Latest / TanaRadio / 305 講義 |「答えようとするな。むしろ問え」の意味
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- 0:00この本が本当に素晴らしい本で、私はこれからの学びというものを考える上で、この本に書いてあるものというのは本当に、教科書と言っていいぐらいに重要なことが書いてあるなというふうに読んだときは思いましたが、
- 0:18でもあんまりピンとこなかったんですね。重要だということはわかったんだけれども、そこで言われていることが、ちょっとピンとこなかったところがあります。
- 0:28やっぱりこの孫さんというのは、本当にAIなんかにもすごく関わっていて、私たちと言っちゃいけないな、私の何年か先を行っている方なんですね。
- 0:42ですから今私が感じていることを数年前に感じていて、この本を書いただろうと思うんです。
- 0:50この本のキャッチコピー的に表紙をめくると、これの言葉が出てくるんですが、「答えようとするな、むしろ問え。」って書いてあるんですね。
- 1:05この意味が私まだピンとこなかったんですよ。
- 1:12答えることは大事じゃないかと。問いも大事かもしれないけど、答えることの方が大事なんじゃないかというふうに考えて、ちょっとこの言葉ピンとこなかったんですよね。皆さんピンときますか。
- 1:29学校ではだいたい問うのは先生ですよね。問題を先生が出して、生徒・学生がそれに答えるっていうのがパターンですよね。
- 1:42だから期末になると試験っていうのがあって、これはまさに試験問題に問いが書いてあって、それの答えを解答用紙に書くっていうことを皆さん、今学期も多分やったと思うんですけれども。
- 1:55孫さんに言わせると、そんなものに答えちゃいけないんだと言うんですよ。そうじゃなくて、むしろ問う側に回れと。
- 2:09こういうふうに言ってるんですね。これ今までの教育と全く違う発想ですよね。今までの教育っていうのはともかく答える、ちゃんと答えるっていうことを目標にやってきたわけです。
- 2:22だから学ぶっていうことは、問いに対して正しい答えを言うっていうことができるっていうことが学んだっていうことだったわけですよね。
- 2:35皆さんも今でもそう考えてる人多いんじゃないかと思うんです。これは常識ですよ、今の。
- 2:41それがここに書いてあるこれまでの学びですね。問題があって解答がある。
- 2:49また新しい問題が来て解答がある、というより解答するですね、皆さんの立場から言えば解答する。問題を与えられて解答する。
- 2:59これの繰り返しが学びだと。だけども、そうじゃないんだと。
- 3:13なぜかというと、皆さんAIを使ってみてわかると思うんですが、先生が与えた問題なんていうのは、自分が考えなくてもAIが一瞬のうちに答えてくれるんですよね。
- 3:26つまり問題が与えられたら答えを言うっていうのは、もう今や本当に簡単なことになってしまっている。
- 3:38もちろん問題の質によりますよ。そんなに簡単に答えられない問題ももちろんあるんですけども。
- 3:44でも学校で教えるようなことに関してはですね、必ず答えがある問題を問いますよね。
- 3:51そうじゃない場合もありますが、例えば私の授業などでは答えのないような問いかけをしていますけれども、
- 3:57でも多くの場合は正解っていうのがあって、◯がついたり×がついたりしますよね。
- 4:04だけどそんな問題はもう今、AIが答えてくれるわけですよ。
- 4:10大学院の博士課程ぐらいのレベルの問題もAIは正しく解けると言われています。
- 4:21そういう中で機械が完璧にやってしまうようなことを、人間が不完全にやる意味があるのかっていう、そういう時代になってきているわけですね。
- 4:33もちろんそれには意味があるんだっていうことを言うことは可能だと思いますけれども、
- 4:41でも実際問題、果たしてそんなことに意味があるのかなというふうに思う人もいるんじゃないかと思うんです。
- 4:53それはAIにやってもらえばいいんじゃないかというふうに思う人もいるかと思います。
- 4:58となると、私たちは何を学べばいいんでしょうか。
- 5:05それはAIができないことです。
- 5:13人間にしかできないことを学ぶというのが大事になってくるわけですね。
- 5:17AIができることを人間が必死になったやったって不完全にしかできない。
- 5:23だったらばAIができないことを人間がやったほうがいいんじゃないかという、そういう発想の転換をしたほうがいいんじゃないかと思うんですね。
- 5:30そうしますと、AIができないこと、あるんです。たくさんあります。
- 5:36まずその一つが、問いを立てるということです。
