Latest / 英国ドラマタイム / #102 「ダウントン・アビー」のロケ地、ヘアウッド・ハウスの知られざる素顔
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- 0:09英国ドラマタイムへようこそ。この番組は、イギリスの歴史ドラマが大好きな私が、ドラマや映画のおすすめ、ロケ地の秘密、当時の暮らしまで深掘りしてご紹介しています。
- 0:21物語の背景を知ると、作品がもっと楽しくなります。
- 0:26今日はロケ地巡り会です。今回のイギリスで2軒目に訪問したカントリーハウスです。訪れたのは、ヘアウッド・ハウスです。
- 0:37こちらは映画タウントン・アビーや、以前この番組でもご紹介したドラマ、ジェントルマン・ジャックなどでも登場しています。
- 0:47今回の旅の大きな目的の一つだったのが、このヘアウッド・ハウスの訪問だったんですね。
- 0:55このお屋敷は、月に一度アティックツアー、アティックというのは屋根裏なんですけれども、そういった特別なツアーをやっていて、今回はそのツアーにも参加するという予定でした。
- 1:08しかしですね、今回の旅は本当に結構トラブルがいろいろありまして、それについては前々回の放送でもちらっとお話ししたんですが、このヘアウッド・ハウスでもちょっとした事件があったんですね。
- 1:23そのせいで私はこのヘアウッドには結局2回も行ったんです。
- 1:29この話はちょっとした雑談として番組の最後にちょっとゆっくりお話ししたいなと思っています。
- 1:38今回も私は車ではなくて電車とバスを使ってヘアウッド・ハウスへ向かいました。
- 1:46場所はイングランド北部のリーズから北へ20キロばかり離れたところにあります。
- 1:54このリーズというのは北イングランドを代表する商業都市で、18世紀以降産業へ貿易によって大きく発展した街です。
- 2:04そんなリーズの街からバスに乗って40分ほど、さらにバスを降りて緑の広がるヘアウッド・ハウスの敷地を20分くらいでしたかね、歩いていくと大きなお屋敷が見えてきます。
- 2:21それがヘアウッド・ハウスです。
- 2:24このヘアウッド・ハウスは実際に行ってみるとものすごく豪華なカントリーハウスなんですが、私が面白いなと思ったのはそれだけではありません。
- 2:35一つの家族の長い時間をかけた社会的上昇の物語が見えてくるからなんですね。
- 2:44商人だった一族が巨万の富を築き、そのお金で大邸宅を作る。
- 2:51その大邸宅を作ったのは、まるでオールスターのように集められた18世紀イギリスを代表する人たちです。
- 2:59やがてこの一族は貴族の称号を得て、そして20世紀にはなんと王室から王女がこの家に届いてくるんです。
- 3:09今日はこのヘアウッド・ハウスをどうやってこの家が生まれたのか、なぜこれほど豪華なのか、そしてなぜ王女がここに届いてきたのかという順番で見ていきたいと思います。
- 3:23ヘアウッド・ハウスを建てたのは、18世紀イングランドでも屈指の富豪だったエドウィン・ラセルスです。
- 3:31ではこのラセルス家がどうやってここまで財力を持つようになったのでしょうか。
- 3:38このヘアウッドを建てたエドウィンだけではなくて、彼の父親やその後の世代の一族もカリブ海の砂糖貿易に携わっていました。
- 3:49その莫大な利益の背景には何千人ものアフリカ人奴隷を使った砂糖プランテーションがありました。
- 3:58ラセルス家はこうした事業を拡大しながら莫大な富を築いていったんですね。
- 4:05そして1738年頃、その富を使ってヘアウッドの領地を購入します。
- 4:13そして次はいよいよ邸宅へ。
- 4:15エドウィンは新しい邸宅には何よりも最高のものを望んで理想のカントリーハウスを作り上げたわけなんです。
- 4:24ではどうやってそれを作ったのか。
- 4:27ここがすごいんです。
- 4:30建築ならジョン・カー、インテリアならロバート・アダム、家具ならチッペンデール、そして庭園ならケイパビリティ・ブラウン。
- 4:40なかなか聞き慣れない名前かもしれないんですが、
- 4:44それぞれの分野で名前を挙げたら、この人って分かるような18世紀イギリスを代表する一流の専門家たちです。
- 4:53彼らの名前自体が〇〇様式とかっていう感じで名前が残っていたりして、
