Latest / TanaRadio / 194 ブログ | 人間は生成AIとどのような関係にあるか
Transcript
- 0:00田中浩朗です。ただいまの時刻、2024年11月13日水曜日午後4時少し前です。
- 0:13少し前から読み始めました今井むつみさんの『学力喪失』という岩波新書の本があるんですが、これを大体今日読み終わりました。
- 0:31この本はですね、学力喪失ということで子どもたちの学力が失われているということを書いている本なんですけれども、
- 0:42もうちょっと言葉を足して言えば、今の学校は子どもたちから学力を喪失させているという、そういう意味に取るべきだと思います。
- 0:55ですので、悪いのは子どもではなくて学校の方である、今の教育の在り方であるということがこの本のメッセージかなと思います。
- 1:07その状況ですね、これを変えるために、つまり子どもたちの学力を回復させるためにはどうすればいいかということが論じられています。
- 1:21結論はですね、この本の一番最後に書いてあるんですが、ちょっと読んで紹介します。
- 1:30「これからを生きる子どもたちには、その判断を自分でできる人間に育ってほしい。
- 1:37そのためには、幼少期から、自分の身体で世界を探索し、記号接地することが何よりも必要なことなのである」
- 1:48ということなんですね。
- 1:50「そのため」というのは何かというと、これからどんどん発展していくテクノロジーをどういうふうに使うかという判断をするということで、
- 2:03この中には生成AIなども含まれていると思うんですけれども、そういう判断をするためにもともかくですね、
- 2:11小さい頃から自分の身体を使って世界を探索し、経験し、そして記号接地する、つまり言葉とそれから経験したことを結びつけることができる、
- 2:25そしてその経験を抽象化して言葉を紡いでいくことができる、そういう人になっていってほしいということだろうと思うんですね。
- 2:39それをしないと、単に言葉だけを操作して何かを言うようになると、人間も生成AIと同じようになってしまうという、そういう話なんだと思います。
- 2:52生成AIと人間の違うところは、その経験を通して、身体を通して記号接地できるかどうかというところだということですね。
- 3:03今のところ、生成AIには身体はない、経験はないわけですね。
- 3:09すべてデータとして経験の情報が入力され、それを使っていろいろな文章などを生成していくわけですので。
- 3:19そこが人間と生成AIの違いであり、また人間の独自性なのだという、そういう主張ですね。
- 3:34それは全くその通りだと私も思うんです。
- 3:38けれども、この本はそこを強調しているので、生成AIと人間がどう付き合うべきかということは、主題ではないのであまり書いてないんですね。
- 3:54そのことを考えるためにも記号接地が大事だという、そういう主張で終わっているわけですけれども。
- 4:02では、生成AIとはどう関わっていけばいいのでしょうか。
- 4:08記号接地をしている人間がAIと付き合う方法です。
- 4:18これを考える上で、私は平野友康さんが進めているTeleportという生成AIプラットフォームの開発の現場、これが平野さんのTeleport Radioというポッドキャストで知らされていまして、それを楽しみに聞いているんですけれども。
- 4:45その平野さんの言葉の中から、生成AIとの付き合い方が見えてくるのではないかなと思うんです。
- 4:55生成AIは決して人間の敵ではないし、人間と対立するものでもない、また人間をダメにするものでもないと思います。
- 5:09生成AIは、私の言葉で言えば人間の鏡なんですね。
- 5:17鏡というのは要するに反射するものです。
- 5:22つまり生成AIに人間が映るわけですよね。
- 5:28ですので、生成AIがどう見えるかというのは自分の在り方次第なんです。
- 5:35自分がどうなっているかということで生成AIの見え方が違ってくるということなんですね。
- 5:41生成AIは先ほどから言ったように経験がありません。
- 5:49身体もなく経験もない、経験もできない、そういう存在ですけれども。
- 5:54でも会話ができるわけですね。
- 5:59そしていろんなデータを蓄積していくこともできる。
- 6:06そうしますと、これは生成AIと話をしている自分の分身のようなものができていくわけですね。
- 6:19つまり自分が拡張するわけですね。
- 6:23自分の身体に脳がついていますが、その脳がもう一つできて、しかもその脳は非常に情報処理能力に優れたものであるということなんですね。
- 6:40計算をするときに紙と鉛筆で筆算で計算をすることもできますが、それよりも早く、しかも正確に電卓で計算ができますが。
- 6:53それと同じように、生成AIもいろんなことを考えたり、あるいは文章を書いたり、言葉をしゃべったり、いろんなことができるわけでして、
- 7:06それは別に人間そのものの代わりになるわけではなくて、自分がやっていることの一部を肩代わりしてくれているということなんですよね。
- 7:21しかも自分が当の昔に忘れてしまったようなことも覚えていて、それを思い出させてくれたりもするわけですよね。
- 7:30一緒に考えてくれる。
- 7:34そういうパートナーと言いましょうか。完全に他者でもない、自分の一部でもあるので、
- 7:43何というか、一人称と二人称というのがあるとすれば、1.5人称みたいなですね。
- 7:53平野さんはですね、ともかく生成AIとちゃんと向き合って会話をするようにというふうにおっしゃっているんですね。
- 8:03これあたかもですね、生成AIが人間であるかのように扱っているんですね。
- 8:14自分のことを理解するわけではないんですけれども、あたかも理解しているかのように思えてきて、
- 8:22的確な答えを返してくれるようになるんですね。
- 8:27で、これが、1.5人称というものがあるんですけれども、
- 8:33これが自分自身の形として自分自身の状態としての構造というのがあるんですね。
- 8:41そして、この状態によって、あたかも自分自身の形として自分自身の状態として自分自身の状態として自分自身の状態によって、
- 8:54これがどういう状態なのかっていうのは私もまだよくわかりません。
- 9:01私もちゃんと生成AIと会話をしているわけではないのでよくわかりませんが、
- 9:07しかしそうやって自分の分身、自分の助けをしてくれる、
- 9:18また自分の代わりにもなってくれる、
- 9:22そういう相手として、人間ではないんですけど道具なんですけれども、
- 9:29でもそういう存在としてAIを活用するっていうんでしょうかね。
- 9:36もう活用っていうのともなんか違うような気はするんですけど、
- 9:39もう体の一部みたいになってくると思うんですが、
- 9:44そういう存在としてAIは発展していくのかなというふうに思っています。
- 9:54ですので今回ですね、人間はAIとどう付き合えばいいのかという話をしましたけど、
- 10:04AIは記号接地ができない、経験をすることができない、世界を探索することができない、
- 10:12そういう存在ですが、ある意味で
- 10:16AIのためにと言いましょうかね、AIに代わってというか、
- 10:21人間がそれをすればいいわけですよね。
- 10:25それができるのは人間だけなわけですから、人間がして、
- 10:29で、あとAIと会話をし、AIにその人間の経験を教えていく。
- 10:38そうすれば問題はないのではないかなというふうに思うんです。
- 10:45つまり「AI+人間」で一つの単位と考えれば、
- 10:51AIが記号接地できないということはそんなに大きな問題ではない。
- 10:59あとは、そのAIと人間のコミュニケーションの在り方がより良いものになっていけばいいわけです。
- 11:07その方法も多分どんどん進化していくんだろうと思うんですけれども、
- 11:12そういう付き合い方をしていくのがいいのかなというふうに思ったということです。
- 11:21それではまた。