Latest / 英国ドラマタイム / #95 オースティンの『エマ』を紐解く5つのポイント──作者にしか好きになれないお嬢様が、大人の女性に導かれるまで
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- 0:09英国ドラマタイムへようこそ。この番組は、イギリスの歴史ドラマが大好きな私が、ドラマや映画のおすすめ、ロケ地の秘密、当時の暮らしまで深掘りしてご紹介しています。物語の背景を知ると、作品がもっと楽しくなります。
- 0:26今日は、ジェーン・オースティンの小説、エマをお届けします。このエマ、実はちょっと面白いエピソードがあって──作者のオースティン自身が、自分にしか好きになれないヒロインを描くと言って作った作品なんです。
- 0:43オースティンといえば、高慢と偏見のエリザベス・ベネットのように、誰もが大好きになるヒロインが有名ですよね。私も最初はそこから入りました。
- 0:54だからこそ、作者しか好きになれないヒロインって、一体どんな人なの?と気になってしまうわけです。
- 1:02今日はそのエマを高慢と偏見と比べながら話していきたいと思います。
- 1:08高慢と偏見は知っているけれど、エマはまだという方も大丈夫です。
- 1:13まずはどんな話か、ざっくりあらすじからご紹介していきたいと思います。
- 1:20エマの舞台はハイベリーという小さな村です。ロンドンから南に16マイル、当時の馬車でいうと2、3時間の距離にある場所です。
- 1:31登場人物全員が顔見知りで、よそ者が来ただけで噂になるような狭くてのどかな世界です。
- 1:40その村で一番格式のある屋敷に住んでいるのが、主人公のエマ・ウッドハウス。
- 1:46エマは21歳。美人で賢くて、誰もが一目置くお嬢様です。資産もたっぷりあって、私は一生結婚しなくてもいいと本気で思っています。
- 1:58ただ一緒に暮らすお父さんが極度の心配症で、外出も変化も大っ嫌い、新鮮な空気すら体に悪いと思っているような人なので、エマは外の世界をほとんど知りません。
- 2:12この小さな村がエマの宇宙のすべてなんです。
- 2:18そんなエマですが、実は最近心にぽっかり穴が開いてしまいました。
- 2:23長年母親代わりを務めた大親友の家庭教師の女性が結婚して家を出てしまったんです。
- 2:31お屋敷で寂しさと退屈を抱えていたエマ。そこに現れたのが素朴で可愛い年下の女の子ハリエットでした。
- 2:41ここでエマの悪い癖であるおせっかいスイッチがオンになります。
- 2:46この子は私が素敵な紳士とくっつけてあげなきゃと彼女のプロデュースに乗り出すわけです。
- 2:54ハリエットに好意をしていた真面目な農家の青年をエマは身分が吊り合わないと勝手に遠ざけて、代わりに村の牧師さんをターゲットに設定します。
- 3:06牧師さんとハリエットをくっつけようと、あの手この手で各作するわけです。
- 3:12ところがこれが大失敗。なんとその牧師さんが熱を上げていたのはハリエットではなくエマ本人だったんです。
- 3:21馬車の中で突然プロポーズされ、エマはゼック。計画は見事に崩壊して、ハリエットは傷つき、エマの自身はバキバキに砕け散ります。
- 3:33この一部始終を呆れながら見守っているのが、エマを子供の頃から知っている16歳年齢の隣人ナイトリー氏です。
- 3:43彼は自信過剰なエマを正面から叱ってくれる唯一の存在。
- 3:49二人はいつもエマのおせっかいを巡って言い争うことになります。
- 3:55この世間知らずでちょっと痛い目を見たエマがどうやって大人の女性へと成長していくのかというのがエマのあらすじです。
- 4:05そんなエマの世界なんですが、実はこれオースティンのキャリアの中でも特別な作品なんですね。
- 4:13これまでご紹介してきた高慢と偏見はオースティンが20代の頃に描いたみずみずしい作品です。
- 4:20一方で、このエマはジャリアの終盤に一から描き下ろした、いわば成熟地の作品なんです。
- 4:28同じ作家なのに、これだけヒロインのタイプも描く世界観も変えているということで、
- 4:35ここからは高慢と偏見等を比べながら、エマの面白さを5つのポイントで深掘りしていきたいと思います。
- 4:45エマの面白さその1、主人公の欠点が真逆。
- 4:50高慢と偏見のエリザベス・ベネットも人をかなり誤解する欠点がありましたが、
- 4:56彼女の偏見には、あの状況ならそう思っちゃうねと、私たちも共感できることが多いんですよね。
- 5:04でもエマは正直ちょっとタチが悪いんです。
- 5:08かなりおせっかいだし、自分が絶対正しいと信じて疑わないんです。
- 5:14私も本を読んだり映画を見ていても、何でそう思っちゃうんだろう、
- 5:20人を見る目がないなと突っ込みたくなるところが本当にしばしばありました。
- 5:25特にハリエットのことを好きな農家のマーティンさんや牧師のエルトンさんの
- 5:33彼らへの誤解っぷりには、ちょっと驚かされっぱなしでしたね。
- 5:40でもエマは最後には、ちゃんと反省して、
- 5:44そういったところがやっぱりかわいい人だなと思えてしまうから、こちらも不思議なんですよね。
- 5:51エマの面白さその2、恋愛相手の出し方が全然違う。
- 5:572つ目はヒロインのお相手の登場の仕方の違いです。
- 6:02高慢と偏見のミスター・ダーシーは、最初の武道会から存在感爆発で、
- 6:08エリザベスとバチバチ火花を散らしていましたよね。
- 6:12一方、エマは全く逆です。
