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瓜南直子「兎神国」はニッポンの B面

日本の裏側に潜む「もう一つの国」:画家・瓜南直子が遺した「兎神国」の衝撃1. 導入:一枚の「奇妙な絵」との再会

漆黒の背景に浮かび上がる、非現実的なほど巨大な蓮(はす)のさや。その有機的な空洞の中で、一人の女性が胎児のように丸まって眠っています。

この絵を前にしたとき、多くの鑑賞者が最初に抱くのは、静かな「違和感」かもしれません。写実的な裸婦の脆弱さと、それを包み込む植物の異常なスケール感が生み出すディソナンス(不協和音)。それは時に「気色が悪い」あるいは「不気味だ」という、生理的な拒絶に近い感情を呼び起こします。

しかし、この不気味さこそが、画家・瓜南直子(かなん なおこ)が仕掛けた精神世界への入り口なのです。現代社会という乾いた荒野で、私たちが無意識に切り捨ててきた「原初的な安心感」。その深淵へと、私たちはこの絵を通じて、 gallery guide(案内人)に導かれるように足を踏み入れることになります。

瓜南直子の作品世界を語る上で欠かせないのが、「兎神国(としんこく)」という独自の概念です。「兎神(としん)」とは月のことであり、ここは「月に護られた国」を意味します。

彼女はこの国を単なる個人的なファンタジーとして描いたのではありません。それは、私たちの生きる現代日本という社会の「対」となる、不可欠な領域として定義されていました。…

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