Latest / N2~N1日本語!Haru no Nihongo / 【Audio Book/朗読】『手袋を買いに(てぶくろをかいに) 』Japanese Classical Stories
Transcript
- 0:02手袋 を 買い に。 新見 南吉。
- 0:13寒い 冬 が 北方 から。 キツネ の 親子 の 住んで いる 森 へ も やってきました。
- 0:22ある 朝 、ほら 、穴 から子 ど も の 狐 が出 よ うとしま したが。
- 0:28あっ と 叫んで 目 を 押さえ ながら。 母さん 、 狐 の 所 へ走っ て来ました。
- 0:38母ちゃん 目 に 何か 刺さった? 抜いて 早く 早く。
- 0:45と 言いました。 母さん 、 狐 がびっく りし て慌 てなが ら子 供 のキツ
- 0:52ネ の 目 を見 てみまし たが。 何も 刺さって は い ませ ん でした。
- 0:59母さん 狐 は ほら、 穴 の入り 口か ら 外 へ出 て初め て理 由 が分かりました。
- 1:08夜 の うち に 真っ白 な 雪 が どっさり 降った の です。
- 1:15その 雪 の 上 から キラキラ と 太陽 が 出ていた ので。 雪 は まぶ しい ほど 反射 していた の です。
- 1:26雪 を 知 ら なかった 子供 の 狐 は 反射 が 強かった ので 、 目 に何 か刺さっ た と思っ た のでした。
- 1:36子供 の 狐 は 遊び に 行きました。 柔らかい 雪 の 上 を 走り回る と 、 雪 の 粉 が飛ん
- 1:45で、小 さ い 虹が出 来 るのでした。 すると 突然 後ろ で。
- 1:54どたどた ざっと 、ものすご い 音 がして。 こな ゆき が ふ わー っと 子ぎつね に 落ちて きました。
- 2:05子 狐 は びっくり して 10m も 向こう へ 逃げました。 なん だろう と 思って 振り返って みました が。
- 2:16何もい ませ ん でした。 それ は 木 の 枝 から 雪 が 落ちた の でした。
- 2:25まだ 枝 と 枝 の 間 から 白い 雪 が こぼれて いました。
- 2:33しばらく して ほら、 穴 へ帰っ て来 た 子 狐は? 母ちゃん 、 お 手 手 が冷たい?
- 2:40お 手 手 が じん じん する。 と 言って。
- 2:44濡れて 赤く なった 両手 お 母さん 狐 の 前 に 出しました。
- 2:51母さん 狐 は その 手 に はあ と 息 を 吹きかけて 、温か い母さ ん の 手 でや さし く 包 みながら。
- 3:01もう すぐ 暖かく なる よ。 雪 を 触る と すぐ 暖かく なる もんだ よ。
- 3:08と 言いました が。 可愛い 子供 の 手 に 霜焼け が できて しまって は
- 3:13可哀想 だ から 、 夜 になった ら 町ま で行って。 子供 の 手 に 合う ような 毛糸 の 手袋 を 買って
- 3:22やろう と 思いました。 暗い 暗い 夜 が 森 を 包 み に やってきました が。
- 3:31雪 は とても 白い ので。 つ 積んで も 積んで も 森 は 白い まま でした。
- 3:39親子 の 狐 は ほら、 穴か ら出ました。 子供 は お 母さん の お腹 の 下 へ 入って。
- 3:49そこ から 丸い 目 を 開け たり 、閉 じた り しながら。 あっち や こっち を 見 ながら 歩いて 行きました。
- 4:00やがて。 目の前 に 明かり が 一つ 見え 始めました。
- 4:07それ を 子供 の 狐 が 見つけて。 母ちゃん。
- 4:12お星さま は あんな 低い 所 にも 落ちて いる の ね と 聞きました。
- 4:20あれ は お星様 じゃない の よ。 と 言いました。
- 4:26あれ は 街 の 明かり なん だ よ。 その 街 の 灯り を 見た 時 母さん 、 狐は?
