
【青空朗読】路上 著者:梶井 基次郎 読み手:新道 改 時間:14分30秒
路上
著者:梶井 基次郎 読み手:新道 改 時間:14分30秒
自分がその道を見つけたのは卯の花の咲く時分であった。
Eの停留所からでも帰ることができる。しかもM停留所からの距離とさして違わないという発見は大層自分を喜ばせた。変化を喜ぶ心と、も一つは友人の許へ行くのにMからだと大変大廻りになる電車が、Eからだと比較にならないほど近かったからだった。ある日の帰途気まぐれに自分はEで電車を降り、あらましの見当と思う方角へ歩いて見た。しばらく歩いているうちに、なんだか知っているような道へ出て来たわいと思った。気がついてみると、それはいつも自分がMの停留所へ歩いてゆく道へつながって行くところなのであった。小心翼々と言ったようなその瞬間までの自分の歩き振りが非道く滑稽に思えた・・・
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