- 5:00イギリスの美術や建築を見ていると何度も出会う名前です。
- 5:05そんなとんでもない顔ぶれの人が集まってこの家は建てられました。
- 5:12建築を担当したのはジョン・カーです。
- 5:1618世紀のこのエリアで貴族や王子主が自分の家を建てたいという時にとても頼りにされた人です。
- 5:24当時イギリスで流行していた最新の建築様式を形にできる建築家だったんですね。
- 5:33インテリアを担当したのはロバート・アダム。
- 5:3618世紀後半にイギリス社交界を夢中にさせたアダム様式の生みの親でもあります。
- 5:44古代ローマの遺跡からインスピレーションを得て、
- 5:47部屋の天井の漆喰細工から家具の細部に至るまで完璧にトータルコーディネートする手法が受けたんですね。
- 5:58家具を担当したのはトーマス・チッペンデールです。
- 6:01もはや家具の名前そのものにもなっています。
- 6:05チッペンデール様式といえば、
- 6:08マホガニー材を本壇に使って繊細な彫刻や美しい足のデザインが特徴の18世紀、
- 6:17ロココや中国趣味の混ざった最高級家具の代名詞です。
- 6:22ヘアウッドハウスにも彼がこの邸宅のために直接デザインして製作した家具が今でもたくさん残っています。
- 6:31庭園はケイバビリティ・ブラウン。
- 6:33イギリスの庭園そのものの考え方を変えた人です。
- 6:38それまでの気化学的で人工的な庭から芝生、池、木々、丘を組み合わせて、
- 6:46自然そのものに見えるような風景式庭園そのものを作った人です。
- 6:52自然の中に隠されたポテンシャル、ケイバビリティを見つけ出して引き出すというのが得意だったことから、
- 7:01そのニックネームが付けられました。
- 7:02彼の名前自体がイギリス特有の庭園様式の代名詞になっているんですね。
- 7:10これだけのすごい人たちを集めて、エドウィンは費用も惜しみませんでした。
- 7:17例えば家具だけで、いくらぐらいしたと思いますか?
- 7:22ヘアウッドハウスの公式説明では、
- 7:25チッペンデールが1767年に受けた家具一式の注文は1万ポンドを超えたと書いてあります。
- 7:36現在の2億円ぐらいに相当するそうです。
- 7:40すごいですよね。
- 7:42すごいとしか言葉が出てこないんですが、
- 7:46こうして完成したヘアウッドハウスは、当時の最先端を集めた、まさに当時の理想のカントリーハウスになりました。
- 7:56でもラセルズ家の上昇はここで終わりではありません。
- 8:00今度はこの家の持ち主自身がさらに上へと進んでいきます。
- 8:06ヘアウッドハウスを建てた人物が1790年に初代ヘアウッド男爵へとなったんですね。
- 8:14しかし彼は子供がいなかったために当縁のものに引き継がれ、
- 8:20その頃の一族は当時の長者番付で国内第3位に入るほどの圧倒的な大富豪でした。
- 8:29そしてついに男爵からさらに上の白爵へとどんどん格上げしていったんです。
- 8:36もともとは商業で財を成した一族が、その富を使ってカントリーハウスを築いて、
- 8:42やがて正式に貴族の仲間入りをします。
- 8:46ここまで聞くとこのヘアウッドという名前もずっと同じように受け継がれてきたように思いますよね。
- 8:54でもここにもちょっと面白い話があるんです。
- 8:57実はこのヘアウッド発音がちょっとややこしいんですね。
- 9:02伝統的に白爵家ではハウッドと発音していたそうです。
- 9:06ところが八代白爵の時代になってこの発音が変わります。
- 9:11きっかけの一つがなんとタクシーの運転手さんが何度もどこに住んでいると言っても分かってもらえなかったことから、
- 9:20もうこの発音問題は終わりにしようとなったそうなんです。
- 9:24もちろん他にもいろんな理由があると思うんですが、
- 9:27貴族の家に代々伝わってきた発音まで現代になって変わった、そんなところにも時代の変化が感じられます。
- 9:36そしてここからさらに面白いことが起こります。
- 9:3920世紀になるとこの家に王室から女性が突入できました。
- 9:44それがジョージ5世の娘メアリー王女です。
- 9:49覚えているでしょうか?
