Latest / 英国ドラマタイム / #86 シェイクスピアの妻と、新しい『高慢と偏見』――今年見逃せないイギリス文学の2本
Transcript
- 0:10英国ドラマタイムへようこそ。この番組は、イギリスの歴史ドラマが大好きな私が、ドラマや映画のおすすめ、
- 0:18ブレチの秘密、当時の暮らしまで深掘りしてご紹介しています。 物語の背景を知ると、作品がもっと楽しくなります。
- 0:27今日ご紹介するのは、日本でこれから見られるイギリス初の作品2つ。 どちらもイギリス文学にまつわる物語です。
- 0:361つは、シェイクスピアの家族を描いた映画。 そしてもう1つは、名作、高慢と偏見の新しいドラマです。
- 0:47最後には、私が使っている配信サービスもご紹介しますので、ぜひ最後まで聞いていってください。 まず最初は、4月10日公開の映画、ハムネット。
- 1:00シェイクスピアの物語なんですが、主役は彼ではないんです。 物語の中心にいるのは、妻のアグネス。
- 1:09そして気になるのが、このタイトル、ハムネット。 あれ、ハムネットじゃないの?と思いませんでしたか?
- 1:16私も最初、え?って思ったんですよね。 そこも含めてご紹介していきたいと思います。
- 1:24舞台は、16世紀イングランドの小さな村。 貧しいラテン語教師のウィリアムと森を愛する自由な女性アグネスが出会い、
- 1:34惹かれ合い、結婚して、3人の子供を授かります。 でもウィリアムは、やがてロンドンへ旅立ち、演劇の世界へ行きます。
- 1:44アグネスは家を守り、子供たちを育てながら日々を支えていきます。 そこに訪れる大きな損失、そしてその悲しみが、あのハムネットという傑作へと結晶していく。
- 1:59これがこの物語の核心です。
- 2:03映画の原作になっているのは、マリー・オファーレルの小説、2020年に出版されたハムネットです。
- 2:11ベースになっているのは、シェイクスピアには双子の子供がいて、息子のハムネットは11歳で亡くなっている。
- 2:20そして数年後に描かれたのがハムネットという事実です。
- 2:25でもシェイクスピアについては、私たちが本当に知っていることって実はそれほど多くないんです。
- 2:32奥さんはどんな人だったのか、2人はどこで出会ったのか、なぜ彼はロンドンへ出たのか、
- 2:39ハムネットはどうして亡くなってしまったのか、これらは記録には残っておらず大きな空白があります。
- 2:47この小説はその空白に想像力を注ぎ込んだ作品なんですね。
- 2:53作者オファーレルは、アグネスを蜂を飼って、薬草に詳しい生活力あふれる女性として描いています。
- 3:02そしてハムネットの死因は、当時の日常的な脅威だったペストと設定されています。
- 3:10とっぴな空想ではなくて、こういうことがあったのかもしれないという現実を描いた、そこがこの作品の魅力なんです。
- 3:19そしてもう一つ印象的なのは、小説の中でシェイクスピアという名前が出てこないことです。
- 3:27彼はアグネスの夫、ハムネットの父として語られる天才劇作家の伝記ではなくて、歴史の陰に隠れてきた家族の物語、それがこの作品です。
- 3:41映画の監督はアカデミー賞受賞のクロエイジャオ、シェイクスピア役はポール・メスカル、アグネス役にはジェシー・バックリー。
- 3:52今年のアカデミー賞でも、この映画は作品賞や監督賞、主演女優賞などにもノミネートされています。
- 4:01私も今からすごく楽しみにしている映画です。ぜひチェックしてみてください。
- 4:09続いては、9月にネットフリックスで配信される高慢と偏見です。
- 4:15この物語のあらすじは、もう番組の中でも何度もお話ししているので、ちょっとここでは省きますが、一言で言うと、
- 4:24ジェン・オースティン原作のエリサベスとミスター・ダーシーのこじれた恋愛物語です。