- 5:40今のChatGPTにしろ、先ほど私が紹介したClaudeにしろ、
- 5:48AIというのは必ず空欄があって、そこにプロンプトを入れるようになっていますね。
- 5:54このプロンプトというのは言ってみれば問いですよ。
- 5:59つまり人間の側がAIに何かを問うんですね。
- 6:03それに対してAIが応答してくるという、そういう形になっています。
- 6:08ですからAIは、人間が何か働きかけをしなければ動かないものなんですよね。
- 6:13そういう意味でAIというのは非常に受動的なものです。
- 6:17それに対して人間というのは、もっと能動的にいろんなことをすることができる。
- 6:27例えば問いかけをすることができる。
- 6:30問いかけというのはやはり自分の何らかの関心ですね。
- 6:34関心というものを人間が持っているから、その関心に基づいて問いというものが生まれてくるわけですよね。
- 6:41だけどAIにはそれがない。
- 6:44AIは何でも知っている。
- 6:46何でも知っているがゆえにおそらく問いが出てこないんですね。
- 6:53それから、あと行動というのも、AI自体はできないと思います。
- 7:00ただAIを搭載したロボットみたいなものが何か行動するということはあるかもしれませんが、
- 7:05とりあえずここではそれをちょっと除いておきまして。
- 7:09何らかの問いがあったときに、その問いに対して何らかの行動をするということは、
- 7:17やはり人間がやってみないといけないことだろうと思うんです。
- 7:23やってみた結果として、また新しい問いが生まれてきて、
- 7:28それに対して何か新しいことをやってみて、またという感じで、
- 7:33これはもう永遠に続いていくわけですが、それは人間ができることですね。
- 7:41これ私の場合について言ってみれば、
- 7:45私はAIを使って研究に役立つようなソフトウェアを作りたいと思った。
- 7:54これが一種の問いですね。
- 7:56どういうふうに作ればいいのだろうかという問いを立てました。
- 8:04それに対してAIは答えてくれます。
- 8:07そういうふうに言うと、
- 8:08それはこういうふうにすれば作れますよという感じで、実際に作ってくれました。
- 8:14プログラムをあっという間に書いてしまうんですね。
- 8:17何千行もプログラムを書くのはそんな大したことではない。
- 8:22ただですね、プログラムが書けても、そのプログラムがちゃんと動くかどうかというのは、
- 8:30やっぱり人間がテストしないとダメなんですよね。
- 8:35ですので、私は開発用のサーバーを立ち上げて、
- 8:40そこでプログラムを動かしてみて、
- 8:42思った通りに動いたとか、
- 8:46ちょっとエラーが出たとか、バグがあるかもしれないとかですね。
- 8:52一応動いてるんだけど、
- 8:53私が思ったのとはちょっと違う動きをしてるなとかですね。
- 8:56いろんなことがわかるわけですよ。
- 8:58それがこの行動ですよね。
- 9:00プログラムを動かしてみて、
- 9:02どう動くかっていうのがわかるっていうのが、
- 9:05これは人間がやらないとダメで、
- 9:07AIがそこまでは、できるAIもあるのかもしれないけれども、
- 9:12でも、私が思っている通りになっているかどうかっていうのは、
- 9:17やはり私が確認する必要があるだろうと思います。
- 9:21そうすると、また新しいですね、
- 9:25こういうことができたんだったらば、
- 9:27こういうこともできるだろうかっていうふうに思って、
- 9:30できますかってAIに聞くんですよ。
- 9:33そうするとAIは大抵ですね、
- 9:35できますって言ってプログラムを書いてくれます。
- 9:38じゃあ書いてって言って書いてもらって、
- 9:40またテストして、
- 9:42またちょっとここいまいちだなって思ったらば、
- 9:45そこをじゃあちょっと修正してって言って修正してもらったりする。
- 9:48そういうことを繰り返して、
- 9:501ヶ月経って、
- 9:51ああいう実際に使えるプログラムができたんですね。
- 9:58この問いから行動に行く途中に、
- 10:00AIっていうのはものすごく役立ちます。
- 10:03ある問いに対してどう行動すればいいかっていうことを、
- 10:05AIはいろいろ教えてくれますので。
- 10:08だけど問いを立てることと行動することは人間がやる。
- 10:14これが学びなんじゃないかなっていうふうに、
- 10:16私は思うようになってきたんです。
- 10:18このAIでのシステムの開発をやってみてですね。