- 9:51映画ダウントンアビリーの劇場版で国王夫妻がダウントンに訪れた後に、
- 9:57メアリー王女の突地先であるヘアウッドへ移動して盛大な武道会を開くシーンがありましたよね。
- 10:04あの映画に登場したヘアウッドがまさにこの実際の邸宅なんです。
- 10:10気になるその結婚ですが、相手はヘアウッド伯爵家の長男ヘンリー。
- 10:161922年の結婚当時、メアリー王女は24歳でヘンリーは39歳でした。
- 10:24第一次世界大戦で何度も負傷した元軍人で15歳差のカップルです。
- 10:30国民から絶大な人気を誇る王女と戦争で功績を挙げた名門の後取りの結婚式は
- 10:38ウエストミスタージーンで行われて大変な歴史的ロイヤルウェディングになりました。
- 10:46映画ダウントンアビリーの中では、メアリーがこの結婚生活に悩む姿が描かれていましたよね。
- 10:53でも後に息子のジョージが語ったところによると、実際の二人は共通の友人多くとても仲が良かったそうです。
- 11:02それどころかですね、私今回ヘアウッドに行って聞いたエピソードがあるんですけども、
- 11:09なんとこの戦争をくぐり抜けてきた伯爵のヘンリー、刺繍がとても得意でメアリー王女と一緒に張り仕事を楽しんでいたっていうんですね。
- 11:21映画で見るクールな印象とは違って、意外で微笑ましい夫婦の姿が浮かんできました。
- 11:28こういう生々しいエピソードを知ってからヘアウッドを見ると、人々の歴史があった場所なんだなって、より深く想像が膨らんでくるはずです。
- 11:39今日はヘアウッドハウスについてご紹介しました。いかがだったでしょうか。
- 11:45さらにですね、このヘアウッドは今年公開予定のネットフリックス版高満と偏見で、ミスター・ダーシーの邸宅ペンバリの露出地になっているようなんですね。
- 11:57まだドラマも見ていませんし、公式の発表もないので絶対とは言えないんですが、予告映像を見る限りどう見てもここなんですよね。
- 12:09このドラマはまだリリース日も決まっていないのですが、早くみたいなあととても楽しみにしています。
- 12:18さてここからはちょっと雑談です。
- 12:20あの最初にこのヘアウッドに2回行くことになったってお話したんですが、実は一度目の訪問は7月の末でした。
- 12:30この時目的だった屋根裏ツアーだけを見て急遽帰らないといけない事態になっちゃったんですね。
- 12:39まだお屋敷の中も見ていないし、印象的な庭園も見ていないのに。
- 12:46でも本当に残念だったんですが、さて何があったかというと、ちょっとした熱中症と腹痛という体調不良でした。
- 12:56これ本当に自分でもびっくりでした。
- 13:01この日私は電車でリースへ向かい、そこからバスに乗ってヘアウッドハウスに行きました。
- 13:08屋根裏ツアーが始まったのが11時で、1時間ほど最初は地下のキッチンなどのエリアを見て、その後天井裏へ上がっていきました。
- 13:19今は倉庫のようになっている、かつての使用人の寝室が並ぶフロアをガイドさん3人ほどと、あと参加者の方12、3人いたんじゃないかなと思うんですけども、
- 13:32皆さんと一緒に階段を登ったり、たくさんの部屋を回って貴重な品の数々を見せてもらっていました。
- 13:42朝からちょっとお腹が痛くなるときはあったんですけども、全然大丈夫だったんですかね。
- 13:50だんだんこの屋根裏ツアーを回っているときに、少しまたお腹が痛くなってきて、なんかしんどいなって思ったんですね。
- 14:02そして最後、階段を降りてエントランスホールに着いて、ガイドさんからまとめの話を聞き始めた途端、急激にお腹が痛くなって、目の前がぐるぐるぐるって回ってきたんですね。
- 14:20これはちょっと倒れるなぁと思って、やばいなっていう感じになったんです。
- 14:25慌ててその場を離れて、入口近くに立っているスタッフの人に声をかけたら、すぐに椅子を用意してくれました。
- 14:33私は座って、とにかく暑くて汗が出てくるので、カバンの中に入っていた紙でバタバタって顔を仰いでいたら、
- 14:43ファーストエイドスタッフを呼びましょうか、と声をかけてくれたんですね。
- 14:47ファーストエイドって施設の中で具合が悪くなった人や怪我をした人に応急手当てをするための訓練を受けたスタッフのことです。
- 14:59イギリスでは職場ごとにどのくらいファーストエイド体制が必要なのかっていうのをあらかじめ考えておく仕組みがあります。
- 15:07ですから、こういう大きなカントリーハウスや博物館のようなたくさんの人が訪れる施設では、何かあったときに対応できるスタッフが用意されていることがあるんですね。
- 15:19私はもうちょっとあまりにしんどいのでお願いしますと言ったんですが、
- 15:24そうするとすぐに2人の女性が来てくれて、冷たいペットボトルの水を持ってきてくれました。