- 4:36ある とき。 街 へ お 友達 と 出かけて いって 怖い こと が あった
- 4:42こと を 思い出 しました。 やめ なさいって 言う の も 聞かない で。
- 4:49お 友達 の 狐 が ある 家 の アヒル を 盗 もう と したら?
- 4:54人間 に 見つかって 追いかけ られて 必死 に 逃げた こと でした。
- 5:02母ちゃん 、 何し て ん の? 早 く行 こうよ。
- 5:07と 子ども の 狐 が お腹 の 下 から 言う の でした が?
- 5:13母さん 狐 は どうしても 足 が 進まない の でした。 そこで 仕方 がない ので。
- 5:23子供 だけ を 、一 人 で 町ま で 行 かせ るこ と になりました。
- 5:30坊や おてて を 片方 出して。 と お 母さん 狐 が 言いました。
- 5:39その 手 を お 母さん 狐 は しばらく 握って いる 間 に。
- 5:44かわいい 人間 の 子供 の 手 に 変えました。 子供 の 狐 は その 手 を 広げ たり 、握った り、 臭
- 5:55い を嗅 い でみ たりしました。 なんだか 変 だ な 母ちゃん。
- 6:01これ 何? と 言って 人間 の 手 に 変え られて しまった 自分 の
- 6:08手 を 見つめました。 それ は 人間 の 手 よ。
- 6:14いい かい 坊や。 街 へ 行 ったら ね 。たくさ
- 6:18ん人 間 の 家 があ るか らね。 まず 帽子 の 看板 の かかって いる 家 を 探す ん だ
- 6:25よ。 それ が 見つか ったら ね 。トント
- 6:30ン とド ア を叩いて。 こんばんはって 言う ん だ よ。
- 6:35そうすると ね。 中 から 人間 が 少し 扉 を 開ける から ね。
- 6:42その 扉 の 間 から こっち のって。 ほら 、こ の人 間 の 手 を出し てね。
- 6:49この 手 に ちょうど いい 手袋 を くださいって 言う ん だ よ。
- 6:55わかった ね。 決して こっち の お 手 手 を 出 し ちゃ ダメ だ よ。
- 7:00ちょっと お 母さん 狐 は 言いました。 どうして?
- 7:07と 子ぎつね は 聞き返 しました。 人間 は ね。
- 7:14相手 が キツネ だ と わかる と 手袋 を 売って くれない ん だ よ。
- 7:19それどころか 捕まえて 森 の 中 へ 入れ ちゃう ん だ よ。
- 7:25人間って 本当 に 恐ろ しい もの なん だ よ? ふーん。
- 7:33決して こっち の 手 を 出 し ちゃ いけない よ。 人間 の 手 の 方 を 出す ん だ よ。
- 7:40と 言って 母さん 、 狐 は持っ てき た二 つ の金 貨 を人 間 の 手 の 方 へ持 たせました。
- 7:51子供 の 狐 は 街 の 灯り を 目指 して 歩きました。 はじめ は ひとつ だった 明かり が 二つ に なり 、みっ
- 8:02つ になり。 自由 に 増えました。
- 8:08キツネ の 子供 は それ を 見て。 明かり には 星 と 、同じよ うに。
- 8:14赤い の や 黄色い の や 青い の が ある ん だ な と 思いました。
- 8:21やがて 街 に 入りました が。 桃李 の 家々 は もう みんな しまっていて。
- 8:28高い 窓 から 暖か そうな 光 が。 道 の 雪 の 上 に 落ちて いる ばかり でした。
- 8:39狐 の 子 は 帽子屋 を 探 しました。 自転車 の 看板 や メガネ の 看板 や。
- 8:48そのほか 、いろん な看 板 がありました。 町 に はじめて 出て 来た 子 狐 には。
- 8:57それら の もの が。 一体 なん である のか わからない の でした。
- 9:04とうとう 帽子屋 が 見つかりました。 お 母さん が よく 教えて くれた 黒い おーきな
- 9:13シルクハット の 帽子 の 看板 が ありました。 子 狐 は 教え られた とうり トントン と 扉 を 叩
