
アイン・ランドがウォール街に残したもの
自由市場への信仰と「10月の悪夢」が暴いた資本主義の矛盾
1. 導入:ウォール街の熱狂を生んだ思想家
1929年の大恐慌、1987年のブラックマンデー、2008年のリーマンショック後の連鎖暴落。
ウォール街は、何度も歴史的な熱狂と崩壊を繰り返してきました。
しかし、こうした市場の動きを単なる金融技術や投資家心理だけで説明してよいのでしょうか。
その背後には、アメリカ資本主義を支えてきた、ある思想があります。
ロシア生まれの作家、アイン・ランド(Ayn Rand)が提唱した「客観主義」です。
彼女は、個人の理性、自由、合理的な自己利益を絶対的に重視し、個人の能力と創造性を最大限に発揮できる社会こそが理想だと考えました。
代表作『肩をすくめるアトラス』では、社会を動かす優秀な生産者や企業家が、国家や社会からの規制、徴収、要求に嫌気が差し、次々と姿を消していく世界を描いています。
この思想は単なる文学ではありません。
後にFRB議長となるアラン・グリーンスパンも、若い頃からランドの思想的サークルに参加し、その影響を強く受けた人物でした。
そして現在、トランプやシリコンバレーの一部の経営者たちにも、ランド的な思想の影響を見ることができます。
今回はアイン・ランドを軸に、ウォール街の歴史と自由市場の思想、そして現代のAIブームに潜む矛盾を考えてみます。…
The skinny
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