- 15:31そのうちの一人の人が、私に食事のこととか体調とか、一人で来たのは誰かと一緒なのかという質問をしてくれたんですね。
- 15:42私は手のしびれも感じるので、そういうことを伝えると熱中症の症状だと思われるということを言われました。
- 15:52そして椅子を入口の外に出してくれて、外の冷たい風にあたって水を飲んでゆっくりしていると、少しずつ落ち着いてきました。
- 16:04何か食べたいですかっていうことになって、そのときは自分で歩けるぐらいになっていたので、
- 16:13彼女と一緒にシャトルバスに乗って、少し離れた場所にあるカフェまで連れて行ってくれたんですね。
- 16:21そこで私はお礼を言って、冷房の効いている涼しい室内でスープなどを食べて、だいぶ落ち着いたんですが、またお腹の痛みがぶり返してきたんですよね。
- 16:37ここから妹の家に帰るのはおよそ2時間ぐらいあります。
- 16:41でもこれからこれがもっとひどくなったら、本当にちょっとやばいなって倒れてしまったらいけないということで、
- 16:51本当は建物の中、お屋敷の中をまだ全然見てないですし、庭園も見てないし、どうしようと、
- 17:00すごい後ろ髪引かれる思いで、でも帰らなければということで帰ってきたわけです。
- 17:07歩いてバスで行き、バスの中でもちょっと油汗が出てきますし、
- 17:14電車に乗り込んだもののとても混雑していて、途中まで立っていなくてはいけなくて、
- 17:21やっと座れたと思ったら、そうしたらすぐにですね、
- 17:25遠足帰りの保育園児たちが職員の方たちと20人ぐらいの大群で乗ってきて、電車の中が大混雑になったんですね。
- 17:36もうちょっと遠足疲れで眠たそうな子どもたちがいて、みんな電車の床に座っているのを見ながら、
- 17:46変わった方がいいのかなとか思いながら、でもお腹の痛みがあるので、
- 17:50ごめんねってもうちょっと心の中でつぶやきながら目を閉じてうとうとしてしまったんですね。
- 17:58そして途中でハッと目を開けたら、数人の子どもが私の顔をじっと見ていました。
- 18:05あら、この人ね、ジェロアっていう感じだったんですかね。
- 18:08こんな感じでやっと家にたどり着き、しばらく横になっていたらだいぶ良くなったんです。
- 18:16でも年をとったんだなーってしみじみ思いましたね。
- 18:20そしてちゃんと睡眠、運動をしちゃんとして、食事もちゃんと摂って、水分もちゃんと摂り、
- 18:29体調を気をつけて無理をしないようにしないといけないと痛感したんです。
- 18:35日本もまだ蒸し暑い日が続いていますので、どうか皆さんもお体に気をつけてください。
- 18:42さて最後にお知らせです。
- 18:45ドラマダウントンアビーをもう一度違う目で見てみたくないですか。
- 18:51ダウントンアビーのセリフから読み解く英国文化と歴史というメールマガを作りました。
- 18:58ダウントンアビーの名場面のセリフを1通ごとに1つ深掘りする全11通、3日おきにお届けするメールマガジンです。
- 19:08ダウントンアビーの名場面には字幕や吹き替えでは訳されなかった言葉がたくさんあります。
- 19:15実はそういった言葉には結構面白いものがたくさんあって、
- 19:20当時のイギリスの階級意識とか文化や芸術のこと、その時代の空気がそのまま入っているんですよね。
- 19:29それに気づくと同じシーンなのに全く違って見えてくる楽しさがあります。
- 19:35このメールマガでは私が調べて見つけた面白さをそのままメールでお届けします。
- 19:42そして今回登録特典としてバイオレットおばさまの愛ある独絶集をプレゼントしています。
- 19:49ダウントンアビー、現在のクローリー伯爵の母である前伯爵婦人バイオレットマリースミスが演じている
- 19:59彼女は切れ味鋭い独絶の数々で、ドラマの中でもそして見ている私たちも驚かして笑わせてくれます。
- 20:10でも彼女の言葉にはただのイチゴあるだけではなくて、そこには伝統を重んじて
- 20:17崩れゆく貴族社会の中で最後まで貴族らしくあろうとする彼女の美学がたくさん詰まっています。
- 20:24そんな彼女のセリフは本当に調べれば調べるほど面白いものに溢れていたので、その中から厳選して3つほどまとめています。
- 20:35ぜひ概要欄のリンクから登録してください。
- 20:40さて次回は映画公開から40周年として4K画で生まれ変わって間もなく全国で再上映される映画
- 20:51長めのいい部屋をご紹介します。
- 20:54イギリスの良家のお嬢様がフィレンツェで真実の愛に出会い、自分を見つめて大人の女性へ成長する姿を描いています。
- 21:04私もこの映画大好きで、映画館に見に行こうと思っています。
- 21:08どうぞ楽しみに。