- 4:31200年以上たった今も世界中で愛されていて、何度も映像化されてきた作品です。
- 4:37特に有名なのは、1995年のBBCドラマと2005年の映画、どちらも今なお熱狂的なファンがいますよね。
- 4:50そして先日、ネットフリックス版の予告動画がついに解禁されました。
- 4:56セリフなしでわずか30秒ほどの映像だったんですけれども、私はもうとっても興奮しました。
- 5:04なぜかというと、ずっと気になっていたミスター・ダーシーの邸宅ペンバリーはどこで撮影されるんだろうということが、
- 5:14この予告を見た瞬間に、やっぱりここだったと確信したんですね。
- 5:21そのことについても後ほどお話ししたいと思います。
- 5:26予告動画の内容をざっとお伝えすると、
- 5:30朝日が昇る中、鳥のさえずりが聞こえている。
- 5:35どこか高い場所に腰掛けたエリザベスが遠くを静かに見つめています。
- 5:41そこへ馬のいななき。
- 5:43エリザベスが視線を向けると、遠くから駆けてくる馬の足音。
- 5:49彼女の目が大きく見開かれる。
- 5:52物語のシーンがいくつか挟まって、最後に映るのは馬に乗ったミスター・ダーシーです。
- 6:00たった30秒の場面なんですが、これにはちゃんとときめきましたね。
- 6:06ちなみに私はこれを見て、ここは2度目のプロポーズの場面なのかなと思ったんですよね。
- 6:152005年の映画では、霧の中からダーシーが現れてエリザベスが驚く、あの名シーンがあったんですが、
- 6:23今回のドラマでは、あれが霧ではなくて馬で登場するのかもしれないと思いました。
- 6:31ただですね、残念なのは、この予告のコメント欄やファンの掲示板を見てみると、批判の声が結構たくさんあったんですよね。
- 6:42エリザベスが屋根の上に座っているのはおかしいとか、ダーシーのイメージが違うとか、
- 6:49やっぱり1995年のドラマが一番とかね、こういったのは想定内なんですが、人気作品ほど期待値は高いですし、前の作品の熱烈なファンもいます。
- 7:04それは当然のことだと思います。
- 7:08でも私はこういったドラマや映画って一つのアート作品のようなものだと思っているんですね。
- 7:16制作側や俳優たちがこの物語をどう解釈するのか、そこを楽しみたいと思います。
- 7:24実は、高慢と偏見って小説をそのまま映像にすると、そんなにドラマチックではないんですよね。
- 7:32物語はわりと淡々と進みますし、小説のエリザベスは映画のヒロイン像とはちょっと違うなと思います。
- 7:41でも物語の土台がすごく強くて奥が深い。
- 7:46だからこそ解釈によっていろいろな作品が生まれるんだと思うんですね。
- 7:521995年のドラマのダーシーが池に飛び込むあの有名なシーンは小説にはないんです。
- 8:002005年映画のロマンチックなラストのプロポーズも原作とは全然違います。
- 8:07それでもウォースティンがこの物語で伝えたかったことはちゃんと伝わってきますよね。
- 8:13だからこそ名作なんだと思います。
- 8:16そういった意味でも私は、まず新しい解釈を楽しみたい。
- 8:21その上でここはどうなのかなとか、この表現面白いなと比べていくのもまた楽しみ方の一つだと思っています。
- 8:30そして予告の中にペンバリーと思われる屋敷がチラッと映ったんですね。
- 8:37実は前からあそこで撮影するんじゃないのかなって目をつけていた場所があって、それがヨークシアンにあるハウッドハウスです。
- 8:48ダウントンアビーのロケ地にもなった後方家でかなり大きなカントリーハウスです。
- 8:54こちらは2003年にイギリスに行った時に行く予定に入っていたんですが行けなかったんですよね。
- 9:03ということで今年はぜひ行っていきたいと思います。
- 9:07もし本当にここがペンバリーのロケ地だったらと思うとちょっとワクワクしますね。
