Latest / TanaRadio / 49 ブログ | 映画「オッペンハイマー」を観る前のコメント
Transcript
- 0:01最近のニュースからということで、映画『オッペンハイマー』のアカデミー賞受賞と日本公開について説明します。この映画『オッペンハイマー』は、2023年に公開されたものです。
- 0:29クリストファー・ノーラン監督という有名なアメリカの監督の作品で、テーマは、第二次世界大戦中のアメリカの原爆開発を指導した科学者オッペンハイマーの生涯を描くというものです。
- 0:46この映画は、2023年7月21日に全米で公開されました。その2023年に公開された映画の中から与えられるアカデミー賞という有名な映画の賞がありますが、これの7部門で賞を取った、そういう作品になっています。
- 1:19この受賞の発表は、2024年3月に行われまして、日本でも報道されています。
- 1:28この映画は、昨年は(日本で)公開されなかったのですが、やっと今年2024年の3月29日に日本でも公開されることになりました。
- 1:44私が今このビデオを撮っているのは3月26日で、まだ公開前の時点です。
- 1:54この映画に関する様々な評判を聞く前に、私の考えをここで話しておこうと思いまして、今作っています。
- 2:14またこの映画を見ましたら、いろいろとコメントしたいと思っているのですが、まずは公開前の情報をもとにして、皆さんに少し紹介したいと思います。
- 2:30この日本公開を前にした段階では、特にアカデミー賞を受賞したので、非常に注目されているのですが、それに対する報道として、2つの分かれる意見が紹介されています。
- 2:52ここでは『東京新聞』に記事になったものをもとにして紹介してみたいのですが、まずこの映画に対する期待を表明する人たちがいます。
- 3:05長年核兵器の廃絶に努力してきた被爆者たちですね。その一人、箕牧智之さんという方の声が新聞に紹介されていました。
- 3:23「映画が世界に核廃絶を求める大きな力につながれば」とても良いことだということで、期待を表明しています。
- 3:36「原爆を描いた作品が受賞したのは大きい」ということで、このアカデミー賞という非常に有名な賞を、この原爆を描いた映画が受賞したということは、世界中の人がこの核問題というものに注目するだろうと、それが核廃絶につながればという、そういう期待なんだと思います。
- 4:03それに対して、この映画に対する批判的な意見もありまして、ここではアメリカの大学で教えている宮本ゆきさんという方のコメント、これが新聞に紹介されていましたので、これを紹介します。
- 4:23この映画は原爆の被害に関する直接的な描写がないということが注目されています。
- 4:32そのことに関連しまして、次のように言っています。
- 4:39加害者側、これオッペンハイマーなんですが、加害者側の苦悩も重要なテーマだとしつつ、「それを知るためにはどんなことを引き起こしたのかがわからないと、薄っぺらくなってしまう」。
- 4:53こういうコメントですね。
- 4:56オッペンハイマーがいろいろ苦悩したということがこの映画で描かれているんですけれども、
- 5:02その苦悩の背後にある原爆がもたらした被害というもの、それがこの映画ではあまり十分に表現されていないということで、そのことを批判しているわけですね。
- 5:18一般的にアメリカではこの原爆被害についてあまりよく知られていないということもありまして、原爆を肯定する意見もたくさんあるわけですが、
- 5:28それに対してこの映画はオッペンハイマーを通して原爆がもたらす被害について考えてもらうきっかけになるようなものではあるんですが、
- 5:45しかしその被害そのものが描かれていないので、どのような被害が起きたのかということを知らない人にとってはあまりピンとこないということになるのかもしれません。
- 5:55さて、ではここでですね、ノーラン監督の意図について紹介したいと思います。
- 6:06この監督の意図を探る上でとても参考になったのがですね、やはり今年発表されたアカデミー賞で賞を受賞した日本の山崎貴監督というゴジラの映画を作った方ですが、
- 6:31この監督との対談というものがYouTubeで公開されていまして、そこでのノーラン監督の発言をここに抜粋しました。
- 6:43ちょっと読んでみますと、「本作(この本作というのはオッペンハイマーの物語という意味のようですが)
- 6:51においては様々な葛藤を抱える人物像や様々な衝突、闇と光といったものに惹かれ、観客に有意義な体験を提供できるのではないかと思った」というようなことが言われています。
- 7:06この監督はですね、このオッペンハイマーの伝記が書かれているんですけどもね、それ英語で発表されまして日本語にも訳されている本なんですけれども、それを読んでこのオッペンハイマーの物語に注目したということなんですが、
- 7:28そこでこの監督はですね、このオッペンハイマーの生涯という物語に様々な葛藤、対立、そういったものを見出し、それがですね、非常に興味深いと感じたんだと思います。
- 7:46この映画はですね、オッペンハイマーを善人として描くわけでもなく、また悪人として描くわけでもなく、何らかのですね、価値観によってこのオッペンハイマーを評価するということは避けているようです。
- 8:05で、観客に対してこのように言っています。「観客にはオッペンハイマーを裁くのではなく、理解してほしかった」「みなさんにこの人物の両面を体験してもらい、彼がした選択について自分だったらどうするか考えてみてほしかった」と、こういうふうに言っています。
- 8:28つまり、核兵器というものを生み出したこの科学者、様々な葛藤、苦悩、そういうものを経験するんですけれども、それをですね、自分の問題としてこの映画で体験してもらい、そしてそのような状況に置かれたときに自分だったらどうするだろうかということを考えてほしいという、
- 8:55そういう観客への希望がここに述べられているわけですね。
- 9:04この監督の意図、この監督の姿勢というのでしょうか、これはこの核兵器の歴史について半期の間講義する私の姿勢とも共通するものです。
- 9:21私もこの核兵器の歴史を受講者の皆さんに講義するときにですね、核兵器は悪いものだからこれを絶対になくしていかなければいけないというような、核兵器=悪というそういう立場から皆さんにいろいろと話していくということはしません。
- 9:45核兵器についていろんな考え方がある、それを歴史の中で私は皆さんに提供していこうと思うんですけれども、それによって皆さんがこの核兵器というものをどう考えたらいいか、それを自分の頭で考えてほしいというふうに思っているんですね。
- 10:08おそらくこの映画もそういうことを考える上で役に立つある種の教材になるのではないかなという期待を持っています。
- 10:18私はまだこの映画を見ていないので、実際どうかということは今の段階では言えませんが、この監督の意図を聞く限り期待できるんじゃないかなというふうに思っています。
- 10:30ということで、公開前の段階での私のコメント、これで終わりにしたいと思います。