- 9:23きました。 こんばんは。
- 9:28すると 中 では 何か 音 が していました が。 やがて 扉 が ゆっくり 少し だけ 開き。
- 9:38部屋 の 中 の 明かり が 雪 の 道 に 出てきました。 こ ぎ つね は その 光 が 眩 しかった ので 、びっく
- 9:49りし て間違っ た 手 を お母さ ん が 出 しち ゃいけな い といっ た 狐 の 手 を出し てしまいました。
- 9:59この 手 手 に ちょうど いい 手袋 を ください。 すると 帽子屋 さん は おやおや と 思いました。
- 10:10狐 の 手 です。 狐 の 手下 手袋 を くれ と 言う の です。
- 10:18これ は きっと 偽物 の 金 で 買い に 来た ん だ な と 思いました。
- 10:25そこで。 先 に お金 を ください と 言いました。
- 10:32子ぎつね は 握って きた 金貨 を 二つ。 帽子屋 さん に 渡 しました。
- 10:39帽子屋 さん は それ を 手 の 上 で 叩いて みました。 すると カチン カチン と 良い 音 が しました ので。
- 10:50これ は 本当 の お金 だ と 思いました。 そして 棚 から 子供 用 の 毛糸 の 手袋 を 取り出
- 11:00して。 子 狐 の 手 に 持た せて やりました。
- 11:05こ ぎ つね は お礼 を 言って また 帰りました。 お 母さん は 人間 は 恐ろ しい もの だって 言ってた
- 11:16けど 、全 然恐 ろしくな いや。 だって 僕 の 手 を 見て も どうも しなかった もの。
- 11:24と 思いました。 そして 子 狐 は 人間 が どんな もの か みたい と
- 11:31思いました。 ある 窓 の した を 通りかかる と 人間 の 歌声 が
- 11:39していました。 なんと いう 優 しい なんと いう 美 しい 声 なん
- 11:45でしょう? こ ぎ つね は 、そ の歌 声 はきっ と人 間 の お母さ
- 11:52ん の 声 に違いな い と思いました。 だって 子ぎつね が 眠る 時 にも やっぱり 母さん 、
- 12:03狐は? あんな 優 しい 声 で 歌って くれる から です。
- 12:09すると 今度 は 子供 の 声 が しました。 かあちゃん 、こん な寒 い 夜 は 杜 の こ ぎつ ね は寒
- 12:20い寒いっ て泣い てい るね。 すると 母さん の 声 が。
- 12:27杜 の こ ぎ つね も お 母さん 狐 の 歌 を 聴いて ほら、 穴 の 中 で 眠ろ う とし てい るでしょ うね。
- 12:36さあ 坊や もう 早く 寝 なさい。 森 の 子 狐 と 大谷 と どっち が 早く 寝る か?
- 12:46きっと 坊や の 方 が 早く 寝ます よ。 それ を 聞く と 、 子 狐 は急 に 、お母 さ ん が恋
- 12:57しくな っ て、お 母 さ ん、狐 の待 っ て い る方 へ急い で帰っていきました。
- 13:04お 母さん 狐 は 心配 し ながら。 子供 の 狐 の 帰って くる の を まっていました ので。
- 13:13坊や が 来る と 温かい 胸 に 抱きしめて 、泣きた いほ ど 喜びました。
- 13:20日記 の 狐 は 森 の 方 へ 帰って いきました。 母ちゃん 人間って ちっとも 怖くない や。
- 13:31どうして? 僕 間違えて 本当 の 手 出 し ちゃった の?
- 13:38でも 帽子屋 さん 捕まえ なかった もの。 ちゃんと こんな いい 暖かい 手袋 くれた もの。
- 13:47と 言って 手袋 を した 両手 を パンパン と 叩いて 見せました。
- 13:55お 母さん 、 狐 はまあ。 ちょっと あきれました が。
- 14:01本当 に 人間 は いい もの かしら? 本当 に 人間 は いい もの かしら?
- 14:08と つぶや きました。