- 6:16この人がお相手だったのかという気づきを、最後の最後まで読者がエマと同時に体験するように書かれているんですよね。
- 6:26実は途中、チャーチル氏という素敵な男性が出てきて、
- 6:31この人とどうにかなるのかなと思わせておいて、まさかの展開が待っています。
- 6:36ぜひそこを楽しみに見ていただきたいと思います。
- 6:41エマの面白さその3、舞台の狭さが武器。
- 6:46この3つ目はちょっとマニアックなポイントかもしれませんが、
- 6:50エマの舞台、ハイベリーは人間関係が全部包む家の小さな村です。
- 6:56ウォースティンはこの狭い世界をうまく使って誤解とか噂話を描いているんですね。
- 7:03物語の中でエマが海を見たことがないという場面が出てくるんですが、
- 7:09これには本当にびっくりしちゃいました。
- 7:13だからこそ、あの強烈な思い込みとか偏見が生まれちゃうんだなと妙に納得してしまいます。
- 7:22エマの面白さその4、コメディーの温度が違う。
- 7:27傲慢と偏見のコメディーはシャープで、
- 7:31キャラの恋登場人物、コリンズさんやキャサリン夫人など、私たちも一緒に笑えます。
- 7:39エマにもとにかく喋り続けるミス・ベイツという名物キャラクターが登場します。
- 7:45彼女の機関中のようなお喋りは本当にすごくて、
- 7:50ある時、僕氏のエルトン氏の突然の結婚ニュースを思ってきた時の、
- 7:56彼女は本当に話があっちに飛んで、こっちに飛んで、本当にすごかったんですよね。
- 8:03彼女が話を終わって帰った時、そこの場面、私、本を読んでいたんですが、
- 8:10なんだかホッとしてしまって、リアルにため息が出てしまったことでした。
- 8:16でも、エマがこの人の良いミス・ベイツにみんなの前でたった一言、鋭い皮肉を言ってしまう瞬間があるんです。
- 8:25そこで、場の空気がヒヤッと凍りつきます。
- 8:29笑いの後にチクリと痛みが残る、この辺りの人間描写の深さは、さすがオースティンです。
- 8:38リマの面白さ、その5、結婚ゲームのリスクが略。
- 8:44最後の5つ目は、結婚の切実さです。
- 8:47傲慢と偏見のエリザベスにとって、結婚は文字通り人生を懸けた大爆笑であり、大きなプレッシャーでした。
- 8:56でも、エマはオースティンのヒロインの中でほぼ唯一、結婚しなくても困らないと本人が言い切れる存在です。
- 9:04彼女にはたっぷりの悲惨もありますし、大きな屋敷を敷きる立場もあります。
- 9:11だからこそ、この物語には生活のための打算はありません。
- 9:15描かれているのはどこまでもエマの人間としての成長です。
- 9:20ずっと近くにいて、本当に当たり前すぎてエマはその素晴らしさに全然気づいていなかったナイトリー氏。
- 9:28彼はエマの子供っぽさやおせっかいを正面から厳しく叱って、彼女を大人の女性へと導いてくれる存在でした。
- 9:37未熟だったエマが失敗を繰り返しながら、ようやく大人の目線が持てた時、初めてナイトリー氏の大きさに気づきます。
- 9:45そして気づいたら好きになっていた。
- 9:48ロマンスのハラハラ感というよりも、一人の女性が導かれて成長した先にしかたどり着けない結末だからこそ、このエマには他にはない強い説得力があるんです。
- 10:01さて、今日はエマをご紹介しました。いかがであったでしょうか。
- 10:06傲慢と偏見のエリザベスも魅力的ですが、ナイトリー氏に導かれて大人になっていくエマの物語も
- 10:13本当に奥が深くて面白いです。皆さんはどちらのヒロインが好みでしょうか。
- 10:20すでにこの物語を読んだり見たことがある方はもちろん、これから新しくエマの世界に触れるという方も、本を読んだり映画やドラマを見終わった後にぜひ感想を教えていただきたいと思います。
- 10:34エマのあの誤解っぷりにハラハラしたとか、またあのミス・ベイツの機関銃トークに笑えたなんていうリアルな感想をいつでもお待ちしています。
- 10:47最後に大切なお知らせがあります。7月から私は実際にイギリスに行って、ドラマや映画に登場したお屋敷や風景を巡ってきます。
- 10:58実はこの旅はずっと前から準備していた旅なんですね。そこでイギリスからのレポートや今準備している高慢と偏見のロケ地ガイドブックの製作裏話をロケ地ダイオリとしてメールでお届けすることにしました。
- 11:14ご登録いただいた方には出発前の準備から夏の現地のレポートまで大体月に2、3回になると思うんですが、ここだけの濃いお話をお届けしたいと思います。
- 11:27そして概要欄のリンクから登録ホームへ飛んでいただくと、そこにちょっとしたお楽しみを仕込みました。
- 11:35以前、高慢と偏見を3回シリーズで取り上げたんですけれども、そこから出題するミニ検定です。
- 11:44あの放送を聞いてくださった方なら、あの子と話してたなと思っていただけるような問題を揃えています。
- 11:52ホームの中でクイズを楽しみながら解いていただくと、そのままロケ地ダイオリに合流できる仕組みになっています。
- 12:00クイズで盛り上がって、そのまま私のイギリスの旅の仲間に加わっていただけたら嬉しいです。
- 12:06ぜひ概要欄からチェックしてみてください。
- 12:10さて次回は、これまで映像化されたエマの映画やドラマで、エマが暮らす邸宅、ハードフィールドのロケ地を比較してみたいと思います。
- 12:21映像によってどのお屋敷が使われているのか、その違いを知るだけでも、作品の解釈がごと深まって面白いですよ。
- 12:30ぜひお楽しみに。