きく軽減される、
- 5:54SPEAKER_00: 本当に喜ばしいニュースです。ただ、
- 5:56SPEAKER_01: ここで一つ忘れてはいけない側面もありまして。
- 5:58SPEAKER_00: と言いますと?
- 6:00SPEAKER_01: 今回の資料にも明記されていたんですが、
- 6:02SPEAKER_01: アナフィラキシー等の副作用への対処ですとか、
- 6:05SPEAKER_01: あとは医療廃棄物の適切な処理について事前の指導が
- 6:09SPEAKER_01: 必須とされているんです。ああ、
- 6:11SPEAKER_00: 確かに。
- 6:12SPEAKER_00: 使用済みの注射器を捨てる専用容器のルールなんかが
- 6:15SPEAKER_00: ありましたね。ええ。
- 6:17SPEAKER_00: つまり、
- 6:17SPEAKER_00: 自由を手に入れる分、
- 6:19SPEAKER_00: 患者側にもきちんとした責任が伴うということですね。
- 6:22SPEAKER_01: そういうことです。
- 6:23SPEAKER_01: 自己注射によって自由な時間が増える一方で、
- 6:27SPEAKER_01: 治療の最前線は間違いなく、
- 6:29SPEAKER_01: 病院から自宅のリビングへと移りつつあるんですよ。
- 6:33SPEAKER_00: なるほど。
- 6:33SPEAKER_00: 自宅のリビングですか。ええ。
- 6:36SPEAKER_01: そこで最後に、
- 6:37SPEAKER_01: 今これを聞いているあなたに一つ問いかけたいんです。
- 6:40SPEAKER_01: はい。あなたは自分の家を小さな診療所として管理し、
- 6:44SPEAKER_01: その責任を負う準備ができているでしょうか。