- 9:14またこの番組でご報告したいと思います。
- 9:18先日リスナーの方から映画やドラマはどこで見られるのっていう質問をいただきました。
- 9:26ということで今回は私が普段使っている配信サービスをざっとご紹介したいと思います。
- 9:34まずNetflix。
- 9:36こちらはやはりNetflixオリジナル作品を見るために使っています。
- 9:42一番の魅力はオリジナル作品、世界同時配信が多いことです。
- 9:50アメリカとかイギリスではもう始まっているのに日本ではまだ見られないっていうイライラがないのが本当にありがたいんです。
- 9:59私がNetflixでこれまで楽しんでいた作品をいくつかあげると
- 10:04リチャートン家、ザ・クラウン、それからイギリス文学つながりでは
- 10:10J.O.オースティンの説得王とか赤澤クリスティーのセブン・ダイヤルズ、木曜殺人クラブなどもとても面白かったです。
- 10:20またこの番組でご紹介していない作品もたくさんありますので順次ご紹介していきたいと思います。
- 10:29次にUNEXT。こちらは日本の配信サービスですが、とにかく作品数が多いんですよね。
- 10:37なので私はまずここから探しています。
- 10:41BBCの作品とかアメリカの配信サービスの作品もほぼ同時公開っていうのもあるので、それもとても気に入っている理由の一つです。
- 10:54そして最後、Amazon Prime Video。
- 10:57こちらはAmazonを普段から使っている人には取り付けやすいサービスなのではないでしょうか。
- 11:04BBCが制作したイギリス作品や古い名作が見つかることもあって、私も時々お世話になっています。
- 11:12以上、私が使っている3つの配信サービスをご紹介しました。ぜひ参考にしてみてください。
- 11:20さて、最後にお知らせです。
- 11:223月14日の土曜日、夜8時から9時、オンラインお茶会を開催します。
- 11:29今回のテーマは、児童文学ゆかりのカントリーハウスです。
- 11:34前半は、秘密の花園の着想殿となった作者が実際に手入れしていた庭園や、
- 11:43ピーター・ラビットの作者が愛した湖水地方の家について写真とともにお話ししたいと思います。
- 11:50そして後半には、そういった作品の好きな場面とか、子供の頃に読んだ本の思い出など、
- 11:57参加者の皆さんと自由に語り合う時間です。
- 12:01土曜日の夜に、緑豊かなイギリスの風景を思い描きながら、
- 12:06ちょっとゆったりとした時間を一緒に過ごせたらなと思っています。
- 12:10お申し込みの締め切りは3月7日、ぜひご参加いただきたいと思います。
- 12:18そしてですね、先月のお茶会にご参加してくださった方からこんな感想をいただきました。
- 12:25アフタヌーンティーについて一番知りたかったことを聞けました。
- 12:30実際に行かれた場所や、ドラマのお茶会の場面など、写真や画像を見るのも楽しかったです。
- 12:38最後に紹介してくださった絵画には見入ってしまいました。
- 12:43説明がゆっくりと穏やかで、聞いていてとても心地よく、カントリーハウスの世界にどっぷり浸れました。
- 12:501時間があっという間で、月に一度非日常の時間を過ごせるのは幸せなことだと感じています。
- 12:58次回のテーマも教えてくださって、下調べも楽しみです。ありがとうございました。
- 13:06こんなに嬉しい感想、本当にありがとうございます。
- 13:103月14日のオンラインお茶会の詳細と申し込みは、概要欄のリンクから是非チェックしてみてください。
- 13:20次回は、イギリスのミステリーとカントリーハウスをテーマにお届けします。
- 13:28そして週末には、ブリチャートン家シーズン4後半パートの感想をお届けする予定です。
- 13:35どうぞ楽しみに。